半導体用語集

半導体の学習でよく出てくる基本用語を、分野ごとにまとめました。キーワードで絞り込めます。

基礎

半導体物性この分野の問題 →

アインシュタインの関係式あいんしゅたいんのかんけいしき
キャリアの拡散係数Dと移動度μを結ぶ関係式 D = μkT/q。移動度が大きい材料ほど拡散もしやすいことを表す。
アクセプタあくせぷた
半導体から電子を受け取り、正孔を生じさせる不純物。シリコンに対してはホウ素(B)などのIII族元素で、p型半導体をつくる。
移動度いどうど
電界をかけたときのキャリアの動きやすさ。シリコンでは電子の移動度が正孔より大きい。
SRH再結合(ショックレー・リード・ホール再結合)えすあーるえいちさいけつごう
禁制帯の中にできた深い準位(トラップ)を介して電子と正孔が再結合する過程。シリコンの少数キャリアの寿命を主に決め、金属汚染や結晶欠陥で速くなる。
オージェ再結合おーじぇさいけつごう
電子と正孔が再結合したときのエネルギーを、光ではなく別のキャリアに渡す過程。キャリア濃度が高いときに目立ち、高濃度層の寿命やLEDの効率低下に関係する。
拡散長かくさんちょう
少数キャリアが再結合するまでに拡散で進む平均的な距離。拡散係数Dとライフタイムτから L = √(Dτ) で表される。太陽電池や受光素子の効率に大きく関わる。
間接遷移型かんせつせんいがた
伝導帯の底と価電子帯の頂上の運動量(波数)がずれているバンド構造。遷移にフォノンが必要で発光しにくい。シリコンやゲルマニウムが代表例。
擬フェルミ準位ぎふぇるみじゅんい
光の照射や電流の注入で熱平衡から外れた半導体で、電子密度と正孔密度を別々に表すために導入するフェルミ準位。両者の差が開くほど注入されたキャリアが多い。
仕事関数しごとかんすう
真空準位からフェルミ準位までのエネルギー差で、物質から電子を取り出すのに必要な最小のエネルギー。メタルゲートのしきい値電圧やショットキー障壁の高さを左右する。
縮退半導体しゅくたいはんどうたい
不純物濃度が非常に高く、フェルミ準位が伝導帯や価電子帯の中に入り込んだ半導体。金属に近い性質を示し、トンネルダイオードや低抵抗のコンタクトに使われる。
真性キャリア密度しんせいきゃりあみつど
不純物を含まない半導体で、熱によって生じる電子と正孔の密度(niと書く)。シリコンでは室温で約1×10¹⁰ cm⁻³で、温度が上がると急激に増える。熱平衡では n × p = ni² が成り立つ。
電子親和力でんしにわりょく
半導体の真空準位から伝導帯の下端までのエネルギー差。ヘテロ接合のバンドの段差や、金属との接触の障壁の高さを考えるときに使う。
ドナーどなー
半導体に電子を供給する不純物。シリコンに対してはリン(P)やヒ素(As)などのV族元素で、n型半導体をつくる。
バンドギャップばんどぎゃっぷ
価電子帯の上端と伝導帯の下端とのエネルギー差。シリコンは室温で約1.12 eV。大きいほど高温・高電圧に強い。
フェルミ準位ふぇるみじゅんい
電子がその準位を占める確率がちょうど1/2になるエネルギー。n型では伝導帯側に、p型では価電子帯側に寄る。
有効質量ゆうこうしつりょう
結晶中の電子や正孔を、外力に対して自由な粒子のように扱うときに使う見かけの質量。バンドの曲がり方で決まり、小さいほど移動度が高くなりやすい。

PN接合・ダイオードこの分野の問題 →

オーミック接触おーみっくせっしょく
電流の向きによらず抵抗が小さく、電流と電圧が比例する金属と半導体の接触。半導体の表面を高濃度にドープして障壁をトンネルで通り抜けやすくしてつくる。
拡散容量かくさんようりょう
順方向バイアスのPN接合で、注入された少数キャリアが中性領域に蓄積されることで生じる容量。順方向電流に比例して大きくなり、高速動作を制限する。
逆回復時間ぎゃくかいふくじかん
導通していたダイオードに逆電圧をかけたとき、蓄積された少数キャリアが消えるまで逆方向に電流が流れ続ける時間。スイッチング損失やノイズの原因になる。
空乏層くうぼうそう
PN接合の境界付近にできる、キャリアがほとんど存在しない領域。逆バイアスで広がる。
順方向バイアスじゅんほうこうばいあす
p側に正、n側に負の電圧をかけること。障壁が下がって電流がよく流れる。逆にかけると逆方向バイアスで、電流はほとんど流れない。
ショットキーバリアダイオードしょっときーばりあだいおーど
金属と半導体の接合(ショットキー接合)を使ったダイオード。順方向電圧が低く、少数キャリアの蓄積がないため高速にスイッチングできる。
接合容量(空乏層容量)せつごうようりょう
PN接合の空乏層が、平行平板のコンデンサのように働くことで生じる容量。逆バイアスを大きくすると空乏層が広がって小さくなる。可変容量ダイオードはこの性質を使う。
ツェナーダイオードつぇなーだいおーど
逆方向の降伏電圧がほぼ一定になることを利用して、定電圧を得るダイオード。
伝導度変調でんどうどへんちょう
低濃度の層に多数の少数キャリアが注入され、その層の抵抗が大きく下がる現象。PINダイオードやIGBTで、高耐圧と低いオン電圧を両立させるために使われる。
トンネルダイオード(エサキダイオード)とんねるだいおーど
両側を非常に高濃度にしたPN接合で、トンネル効果によって順方向に負性抵抗の領域が現れるダイオード。1957年に江崎玲於奈が発見した。
内蔵電位ないぞうでんい
PN接合の空乏層に、外から電圧をかけなくても生じている電位差。シリコンでは0.6〜0.8 V程度で、キャリアの拡散を止める障壁になる。
なだれ降伏なだれこうふく
逆方向の強い電界で加速されたキャリアが原子にぶつかって新たなキャリアをつくり、それが連鎖的に増えて大電流が流れる現象。
理想係数りそうけいすう
ダイオードの電流の式 I ∝ exp(qV/nkT) のn。拡散電流が支配的なら1、空乏層内の再結合電流が支配的なら2に近づき、接合の品質の目安になる。

バイポーラトランジスタこの分野の問題 →

アーリー効果あーりーこうか
コレクタ電圧が上がるとベース-コレクタ間の空乏層が広がって実効的なベース幅が狭まり、コレクタ電流が少し増える現象。
HBT(ヘテロ接合バイポーラトランジスタ)えいちびーてぃー
エミッタとベースにバンドギャップの異なる材料を使ったバイポーラトランジスタ。SiGeやGaAs系などがあり、高周波の増幅器に使われる。
エミッタ接地回路えみったせっちかいろ
エミッタを入力と出力の共通端子にした増幅回路。電流利得と電圧利得の両方が得られ、最もよく使われる。
エミッタフォロワえみったふぉろわ
コレクタ接地の増幅回路。電圧利得はほぼ1だが、入力インピーダンスが高く出力インピーダンスが低いため、信号を弱らせずに次の段を駆動するバッファとして使われる。
カレントミラー回路かれんとみらーかいろ
特性のそろった2つのトランジスタを使い、一方に流した電流と同じ(または一定比の)電流をもう一方に流す回路。アナログICのバイアス電流源や能動負荷に広く使われる。
クロスオーバーひずみくろすおーばーひずみ
B級プッシュプル増幅回路で、正と負の半周期を受け持つトランジスタが切り替わる0 V付近で、どちらも導通しないために生じるひずみ。わずかにバイアスを流すAB級で軽減する。
遮断領域しゃだんりょういき
バイポーラトランジスタの2つの接合がどちらも逆バイアスになり、コレクタ電流がほとんど流れない状態。スイッチのオフに相当する。
ダーリントン接続だーりんとんせつぞく
1つ目のトランジスタのエミッタ電流を2つ目のベースに入れる接続。全体の電流増幅率がそれぞれのほぼ積になり、小さなベース電流で大電流を制御できる。
電流増幅率(hFE)でんりゅうぞうふくりつ
バイポーラトランジスタのコレクタ電流とベース電流の比(IC/IB)。
トランジション周波数とらんじしょんしゅうはすう
エミッタ接地の電流増幅率が1まで下がる周波数で、fTと書く。トランジスタの高周波性能の代表的な指標。
能動領域のうどうりょういき
ベース-エミッタ間を順方向、ベース-コレクタ間を逆方向にバイアスした状態。ベース電流に比例したコレクタ電流が流れ、増幅に使う。
飽和領域ほうわりょういき
バイポーラトランジスタのベース-エミッタ接合とベース-コレクタ接合がどちらも順バイアスになった状態。コレクタ-エミッタ間電圧が0.1〜0.3 V程度まで下がり、スイッチのオンに相当する。
ミラー効果みらーこうか
反転増幅回路の入力と出力の間にある容量が、入力側から見ると(1 + 利得)倍に大きく見える効果。エミッタ接地やソース接地の回路の高周波特性を悪くする。

MOSFETこの分野の問題 →

LDD構造えるでぃーでぃーこうぞう
Lightly Doped Drain の略。ドレインのゲート側の端だけ不純物濃度を低くして電界を緩和し、ホットキャリアによる劣化を抑える構造。
貫通電流かんつうでんりゅう
CMOS回路で入力が切り替わる途中、pMOSとnMOSが同時にオンになる短い間に、電源からグラウンドへ流れる電流。短絡電流とも呼び、消費電力の一部になる。
基板バイアス効果きばんばいあすこうか
ソースと基板(ボディ)の間に逆バイアスを加えると、空乏層の電荷が増えてしきい値電圧が上がる現象。ボディ効果とも呼ぶ。しきい値の調整に利用されることもある。
サブスレッショルドスイングさぶすれっしょるどすいんぐ
しきい値電圧以下で、ドレイン電流を10倍変えるのに必要なゲート電圧。室温での理論的な下限は約60 mV/桁で、小さいほどオンとオフの切り替えが鋭い。
GIDL(ゲート誘起ドレインリーク)じーあいでぃーえる
ゲートとドレインが重なる部分の強い電界によってバンド間トンネル電流が流れ、オフ時のリーク電流が増える現象。DRAMのデータ保持などで問題になる。
CMOSしーもす
nMOSとpMOSを相補的に組み合わせた回路方式。定常状態で貫通電流がほとんど流れず、消費電力が小さい。
しきい値電圧しきいちでんあつ
MOSFETでチャネル(反転層)が形成され、電流が流れ始めるゲート電圧。Vthと書く。
相互コンダクタンスそうごこんだくたんす
ゲート電圧の変化に対するドレイン電流の変化の割合で、gmと書く。トランジスタの増幅能力を表し、増幅回路の利得はおおよそgmと負荷抵抗の積で決まる。
速度飽和そくどほうわ
強い電界の下で、キャリアのドリフト速度が電界に比例せず、約1×10⁷ cm/sで頭打ちになる現象。短チャネルのMOSFETでは、ドレイン電流が2乗則より小さくなる原因になる。
短チャネル効果たんちゃねるこうか
ゲート長が短くなると、ドレインの電界の影響でしきい値電圧が下がったり、オフ時のリーク電流が増えたりする現象。
チャネル長変調ちゃねるちょうへんちょう
飽和領域のMOSFETで、ドレイン電圧を上げるとピンチオフ点がソース側へ移り、実効的なチャネル長が短くなってドレイン電流がわずかに増える現象。出力抵抗を有限にする。
DIBLでぃぶる
Drain Induced Barrier Lowering の略。短チャネルのMOSFETで、ドレイン電圧が高いほどソース側の電位障壁が下がり、しきい値電圧が低下する現象。オフ時のリーク電流を増やす。
トランスミッションゲートとらんすみっしょんげーと
nMOSとpMOSを並列につないだアナログスイッチ。nMOSが0を、pMOSが1を得意とするため、どちらの値も電圧の低下なく伝えられる。
パンチスルーぱんちするー
ソースとドレインの空乏層がつながり、ゲートで制御できない電流が流れる現象。チャネルが短すぎたり基板の濃度が低すぎたりすると起こる。
反転層はんてんそう
ゲート電圧によって半導体表面に、もとの型と逆のキャリアが集まってできる層。MOSFETのチャネルになる。
フラットバンド電圧ふらっとばんどでんあつ
MOS構造で、半導体表面のバンドが曲がらず平らになるときのゲート電圧。ゲートと基板の仕事関数の差と、酸化膜中の電荷で決まり、しきい値電圧を構成する要素の一つ。

論理回路この分野の問題 →

カルノー図かるのーず
論理関数の真理値表を、隣り合うマスが1ビットだけ違うように並べた図。1のマスをまとめて囲むことで、論理式を目で見て簡単化できる。
組み合わせ回路くみあわせかいろ
出力がそのときの入力だけで決まる論理回路。加算器やマルチプレクサ、デコーダなど。
グリッチぐりっち
信号の経路ごとの遅延の差などによって、出力に一瞬だけ現れる不要なパルス。組み合わせ回路ではハザードとも呼び、DAコンバータではコードの切り替わりで生じる。
グレイコードぐれいこーど
隣り合う値の間で1ビットだけが変化する符号。ロータリーエンコーダや、異なるクロック間でのカウンタ値の受け渡しで、読み取りの誤りを防ぐのに使われる。
クロックスキューくろっくすきゅー
同じクロック信号が、フリップフロップごとに到着する時刻のずれ。セットアップやホールドの余裕を変えるため、クロックツリー合成で小さく抑える。
シフトレジスタしふとれじすた
フリップフロップを直列につなぎ、クロックごとにデータを1ビットずつ隣へ移す回路。シリアルとパラレルのデータ変換や、スキャンテストのチェーンに使われる。
順序回路じゅんじょかいろ
フリップフロップなどで状態を記憶し、出力が入力と過去の状態の両方で決まる論理回路。カウンタやレジスタなど。
真理値表しんりちひょう
入力のすべての組み合わせに対する出力を一覧にした表。論理回路の動作を表すのに使う。
セットアップ時間せっとあっぷじかん
フリップフロップでクロックの有効なエッジより前に、データ入力を確定させておかなければならない最小の時間。守れない経路は、回路の最大動作周波数を制限する。
全加算器ぜんかさんき
2つのビットと下位の桁からの桁上げの3入力を足し、和と上位への桁上げを出す回路。桁上げ入力のないものは半加算器。直列につなぐと多ビットの加算器になる。
デコーダでこーだ
nビットの入力に応じて、2ⁿ本の出力のうち1本だけを有効にする回路。メモリのアドレスから読み書きする行を選ぶのに使われる。逆の働きをする回路はエンコーダ。
ド・モルガンの定理どもるがんのていり
「AかつBの否定は、Aの否定またはBの否定」「AまたはBの否定は、Aの否定かつBの否定」という論理式の変換規則。
トライステートバッファとらいすてーとばっふぁ
0と1に加えて、出力を切り離した高インピーダンスの状態をとれるバッファ。複数の回路が1本のバスを共有するときに、出力の衝突を防ぐ。
2の補数にのほすう
負の整数を表す一般的な2進数の表現。ビットを反転して1を足すと符号が逆になる。nビットで −2ⁿ⁻¹ から 2ⁿ⁻¹ − 1 までを表せ、加算回路をそのまま減算に使える。
フリップフロップふりっぷふろっぷ
1ビットの情報を保持する順序回路の基本素子。D型はクロックのエッジで入力を取り込む。
ホールド時間ほーるどじかん
フリップフロップでクロックの有効なエッジの後も、データ入力を変えずに保たなければならない最小の時間。違反するとクロック周波数を下げても直らないため、遅延を追加して対策する。
マルチプレクサまるちぷれくさ
選択信号に応じて、複数の入力から1つを選んで出力する回路。セレクタとも呼ぶ。逆に1つの入力を複数の出力の1つに振り分ける回路をデマルチプレクサという。
メタステーブルめたすてーぶる
フリップフロップでセットアップ時間やホールド時間が守られないとき、出力がしばらく0とも1とも定まらない状態。非同期信号は2段のフリップフロップで同期化して対策する。

アナログ・電子回路この分野の問題 →

位相余裕(フェーズマージン)いそうよゆう
負帰還ループの利得が1(0 dB)になる周波数で、位相の遅れが180°に達するまでの余裕。小さいと応答が振動的になり、0以下では発振する。一般に45〜60°以上を目安にする。
1/f雑音(フリッカ雑音)えふぶんのいちざつおん
周波数が低いほど大きくなる雑音。MOSFETではゲート絶縁膜との界面のトラップがキャリアを捕まえたり放したりすることで生じ、低周波のアナログ回路で問題になる。
LDOえるでぃーおー
Low Drop-Out の略で、入力と出力の電圧差が小さくても動作するリニアレギュレータ。ノイズが少ないが、電圧差に電流を掛けた分が熱として失われる。
オペアンプおぺあんぷ
差動入力と高い増幅率をもつ増幅器。負帰還をかけて増幅回路やフィルタなどに使う。
仮想短絡(イマジナリーショート)かそうたんらく
負帰還をかけた理想オペアンプで、2つの入力端子の電圧がほぼ等しくなる性質。電流は流れないのに短絡したように扱えるため、増幅回路の利得を簡単に求められる。
カットオフ周波数かっとおふしゅうはすう
フィルタや増幅器の出力が通過域から3 dB(約0.707倍)下がる周波数。RC回路では1/(2πRC)。
計装アンプ(インスツルメンテーションアンプ)けいそうあんぷ
オペアンプ3個などで構成し、入力インピーダンスが高くCMRRの大きい差動増幅器。センサーからの微小な差動信号を高精度に増幅するのに使う。
コンパレータこんぱれーた
2つの入力電圧の大小を比べ、その結果をHかLの2値で出力する回路。ADコンバータの基本的な構成要素でもある。
差動増幅回路さどうぞうふくかいろ
2つの入力の差を増幅し、両方に共通な成分(雑音など)は打ち消す回路。オペアンプの入力段に使われる。
CMRR(同相信号除去比)しーえむあーるあーる
差動増幅回路で、差動信号の利得と、両入力に同じように加わる同相信号の利得の比。大きいほど、配線に乗る共通の雑音を除去できる。
時定数じていすう
RC回路などのステップ応答の速さを表す量で、RC回路では τ = RC。τの時間で最終値の約63%に達し、約5τでほぼ落ち着く。
シュミットトリガしゅみっととりが
入力が上がるときと下がるときでしきい値が異なる(ヒステリシスをもつ)回路。ゆっくり変化する信号やノイズの乗った信号でも、出力がばたつかない。
スルーレートするーれーと
オペアンプの出力電圧が変化できる最大の速さで、V/µsで表す。大きな振幅の高い周波数の信号では、これが足りないと波形がひずむ。
トランスインピーダンスアンプとらんすいんぴーだんすあんぷ
入力電流を電圧に変換する増幅回路。オペアンプの反転入力に電流を入れ、帰還抵抗で電圧に変える。フォトダイオードの信号を読み出すのに使われる。
熱雑音(ジョンソン雑音)ねつざつおん
抵抗の中の電子の熱運動によって生じる雑音。電圧の2乗平均は 4kTRΔf で、温度、抵抗値、帯域幅に比例する。
バンドギャップ基準電圧回路ばんどぎゃっぷきじゅんでんあつかいろ
温度で下がるダイオードの電圧と、温度で上がる電圧を足し合わせ、温度に依存しにくい約1.2 Vの基準電圧をつくる回路。ADCや電源ICの基準に広く使われる。
PSRR(電源電圧変動除去比)ぴーえすあーるあーる
電源電圧の変動が回路の出力にどれだけ伝わりにくいかを表す指標。大きいほど電源のノイズに強い。
PLL(位相同期回路)ぴーえるえる
基準クロックとの位相差を検出して発振器を制御し、基準に同期した、整数倍などの周波数のクロックをつくる回路。CPUのクロック生成や無線の周波数合成に使われる。
負帰還ふきかん
出力の一部を入力に逆の極性で戻すこと。増幅率は下がるが、利得が安定し、ひずみや帯域が改善する。
ボルテージフォロワぼるてーじふぉろわ
出力を反転入力に直接つないだ、利得1のオペアンプ回路。入力インピーダンスが高く出力インピーダンスが低いので、バッファに使う。
利得帯域幅積(GBW)りとくたいいきはばせき
オペアンプの利得と帯域幅の積で、ほぼ一定になる値。例えばGBWが1 MHzなら、利得10倍の回路の帯域は約100 kHzになる。

AD/DA変換この分野の問題 →

R-2Rラダー型DACあーるつーあーるらだーがただっく
Rと2Rの2種類の抵抗だけをはしご状に並べたDAコンバータ。必要な抵抗の種類が少なく、ビット数を増やしても抵抗値の比が大きくならない。
INL(積分非直線性)あいえぬえる
ADコンバータやDAコンバータの実際の入出力特性が、理想的な直線からどれだけ離れているかの最大値。DNLを積み重ねたものに相当する。
ENOB(有効ビット数)いーのぶ
実際のADコンバータの雑音やひずみを含めた性能(SINAD)を、理想的なADCのビット数に換算した値。12ビットのADCでもENOBが10ビット程度になることは珍しくない。
エイリアシングえいりあしんぐ
サンプリング周波数の半分を超える成分が、低い周波数の成分として誤って現れる現象。AD変換の前にローパスフィルタで防ぐ。
オーバーサンプリングおーばーさんぷりんぐ
信号に必要な周波数(ナイキスト周波数の2倍)より十分高い周波数でサンプリングすること。量子化雑音を広い帯域に散らし、信号帯域の雑音を減らせる。ΔΣ型ADCの基本となる。
サンプリング定理さんぷりんぐていり
信号に含まれる最高周波数の2倍より高い周波数で標本化すれば、元の信号を復元できるという定理。標本化定理ともいう。
サンプルホールド回路さんぷるほーるどかいろ
入力信号の電圧をある瞬間に取り込み(サンプル)、AD変換が終わるまでその値を一定に保持(ホールド)する回路。スイッチとコンデンサで構成する。
ジッタじった
クロックや信号のエッジのタイミングの、理想からの細かな時間的なゆらぎ。高い周波数の信号をサンプリングするとき、わずかなジッタでも大きな電圧誤差になる。
逐次比較型ADCちくじひかくがたえーでぃーしー
内部のDACと比較器を使い、上位ビットから1ビットずつ決めていくADC。速度と精度、消費電力のバランスがよい。
DNL(微分非直線性)でぃーえぬえる
ADコンバータの隣り合うコードの間のステップ幅が、理想的な1 LSBからどれだけずれているかを表す誤差。−1 LSBに達するとミッシングコードになる。
ΔΣ型ADCでるたしぐまがたえーでぃーしー
高い周波数でオーバーサンプリングし、量子化雑音を高い周波数へ追いやってから取り除くADC。音声や計測などの高分解能の用途に使う。
ナイキスト周波数ないきすとしゅうはすう
サンプリング周波数の半分の周波数。これを超える成分をサンプリングすると、低い周波数の信号として現れる(エイリアシング)。
ノイズシェーピングのいずしぇーぴんぐ
帰還ループを使って量子化雑音を高い周波数側へ追いやり、信号帯域の雑音を減らす技術。ΔΣ型ADCで、オーバーサンプリングと組み合わせて高い分解能を得る。
パイプライン型ADCぱいぷらいんがたえーでぃーしー
変換を複数の段に分け、各段が数ビットずつ決めて残りの誤差を次の段へ送る、流れ作業のようなADコンバータ。高速と中〜高分解能を両立する。
フラッシュ型ADCふらっしゅがたえーでぃーしー
多数のコンパレータを並べて入力を一度に比較する、最も高速なADコンバータ。Nビットには 2ᴺ − 1 個のコンパレータが必要で、分解能を上げると回路が急に大きくなる。
ミッシングコードみっしんぐこーど
入力を変化させても、ADコンバータのある出力コードが一度も現れない不具合。DNLが−1 LSBに達したときに起こる。
量子化誤差りょうしかごさ
連続したアナログ値を有限のビット数のデジタル値に丸めるときに生じる誤差。最大で1 LSBの半分。

デバイス

DRAMこの分野の問題 →

ECC(誤り訂正符号)いーしーしー
データに冗長なビットを付け加え、読み出し時に誤ったビットを検出・訂正する仕組み。サーバー用メモリやフラッシュメモリ、DDR5のチップ内部などで使われる。
LPDDRえるぴーでぃーでぃーあーる
Low Power DDR の略。スマートフォンやノートパソコン向けに、低い電源電圧や省電力の機能を強化したDRAMの規格。
CASレイテンシきゃすれいてんし
DRAMで、列アドレスを指定した読み出しコマンドから、データが出力されるまでのクロック数。CLと略す。値が小さいほど応答が速い。
冗長救済じょうちょうきゅうさい
メモリの不良セルを含む行や列を、あらかじめ用意した予備の行や列に置き換えて良品にする技術。テストで不良の位置を調べ、ヒューズなどで切り替える。歩留まりを大きく上げる。
センスアンプせんすあんぷ
メモリセルから読み出したわずかな電圧差を増幅し、0か1かを判定する回路。
DDR SDRAMでぃーでぃーあーるえすでぃーらむ
クロックの立ち上がりと立ち下がりの両方でデータを転送する同期型DRAM。DDR4、DDR5と世代を重ねて転送速度を上げてきた。パソコンやサーバーの主記憶の標準。
DIMMでぃむ
複数のDRAMチップを小さな基板に載せ、パソコンやサーバーのスロットに差し込めるようにしたメモリモジュール。
バンクばんく
DRAMの内部を独立して動作できるいくつかの区画に分けたもの。異なるバンクの活性化や読み書きを重ねて行うことで、実効的なアクセス性能を高める。
ビット線びっとせん
メモリセルのデータを読み書きするための配線。DRAMでは、セルの電荷によるビット線の小さな電位の変化をセンスアンプで増幅する。
プリチャージぷりちゃーじ
メモリの読み出しの前に、ビット線をあらかじめ決まった電位(DRAMでは電源電圧の半分など)に充電しておく動作。DRAMでは、開いていた行を閉じて次の行の活性化に備える操作も指す。
メモリウォールめもりうぉーる
プロセッサの演算性能の向上に、メモリの帯域や遅延の改善が追いつかず、全体の性能が制限される問題。HBMやキャッシュの大容量化、先端パッケージなどで対策される。
リフレッシュりふれっしゅ
DRAMのキャパシタの電荷がリークで失われる前に、定期的にデータを読み出して書き直す動作。
ロウハンマーろうはんまー
DRAMで同じ行を短時間に何度も活性化すると、隣の行のセルの電荷が失われてデータが反転してしまう現象。セキュリティ上の攻撃にも悪用されうるため、DRAM側やメモリコントローラで対策が取られている。
ワード線わーどせん
メモリセルのトランジスタのゲートにつながり、読み書きする行を選ぶ配線。
1T1Cセルわんてぃーわんしーせる
1個のトランジスタと1個のキャパシタで1ビットを記憶するDRAMのメモリセル。キャパシタの電荷の有無で0と1を表す。

SRAM・フラッシュメモリこの分野の問題 →

ウェアレベリングうぇあれべりんぐ
フラッシュメモリの書き換えが特定のブロックに集中しないよう、書き込み先を分散させて寿命を延ばす技術。
SLC(シングルレベルセル)えすえるしー
フラッシュメモリの1つのセルに1ビットを記憶する方式。しきい値電圧の状態が2つだけなので、多値の方式より速く、書き換え可能回数も多い。
NVMeえぬぶいえむいー
PCI Expressで接続したSSDを高速に扱うためのインターフェースの規格。多数のコマンドを並列に処理でき、HDD向けに作られたSATAより遅延が小さい。
FNトンネル電流(ファウラー・ノルドハイム)えふえぬとんねるでんりゅう
強い電界をかけたときに、電子が薄い絶縁膜の三角形の障壁をトンネル効果で通り抜けて流れる電流。NANDフラッシュの書き込みと消去に使われる。
書き込み増幅(ライトアンプリフィケーション)かきこみぞうふく
ホストが書き込んだデータ量より、ガベージコレクションなどのためにフラッシュメモリに実際に書き込まれるデータ量が多くなること。大きいほどSSDの寿命が縮む。
ガベージコレクションがべーじこれくしょん
SSDで、無効になったデータを含むブロックから有効なデータだけを別の場所に移し、ブロックを消去して空き領域をつくる処理。
3D NANDすりーでぃーなんど
NANDフラッシュのメモリセルを垂直方向に多数積み重ねて大容量化したもの。平面の微細化の限界を超えるために導入され、積層数は200層以上に達している。
TLC(トリプルレベルセル)てぃーえるしー
フラッシュメモリの1つのセルに3ビットを記憶する方式。8つのしきい値電圧の状態を区別する必要があり、容量あたりのコストは下がるが、書き換え可能回数は少なくなる。1セル4ビットはQLC。
電荷トラップ型セルでんかとらっぷがたせる
フローティングゲートの代わりに、シリコン窒化膜などの絶縁膜の中のトラップに電子を蓄えるフラッシュメモリのセル。3D NANDで主に使われる。
TRIMとりむ
OSが削除したファイルの領域をSSDに知らせるコマンド。不要になったデータをSSDが把握できるため、ガベージコレクションの効率が上がる。
NAND型フラッシュメモリなんどがたふらっしゅめもり
メモリセルを直列に接続した構造の不揮発性メモリ。高集積で大容量化しやすく、SSDやメモリカードに使われる。
NOR型フラッシュメモリのあがたふらっしゅめもり
セルを並列に接続したフラッシュメモリ。ランダムな読み出しが速く、マイコンのプログラムの格納などに使われる。
不揮発性メモリふきはつせいめもり
電源を切っても記憶したデータが消えないメモリ。フラッシュメモリやMRAMなど。DRAMやSRAMは揮発性。
フローティングゲートふろーてぃんぐげーと
フラッシュメモリのセルで、周囲を絶縁膜で囲まれた電極。ここに電子を蓄えるとトランジスタのしきい値電圧が変わり、電源を切ってもデータが保たれる。
リードディスターブりーどでぃすたーぶ
NANDフラッシュで同じブロックを何度も読み出すうちに、読み出していないセルにも弱い電圧がかかり、しきい値電圧が少しずつ変化する現象。
6T SRAMセルろくてぃーえすらむせる
交差接続した2つのインバータ(4個)と、アクセス用の2個のトランジスタからなるSRAMのメモリセル。

次世代メモリこの分野の問題 →

インメモリコンピューティングいんめもりこんぴゅーてぃんぐ
メモリアレイの中で積和演算などの計算を行い、メモリとプロセッサの間のデータ移動を減らす考え方。抵抗変化素子などをAIの推論処理に使う研究が進んでいる。
SOT-MRAMえすおーてぃーえむらむ
重金属層に流す電流によるスピン軌道トルクで磁化を反転させるMRAM。書き込みと読み出しの電流経路を分けられ、高速で書き換えに強い。
STT-MRAMえすてぃーてぃーえむらむ
スピン偏極した電流がもつスピントランスファートルクで、MTJの記録層の磁化を反転させて書き込むMRAM。組み込み用の不揮発メモリとして量産されている。
FeRAM(強誘電体メモリ)えふいーらむ
強誘電体の分極の向きで情報を記憶する不揮発性メモリ。書き込みが速く低電力で、ICカードなどに使われる。
MRAMえむらむ
磁気トンネル接合(MTJ)の磁化の向きによる抵抗の違いで情報を記憶する不揮発性メモリ。
カルコゲナイドかるこげないど
硫黄、セレン、テルルなどの16族元素を含む化合物。相変化メモリの記録材料(GSTなど)や、ある電圧で急に導通するセレクタ(OTS)に使われる。
クロスポイント型メモリくろすぽいんとがためもり
縦横の配線の交点に記憶素子を置く構造のメモリ。高密度にできるが、選択していないセルへの電流の回り込みを防ぐため、記憶素子と直列にセレクタ(選択素子)を入れる。
磁気トンネル接合(MTJ)じきとんねるせつごう
薄い絶縁膜を2つの磁性層で挟んだ構造。2層の磁化の向きがそろうと抵抗が低く、逆向きだと高くなる。MRAMの記憶素子。
ストレージクラスメモリすとれーじくらすめもり
DRAMとNANDフラッシュの間の、速度・容量・コストの差を埋めることをめざした不揮発性メモリ。3D XPointを使った製品が代表例だった。
3D XPointすりーでぃーくろすぽいんと
IntelとMicronが共同開発したクロスポイント型の不揮発性メモリ。相変化材料とOTSセレクタを積層し、「Optane」の名で販売されたが、2022年に事業の終息が発表された。
TMR比てぃーえむあーるひ
MTJで、磁化が平行のときと反平行のときの抵抗の差を、平行のときの抵抗で割った比。大きいほど0と1を読み分けやすい。MgOの障壁層で大きな値が得られる。
PCM(相変化メモリ)ぴーしーえむ
カルコゲナイド材料の結晶状態(低抵抗)とアモルファス状態(高抵抗)の違いで情報を記憶する不揮発性メモリ。
FeFET(強誘電体トランジスタ)ふぇふぇっと
ゲート絶縁膜に強誘電体を使ったトランジスタ。分極の向きでしきい値電圧が変わるため、トランジスタ1個で不揮発に記憶でき、非破壊で読み出せる。
フォーミングふぉーみんぐ
ReRAMの製造後、最初に比較的高い電圧を加えて、抵抗変化の起点となる導電性フィラメントをつくる初期化工程。
ReRAM(抵抗変化メモリ)りらむ
電圧をかけて酸化物などの中に導電パスをつくったり切ったりし、抵抗の違いで情報を記憶する不揮発性メモリ。

CPU・アーキテクチャこの分野の問題 →

IPCあいぴーしー
Instructions Per Cycle の略で、1クロックあたりに実行できる命令の数。CPUの設計上の効率を表し、性能はおおよそIPCとクロック周波数の積になる。逆数はCPI。
アウトオブオーダー実行あうとおぶおーだーじっこう
命令の依存関係を調べ、実行できる命令からプログラムの順序と異なる順に実行して性能を高める方式。結果はリオーダバッファで本来の順に確定させる。
アムダールの法則あむだーるのほうそく
プログラムの一部だけを並列化したとき、全体の高速化は並列化できない部分によって制限されるという法則。例えば90%を並列化しても、最大で10倍までしか速くならない。
SMT(同時マルチスレッディング)えすえむてぃー
1つのCPUコアで複数のスレッドの命令を同時に処理し、コア内の演算器を有効に使う技術。Intelはハイパースレッディングと呼ぶ。
NPU(ニューラルプロセッシングユニット)えぬぴーゆー
AIのニューラルネットワークの推論処理を、高速かつ低い消費電力で行うための専用回路。スマートフォンやパソコンのSoCに搭載されている。
仮想記憶かそうきおく
プログラムが使うアドレス(仮想アドレス)を、OSとハードウェアが実際のメモリの番地(物理アドレス)に対応させる仕組み。各プログラムが広く独立したメモリ空間を使える。
キャッシュコヒーレンシきゃっしゅこひーれんし
マルチコアのCPUで、各コアのキャッシュに同じアドレスのデータがあるとき、その内容の一貫性を保つ仕組み。あるコアが書き換えると、他のコアの古いコピーを無効にするなどして実現する。
キャッシュメモリきゃっしゅめもり
CPUの近くに置く高速・小容量のメモリ。よく使うデータを保持して主記憶との速度差を緩和する。主にSRAMでつくられる。
GPUじーぴーゆー
Graphics Processing Unit の略。単純な演算器を多数もち、大量のデータを並列に処理するプロセッサ。画像処理のほか、AIの学習や推論に広く使われている。
シストリックアレイしすとりっくあれい
多数の積和演算器を格子状に並べ、データを隣の演算器へ順に流しながら行列の積を計算する構成。AI向けのアクセラレータで使われる。
SIMDしむど
Single Instruction, Multiple Data の略。1つの命令で複数のデータに同じ演算を同時に行う方式。画像処理やAIの計算を高速化する。
スーパースカラすーぱーすから
1クロックサイクルに複数の命令を同時に発行・実行するプロセッサの方式。複数の演算器を並べ、互いに依存しない命令を並列に処理する。
DMA(ダイレクトメモリアクセス)でぃーえむえー
CPUを介さずに、周辺装置とメモリの間で直接データを転送する仕組み。大量のデータ転送の間もCPUが別の処理を進められる。
TLB(変換索引バッファ)てぃーえるびー
仮想アドレスから物理アドレスへの変換結果を保持する小さなキャッシュ。メモリ上のページテーブルを毎回たどらずに済むため、アドレス変換が速くなる。
TDP(熱設計電力)てぃーでぃーぴー
CPUなどが標準的な高負荷で動作したときに発生する熱量の目安。冷却装置の設計の基準になる。
DVFS(動的電圧・周波数制御)でぃーぶいえふえす
処理の負荷に応じて、動作周波数と電源電圧を動的に変える技術。動的消費電力は電圧の2乗に比例するため、軽い処理のときに電圧を下げると大きく省電力になる。
ノイマン型アーキテクチャのいまんがたあーきてくちゃ
プログラムとデータを同じ主記憶に置き、命令を順に読み出して実行するコンピュータの構成。
パイプライン処理ぱいぷらいんしょり
命令の処理を取り出し・解読・実行などの段階に分け、複数の命令を少しずつずらして同時に処理する方式。
分岐予測ぶんきよそく
条件分岐の結果を実行前に予測し、パイプラインを止めずに先の命令を処理する技術。予測が外れると処理をやり直す。
マイコン(マイクロコントローラ)まいこん
CPU、メモリ、タイマーやADCなどの周辺機能を1チップにまとめた小さなコンピュータ。家電や自動車などの機器に組み込まれ、制御を担う。MCUとも呼ぶ。
命令セットアーキテクチャ(ISA)めいれいせっとあーきてくちゃ
プロセッサが実行できる命令やレジスタなど、ソフトウェアから見たプロセッサの仕様。x86、Arm、RISC-Vなど。
割り込みわりこみ
外部機器からの要求などに応じて、実行中の処理を一時的に中断し、対応する処理を優先して行うCPUの仕組み。終わると元の処理に戻る。

パワー半導体この分野の問題 →

IGBTあいじーびーてぃー
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ。MOSゲートで駆動し、伝導度変調によって高耐圧でも低いオン電圧を得られる。
オン抵抗おんていこう
パワー半導体がオンのときの、電流が流れる経路の抵抗。小さいほど導通時の損失が少ない。
ゲートドライバげーとどらいば
制御回路の信号を受けて、パワーデバイスのゲートを適切な電圧と十分な電流で駆動する回路。高電圧側のスイッチを駆動するための絶縁やレベル変換の機能をもつものも多い。
スイッチング損失すいっちんぐそんしつ
パワー半導体がオンとオフを切り替える途中で、電圧と電流が同時にかかることで生じる損失。周波数が高いほど大きくなる。
スーパージャンクションMOSFETすーぱーじゃんくしょんもすふぇっと
ドリフト層にp型とn型の柱を交互に並べたパワーMOSFET。耐圧を保ったままドリフト層の濃度を上げられるため、シリコンの理論限界を超える低いオン抵抗が得られる。
スナバ回路すなばかいろ
スイッチング時に生じる電圧の跳ね上がり(サージ)やリンギングを抑えるため、パワーデバイスに並列に入れる抵抗やコンデンサなどの回路。
ソフトスイッチングそふとすいっちんぐ
スイッチの両端の電圧や流れる電流がほぼゼロのときにオン・オフする方式。ゼロ電圧スイッチング(ZVS)などがあり、スイッチング損失とノイズを減らせる。
SiC(炭化ケイ素)たんかけいそ
バンドギャップ約3.3 eVのワイドギャップ半導体。絶縁破壊電界が高く、高耐圧・低損失のパワーデバイスに使われる。
短絡耐量たんらくたいりょう
インバータで上下のスイッチが同時にオンするなどの短絡が起きたとき、パワーデバイスが破壊されずに耐えられる時間。保護回路はこの時間内に電流を遮断する必要がある。
DC-DCコンバータでぃーしーでぃーしーこんばーた
直流の電圧を別の大きさの直流の電圧に変換する回路。スイッチとコイル、コンデンサを使い、入力より低い電圧にする降圧型や、高い電圧にする昇圧型がある。
テール電流てーるでんりゅう
IGBTのターンオフ時に、蓄積された少数キャリアのために電流がすぐに0にならず、尾を引くように流れ続ける電流。ターンオフ損失の原因になる。
デッドタイムでっどたいむ
インバータの上下のスイッチを切り替えるとき、両方をオフにしておく短い時間。上下が同時にオンして電源が短絡するのを防ぐ。
ノーマリーオフのーまりーおふ
ゲート電圧が0 Vのときに電流が流れない特性。駆動回路が故障したときでも電流が流れ続けないため、パワーデバイスで安全上求められる。
パワーMOSFETぱわーもすえふいーてぃー
大きな電流や電圧を扱えるようにしたMOSFET。スイッチングが速く、電源回路などで広く使われる。
ボディダイオードぼでぃだいおーど
パワーMOSFETの構造上、ソースとドレインの間に寄生的にできるダイオード。インバータで還流ダイオードとして使えるが、逆回復の特性に注意が必要。

イメージセンサ・光デバイスこの分野の問題 →

暗電流あんでんりゅう
光が当たっていないのにフォトダイオードに流れる電流。熱によるキャリアの発生などが原因で、温度が上がると増え、暗い画像のノイズになる。
埋め込みフォトダイオード(ピンドフォトダイオード)うめこみふぉとだいおーど
表面に高濃度のp+層を設け、受光部を表面から離したフォトダイオード。界面準位による暗電流を抑え、電荷を完全に転送できる。現在のCMOSイメージセンサの標準。
グローバルシャッターぐろーばるしゃったー
すべての画素を同時に露光する電子シャッター方式。行ごとに順に読み出すローリングシャッターと違い、動く物の像がゆがまない。
固定パターンノイズこていぱたーんのいず
画素や読み出し回路ごとの特性のばらつきによって、毎回同じ位置に同じように現れるノイズ。相関二重サンプリングや補正で取り除く。
CCDイメージセンサしーしーでぃーいめーじせんさ
画素の電荷をバケツリレーのように順に転送し、出力部で電圧に変換するイメージセンサ。低ノイズで画質が高かったが、消費電力が大きく、現在は多くの用途でCMOSに置き換わった。
CMOSイメージセンサーしーもすいめーじせんさー
画素ごとに増幅回路をもち、CMOSプロセスで作るイメージセンサー。低消費電力で周辺回路を集積でき、スマートフォンのカメラなどの主流。
ショットノイズしょっとのいず
光子や電子の数の統計的なゆらぎによる雑音。信号の電子数をNとすると大きさは√Nに比例するため、光が少ないほど信号に対して相対的に大きくなる。
SPAD(単一光子アバランシェダイオード)すぱっど
降伏電圧を超える逆バイアスで動作させ、光子1個でもなだれ増倍で大きなパルスを出す受光素子。LiDARなどの距離測定に使われる。
積層型CMOSイメージセンサせきそうがたしーもすいめーじせんさ
画素部と信号処理回路を別々のチップでつくり、重ね合わせて接合したイメージセンサ。それぞれに適したプロセスを使え、チップを小さく、処理を速くできる。
相関二重サンプリング(CDS)そうかんにじゅうさんぷりんぐ
画素をリセットしたときの電圧と、信号を読み出したときの電圧の差をとる処理。リセットノイズや画素ごとのオフセットを取り除ける。
ToF(Time of Flight)てぃーおーえふ
照射した光が対象物で反射して戻ってくるまでの時間から距離を求める方式。ToFセンサは顔認証やロボット、自動車のLiDARなどに使われる。
フォトダイオードふぉとだいおーど
光を受けて電荷(電流)を発生させるダイオード。イメージセンサの画素の受光素子として使われる。
ベイヤー配列べいやーはいれつ
2×2の画素に赤・緑・緑・青のカラーフィルタを並べる配列。人の目の感度が高い緑を2つにしている。各画素の足りない色は周囲から補う(デモザイク)。
飽和電子数(フルウェル容量)ほうわでんしすう
イメージセンサの1画素に蓄えられる電子の最大数。大きいほど明るい部分まで白飛びせずに写せ、ダイナミックレンジが広がる。
マイクロレンズまいくろれんず
イメージセンサの各画素の上に置かれる小さなレンズ。光を集めてフォトダイオードへ効率よく導き、感度を高める。
裏面照射型(BSI)りめんしょうしゃがた
配線層のない基板の裏側から光を入れる構造のイメージセンサー。配線に光がさえぎられず、小さな画素でも感度が高い。
量子効率りょうしこうりつ
入射した光子のうち、信号となる電子に変換される割合。高いほど感度がよい。
ローリングシャッターろーりんぐしゃったー
画素の行ごとに順番に露光と読み出しを行う方式。回路が簡単だが、速く動く被写体はゆがんで写る。すべての画素を同時に露光する方式はグローバルシャッター。

化合物半導体この分野の問題 →

ウルツ鉱型構造うるつこうがたこうぞう
GaNやZnOなどがとる六方晶の結晶構造。結晶の向きによって分極が生じ、GaN HEMTの2次元電子ガスはこの分極によってつくられる。
MMICえむえむあいしー
Monolithic Microwave Integrated Circuit の略。GaAsなどの基板の上に、トランジスタとともにインダクタやコンデンサなどの受動素子を集積した高周波用のIC。
GaAs(ガリウムヒ素)がりうむひそ
ガリウムとヒ素からなるIII-V族の化合物半導体。直接遷移型でバンドギャップは約1.42 eV。電子移動度が高く、高周波のトランジスタや赤外のLED、レーザーに使われる。
効率ドループこうりつどるーぷ
InGaN系のLEDで、電流を大きくすると発光効率がかえって下がる現象。オージェ再結合などが原因と考えられている。
混晶半導体こんしょうはんどうたい
AlGaAsやInGaNのように、複数の元素を混ぜた結晶の半導体。組成比を変えることで、バンドギャップや格子定数を連続的に調整できる。
Ga2O3(酸化ガリウム)さんかがりうむ
バンドギャップが約4.5〜4.9 eVと、SiCやGaNよりさらに大きい酸化物半導体。融液から結晶を育てられ、次世代のパワー半導体材料として研究が進んでいる。
III-V族化合物半導体さんごぞくかごうぶつはんどうたい
III族元素(Ga、In、Alなど)とV族元素(As、P、Nなど)からなる半導体。GaAs、InP、GaNなど。
GaN(窒化ガリウム)ちっかがりうむ
バンドギャップ約3.4 eVのIII-V族化合物半導体。青色LEDや高周波・パワーデバイスに使われる。
直接遷移型ちょくせつせんいがた
伝導帯の底と価電子帯の頂上が同じ波数にあるバンド構造。電子と正孔の再結合で効率よく発光する。GaAsなど。
2次元電子ガス(2DEG)にじげんでんしがす
AlGaN/GaNなどのヘテロ接合の界面に、薄い層に閉じ込められて生じる高密度の電子の層。不純物による散乱が少なく移動度が高いため、HEMTのチャネルとして使われる。
VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)びくせる
基板に垂直な方向に光を出す半導体レーザー。ウエハのまま検査でき、2次元に並べるのも容易なため、データ通信や顔認証の光源などに使われる。
ベガード則べがーどそく
混晶の格子定数が、組成に対してほぼ直線的に変化するという経験則。目的の基板に格子整合する組成を求めるのに使う。
HEMT(高電子移動度トランジスタ)へむと
ヘテロ接合の界面にできる高移動度の2次元電子ガスをチャネルに使うトランジスタ。高周波・高出力の用途に使われる。
量子井戸りょうしいど
バンドギャップの小さい数nmの薄い層を、バンドギャップの大きい層で挟んだ構造。キャリアを閉じ込めて再結合を起こしやすくするため、LEDやレーザーの発光層に使われる。
InP(リン化インジウム)りんかいんじうむ
インジウムとリンからなる化合物半導体。InGaAsなどを格子整合させて成長させる基板として、光ファイバ通信用のレーザーや受光素子、高速のトランジスタに使われる。
ワイドバンドギャップ半導体わいどばんどぎゃっぷはんどうたい
シリコンよりバンドギャップが大きい半導体。SiCやGaNなど。絶縁破壊電界が高く、高電圧・高温での動作に強い。

先端トランジスタ(FinFET・GAA)この分野の問題 →

EOT(等価酸化膜厚)いーおーてぃー
High-k膜などのゲート絶縁膜を、同じゲート容量を与えるSiO2膜の厚さに換算した値。物理的には厚くてもEOTは薄くでき、トンネル電流を抑えながらゲート容量を確保できる。
SADP(自己整合ダブルパターニング)えすえーでぃーぴー
芯になるパターンの側壁に膜(スペーサー)をつくり、芯を除いてスペーサーをマスクにすることで、リソグラフィの限界の半分のピッチをつくる技術。2回繰り返すものはSAQP。
FD-SOI(完全空乏型SOI)えふでぃーそい
埋め込み酸化膜の上の非常に薄いシリコン層にトランジスタをつくり、チャネルを完全に空乏化させる技術。チャネルの不純物を少なくでき、基板バイアスでしきい値電圧を調整しやすい。
ゲートラスト(リプレースメントメタルゲート)げーとらすと
先にダミーのゲートでトランジスタを形成し、ソース・ドレインの活性化などの高温工程の後でダミーを取り除いて、High-k膜と金属ゲートに置き換える製法。
GAA(ゲートオールアラウンド)じーえーえー
チャネルの周囲を全方向からゲートで囲むトランジスタ構造。FinFETより電流の制御性が高く、FinFETの次の世代で使われる。
CFET(相補型FET)しーふぇっと
nMOSとpMOSのトランジスタを縦に積み重ねる構造。CMOSの回路の面積を大きく縮小できるとして開発が進められている。
DTCO(設計・技術協調最適化)でぃーてぃーしーおー
微細化が難しくなるなか、回路の設計とプロセス技術を同時に検討して、セルの面積や性能を最適化する取り組み。
ナノシートなのしーと
薄い板状のシリコンのチャネルを縦に何枚も積み重ね、それぞれをゲートで囲むGAAトランジスタの構造。シートの幅で電流を調整できる。
High-k/メタルゲートはいけーめたるげーと
高誘電率のゲート絶縁膜と金属のゲート電極の組み合わせ。ゲートリークを抑えながらゲート容量を確保できる。
FinFETふぃんふぇっと
ひれ(フィン)状に立てたチャネルをゲートが3方向から囲む立体構造のトランジスタ。短チャネル効果を抑えやすい。
ランダムドーパントゆらぎ(RDF)らんだむどーぱんとゆらぎ
微細なトランジスタで、チャネル中の不純物原子の数や位置の統計的なばらつきによって、しきい値電圧がばらつく現象。チャネルを低濃度にできるFinFETやFD-SOIで抑えられる。

MEMS・センサこの分野の問題 →

加速度センサーかそくどせんさー
ばねで支えた小さなおもりの動きから加速度を検出するセンサー。スマートフォンの向きの検出やエアバッグなどに使われる。
犠牲層エッチングぎせいそうえっちんぐ
構造の下に一時的に置いた層(犠牲層)をエッチングで取り除き、動ける梁や膜を浮かせる、MEMSの代表的な加工法。
コリオリ力こりおりりょく
回転する座標系の中で運動する物体に、運動の向きと垂直に働く見かけの力。振動型のMEMSジャイロスコープは、この力による変位から角速度を検出する。
ジャイロスコープじゃいろすこーぷ
回転の速さ(角速度)を検出するセンサー。MEMSのものは振動する構造に働くコリオリ力を利用する。
スティクションすてぃくしょん
MEMSの微小な可動部が、表面張力や表面の吸着力によって基板に張り付き、動かなくなる現象。犠牲層を除去した後の乾燥などで起こりやすい。
静電容量検出せいでんようりょうけんしゅつ
可動電極と固定電極の間の静電容量の変化から、変位や圧力などを検出する方式。MEMSセンサーで広く使われる。
ピエゾ抵抗効果ぴえぞていこうこうか
機械的な応力が加わると、材料の電気抵抗率が変化する効果。シリコンでは特に大きく、半導体圧力センサなどに利用される。
ホール素子ほーるそし
ホール効果を利用して磁界を検出するセンサ。電流を流した半導体に磁界をかけると、電流と磁界に垂直な方向に電圧が生じる。モーターの回転検出などに使われる。
ボッシュプロセス(Deep RIE)ぼっしゅぷろせす
エッチングと側壁保護膜の堆積を短い周期で交互に繰り返し、シリコンに深く垂直な穴や溝を掘るドライエッチング技術。MEMSやTSVの加工に使われる。
MEMSめむす
微小電気機械システム。半導体の微細加工技術で微小な機械構造と電子回路をつくり込んだデバイス。
陽極接合ようきょくせつごう
シリコンとナトリウムを含むガラスを重ね、加熱しながら電圧をかけて接合する方法。MEMSの封止などに使われる。

前工程

シリコンウエハこの分野の問題 →

インゴットいんごっと
CZ法などで育成した、ウエハに切り出す前の円柱状の単結晶の塊。両端を切り落とし、外周を研削して直径をそろえてから薄くスライスする。
ウエハのノッチうえはののっち
ウエハの結晶方位を示すために外周に設けた小さな切り欠き。200 mm以上のウエハで使われ、それ以前はオリエンテーションフラット(直線部)が使われた。
SOIウエハえすおーあいうえは
シリコン基板の上に埋め込み酸化膜(BOX層)を挟んで薄いシリコン層をもつウエハ。水素イオンを注入したウエハを貼り合わせて剥離する方法などでつくる。寄生容量が小さく、FD-SOIやMEMSに使われる。
FZ法(フローティングゾーン法)えふぜっとほう
多結晶シリコンの棒の一部を加熱して溶かし、その溶けた帯を移動させて単結晶にする方法。るつぼを使わないため酸素が少なく、高抵抗のウエハに向く。
MCZ法(磁場印加CZ法)えむしーぜっとほう
CZ法で、るつぼに磁場をかけて融液の対流を抑える方法。結晶に取り込まれる酸素の濃度を制御しやすく、大口径の結晶で使われる。
結晶方位けっしょうほうい
結晶の面や方向の向きを表すもの。(100)のようにミラー指数で表し、MOSFET用のシリコンウエハでは(100)面が一般的。
ゲッタリングげったりんぐ
ウエハの中の金属不純物を、素子をつくる表面から離れた場所に集めて捕らえる技術。酸素析出物などを利用する。
サーマルドナーさーまるどなー
CZシリコンを450℃付近で熱処理したとき、酸素原子が集まってドナーとして働くもの。ウエハの抵抗率を変えてしまうため、高温の処理で消去する。
酸素析出物(BMD)さんそせきしゅつぶつ
CZシリコンに含まれる酸素が、熱処理によってウエハの内部に析出してできる微小な欠陥。BMDとも呼び、金属不純物を捕獲するゲッタリングサイトとして利用される。
シーメンス法しーめんすほう
トリクロロシランを水素で還元し、加熱したシリコンの棒の上に高純度の多結晶シリコンを析出させる製法。半導体用の原料シリコンの主な製造方法。
スリップすりっぷ
大口径のウエハを高温で熱処理するとき、面内の温度差や自重による応力で結晶面がずれ、転位が入る欠陥。リソグラフィの重ね合わせ不良などの原因になる。
CZ法(チョクラルスキー法)ちょくらるすきーほう
るつぼで溶かしたシリコンに種結晶を浸し、回転させながら引き上げて単結晶をつくる方法。
DZ(無欠陥層)でぃーぜっと
熱処理で表面付近の酸素を外に拡散させ、ウエハの表面に作る酸素析出物などの欠陥が少ない層。デバイスはこの層につくり、内部の析出物はゲッタリングに使う。
ネッキングねっきんぐ
CZ法の引き上げの初めに、種結晶の直後を細く絞って成長させる工程。種結晶を融液につけたときの熱衝撃で入った転位を結晶の外へ抜き、無転位の結晶にする。
偏析係数へんせきけいすう
融液から結晶が固まるとき、結晶中と融液中の不純物濃度の比。多くの不純物は1より小さいため融液に濃縮され、CZ結晶の後半ほど不純物濃度が高くなる。
モニターウエハもにたーうえは
装置の状態確認や膜厚・パーティクルの測定などのために、製品とは別に工程に流すウエハ。テストウエハとも呼ぶ。使用後は膜を除いて研磨し直し、再生ウエハとして再利用されることが多い。

エピタキシャル成長この分野の問題 →

HVPE(ハイドライド気相成長)えいちぶいぴーいー
塩化水素とガリウムの反応で生じた塩化ガリウムとアンモニアを使う気相成長法。成長速度が非常に速く、GaNの自立基板をつくる厚い結晶の成長に使われる。
エピタキシャル成長えぴたきしゃるせいちょう
単結晶基板の上に、基板の結晶方位をそろえて単結晶の薄膜を成長させる技術。
MOCVD(有機金属気相成長)えむおーしーぶいでぃー
有機金属化合物とアンモニアなどの原料ガスを使って結晶を成長させる方法。GaNやGaAsなどの化合物半導体の成長に広く使われる。
MBE(分子線エピタキシー)えむびーいー
超高真空中で、原料を分子線として基板に供給してエピタキシャル成長させる方法。膜厚や組成を原子層レベルで精密に制御でき、化合物半導体の研究や量子構造の作製に使われる。
オートドーピングおーとどーぴんぐ
エピタキシャル成長中に、基板などの不純物が気相を通じて成長層に取り込まれてしまう現象。高濃度の基板の上に低濃度の層を成長させるときに問題になる。
貫通転位かんつうてんい
成長層の中を表面まで突き抜けて伸びる転位。サファイアやシリコンの上のGaNでは密度が高く(10⁸〜10⁹ cm⁻²程度)、デバイスの特性や信頼性を下げる。
格子不整合こうしふせいごう
成長させる膜と基板の結晶の原子の間隔(格子定数)が異なること。大きいとひずみや転位などの欠陥が生じる。
SiGe(シリコンゲルマニウム)しりこんげるまにうむ
シリコンとゲルマニウムの混晶。シリコンより格子定数が大きく、エピタキシャル成長でチャネルにひずみを加えたり、HBTのベースやGAAの犠牲層に使ったりする。
ステップフロー成長すてっぷふろーせいちょう
結晶軸からわずかに傾けた基板の表面にある原子ステップから、横方向に結晶が広がる成長様式。SiCでは基板と同じ結晶多形を引き継ぐために使われる。
積層欠陥せきそうけっかん
結晶の原子面の積み重なりの順序が乱れた面状の欠陥。スタッキングフォルトとも呼ぶ。エピ層や熱酸化(OSF)、SiCの結晶などで問題になる。
選択エピタキシャル成長せんたくえぴたきしゃるせいちょう
絶縁膜で覆われていない、シリコンが露出した部分だけに結晶を成長させる方法。トランジスタのソース・ドレインのSiGeなどに使われる。
超格子ちょうこうし
異なる材料の層を数nm程度の厚さで交互に積み重ねた周期的な構造。本来の結晶にない電子的な性質が現れ、レーザーやバッファ層などに使われる。
ひずみシリコンひずみしりこん
結晶にひずみを加えてバンド構造を変え、キャリアの移動度を高めたシリコン。nMOSには引っ張り、pMOSには圧縮のひずみが有効で、ソース・ドレインのSiGeや窒化膜などで加える。
ヘテロエピタキシーへてろえぴたきしー
基板と異なる材料の単結晶膜を成長させること。シリコン上のSiGeや、サファイア上のGaNなど。同じ材料の場合はホモエピタキシー。
ミスフィット転位みすふぃっとてんい
格子定数の異なる結晶の界面に、ひずみを緩和するために入る転位。成長層が臨界膜厚を超えると発生する。
横方向エピタキシャル成長(ELO)よこほうこうえぴたきしゃるせいちょう
マスクの開口部から結晶を成長させ、マスクの上を横方向に広げる成長法。マスクの上の部分には下の層の転位が伝わりにくく、GaNなどの転位を減らせる。
4H-SiCよんえっちえすあいしー
SiCの結晶多形の一つで、パワーデバイスに主に使われるもの。バンドギャップが約3.3 eVと大きく、電子の移動度も比較的高い。
臨界膜厚りんかいまくあつ
格子定数の異なる層をヘテロエピタキシャル成長させるとき、転位を発生させずにひずみを保ったまま成長できる最大の膜厚。これを超えるとミスフィット転位が入る。

酸化・拡散この分野の問題 →

RTP(急速熱処理)あーるてぃーぴー
ランプなどでウエハを1枚ずつ、数秒程度の短時間で高温に加熱する熱処理。不純物の余分な拡散を抑えながら、アニールや薄い酸化膜の形成ができる。
ウェット酸化うぇっとさんか
水蒸気を含む雰囲気で行う熱酸化。ドライ酸化より成長が速く、厚い酸化膜をつくるのに使われる。
STI(シャロートレンチ分離)えすてぃーあい
シリコンに浅い溝を掘って絶縁膜を埋め込み、CMPで平坦化して素子どうしを分離する方法。LOCOSのバーズビークがなく、微細なLSIの素子分離の標準になっている。
界面準位かいめんじゅんい
半導体と絶縁膜の界面に、結合の切れた原子などによってできる禁制帯中のエネルギー準位。キャリアを捕まえたり放したりして、しきい値電圧の変動や移動度の低下、雑音の原因になる。
可動イオンかどういおん
ゲート酸化膜の中を移動できるナトリウムやカリウムなどのイオン。電界や温度によって移動し、しきい値電圧を変動させる。人の汗などから混入するため厳しく管理される。
酸化増速拡散(OED)さんかぞうそくかくさん
シリコンを酸化している間に、ボロンやリンの拡散が酸化していないときより速くなる現象。酸化で生じた格子間シリコンがシリコン中に注入されることが原因。
酸窒化膜(SiON)さんちっかまく
ゲート酸化膜に窒素を導入した膜。ゲート電極からのボロンの突き抜けを抑え、誘電率もわずかに高くなるため、High-k膜の導入前のゲート絶縁膜に使われた。
Deal-Groveモデルでぃーるぐろーぶもでる
シリコンの熱酸化を、酸化剤が酸化膜中を拡散してSi/SiO2界面でシリコンと反応する過程として表したモデル。薄いときは膜厚が時間に比例し、厚くなると時間の平方根に比例する。
ドライ酸化どらいさんか
乾燥した酸素で行う熱酸化。成長は遅いが、緻密で良質な酸化膜ができ、ゲート酸化膜などに使われる。
ドライブインどらいぶいん
熱拡散で、表面に一定量の不純物を導入(プレデポジション)したあと、高温で熱処理して不純物をより深く押し込む工程。押し込み拡散とも呼ぶ。
熱拡散ねつかくさん
高温で不純物原子を半導体の中へ拡散させてドーピングする方法。濃度の高いところから低いところへ広がる。
熱酸化ねつさんか
シリコンを酸素や水蒸気の中で加熱し、表面にSiO2膜をつくる方法。ドライ酸化とウェット酸化がある。
バーズビークばーずびーく
LOCOSで、窒化膜マスクの端の下に酸化膜が鳥のくちばし状に食い込む現象。素子の有効な面積を減らすため、微細化ではSTIに置き換えられた。
フォーミングガスアニールふぉーみんぐがすあにーる
水素と窒素の混合ガス(フォーミングガス)中での熱処理。水素がSi/SiO2界面のダングリングボンドを終端し、界面準位を減らす。
LOCOSろこす
窒化膜で覆っていない部分だけを厚く酸化して素子間を分離する方法。端に鳥のくちばし状の食い込み(バーズビーク)ができ、現在はSTIに置き換わった。

イオン注入この分野の問題 →

アニールあにーる
熱処理のこと。イオン注入後の結晶欠陥の回復や不純物の活性化などに用いる。
イオン注入いおんちゅうにゅう
不純物をイオン化し、加速してウエハに打ち込む技術。注入量と深さを精密に制御できる。
過渡増速拡散(TED)かとぞうそくかくさん
イオン注入後のアニールの初期に、注入で生じた過剰な格子間シリコンのため、ボロンなどの拡散が一時的に速くなる現象。浅い接合をつくる妨げになる。
固溶度こようど
ある温度で、結晶の中に溶け込める不純物の最大の濃度。電気的に活性化できるドーパントの濃度の上限を決める。
シャドウイングしゃどういんぐ
ウエハを傾けてイオン注入するとき、レジストなどの高いパターンの陰になって注入されない部分ができる現象。
スパイクアニールすぱいくあにーる
ウエハを急速に高温まで上げ、その温度にほとんど保持せずにすぐ下げる熱処理。不純物の拡散を抑えながら活性化でき、浅い接合の形成に使われる。
チャネリングちゃねりんぐ
イオンが結晶の原子の並びのすき間を通り抜けて、予想より深くまで入り込む現象。ウエハを傾けて注入するなどして防ぐ。
投影飛程とうえいひてい
注入したイオンが止まる深さの平均。加速エネルギーが大きいほど深く、イオンが軽いほど深くなる。
ドーズ量どーずりょう
イオン注入で、単位面積あたりに打ち込むイオンの数。cm⁻²の単位で表し、ビーム電流と注入時間で決まる。
ハロー注入(ポケット注入)はろーちゅうにゅう
ソース・ドレインの端に、チャネルと同じ導電型の不純物を斜めに注入する方法。ドレインの空乏層の広がりを抑え、短チャネル効果を抑える。
ファラデーカップふぁらでーかっぷ
イオンビームを受けて流れる電流を測定する部品。イオン注入装置で、注入したイオンの量(ドーズ)を求めるのに使う。
プラズマドーピングぷらずまどーぴんぐ
ウエハをドーパントを含むプラズマに直接さらし、低エネルギーのイオンを注入する方法。高いドーズを速く入れやすく、フィンなどの立体構造にも比較的均一にドーピングしやすい。
プリアモルファス化注入(PAI)ぷりあもるふぁすかちゅうにゅう
ゲルマニウムなどを先に注入して表面をアモルファス化し、その後の注入でのチャネリングを抑えて浅い接合を得る方法。
レーザーアニールれーざーあにーる
レーザー光でウエハの表面付近だけを極めて短い時間加熱する熱処理。拡散をほとんど起こさずに高い活性化が得られる。
レトログレードウェルれとろぐれーどうぇる
高エネルギーのイオン注入で、表面より深い位置の不純物濃度を高くしたウェル。表面のチャネルの濃度を低く保ちながら、パンチスルーやラッチアップを抑えられる。

成膜(CVD・PVD)この分野の問題 →

HDP-CVD(高密度プラズマCVD)えいちでぃーぴーしーぶいでぃー
高密度プラズマを使い、成膜と同時にイオンのスパッタで溝の入り口の膜を削りながら堆積するCVD。ボイドを抑えて狭い溝を絶縁膜で埋めるのに使われてきた。
ALDえーえるでぃー
原子層堆積。前駆体ガスの自己制限的な表面反応を繰り返し、原子層単位で膜厚を制御する成膜法。
LPCVD(減圧CVD)えるぴーしーぶいでぃー
減圧下で行う熱CVD。気体分子の拡散が速くなるため膜厚の均一性や段差被覆性がよく、多数のウエハを縦型炉で一度に処理できる。ポリシリコンや窒化膜の成膜に使われる。
CVDしーぶいでぃー
化学気相成長。原料ガスの化学反応によってウエハ上に薄膜を堆積する方法。
真空蒸着しんくうじょうちゃく
真空中で材料を加熱して蒸発させ、基板に付着させて膜をつくる方法。電子ビームで加熱すれば高融点の材料も扱えるが、段差被覆性は低い。
ステップカバレッジすてっぷかばれっじ
段差や穴の側面・底面に、平らな部分と比べてどれだけ均一な厚さで膜がつくかを表す指標。ALDは非常によい。
スパッタリングすぱったりんぐ
プラズマ中のイオンをターゲットに衝突させ、はじき出された原子をウエハに堆積させるPVDの一種。
スピンコートすぴんこーと
液状の材料をウエハの中心に滴下し、高速で回転させて遠心力で均一な薄い膜をつくる方法。フォトレジストや塗布型の絶縁膜の形成に使われる。
静電チャックせいでんちゃっく
静電気力でウエハを台に吸着して固定する機構。真空中でも使え、ウエハの温度を制御するために裏面にガスを流すこともできる。成膜やエッチングの装置で広く使われる。
TEOSてぃーおす
テトラエトキシシランの略。シリコン酸化膜のCVDで原料として広く使われる液体の有機シリコン化合物。段差被覆性のよい酸化膜が得られる。
電解めっきでんかいめっき
めっき液の中でウエハ側を陰極にして電流を流し、金属を析出させる成膜方法。Cu配線の溝の埋め込みに使われ、添加剤で底から先に埋まるように制御する。
反応性スパッタリングはんのうせいすぱったりんぐ
金属のターゲットを、窒素や酸素などの反応性ガスを含む雰囲気でスパッタし、窒化物や酸化物の膜をつくる方法。窒化チタン(TiN)などの成膜に使われる。
PECVD(プラズマCVD)ぴーいーしーぶいでぃー
プラズマで原料ガスを分解して膜を堆積するCVD。熱CVDより低い温度で成膜でき、配線工程の絶縁膜などに使われる。
マグネトロンスパッタリングまぐねとろんすぱったりんぐ
ターゲットの裏側に磁石を置き、磁場で電子をターゲット近くに閉じ込めてプラズマ密度を高めるスパッタリング。成膜速度が上がり、現在のスパッタ装置の主流。
領域選択成膜りょういきせんたくせいまく
下地の材料の違いを利用して、特定の場所だけに膜を成長させる技術。リソグラフィやエッチングの工程を減らせるため、先端の配線などで研究・導入が進んでいる。

リソグラフィこの分野の問題 →

EUV露光いーゆーぶいろこう
波長13.5 nmの極端紫外光を使う露光技術。反射光学系と真空環境を用いる。
位相シフトマスクいそうしふとますく
隣り合う開口部を通る光の位相をずらし、光の干渉を利用して像のコントラストや解像度を高めるフォトマスク。
ArFエキシマレーザーえーあーるえふえきしまれーざー
アルゴンとフッ素を使い、波長193 nmの紫外光を出すレーザー。液浸と組み合わせたArF液浸露光は、EUVと並ぶ先端の露光技術。波長248 nmのものはKrFエキシマレーザー。
液浸露光えきしんろこう
レンズとウエハの間を水で満たして露光する方法。開口数を1以上にでき、ArFエキシマレーザーでより細かいパターンを形成できる。
オーバーレイ(重ね合わせ精度)おーばーれい
前の工程でつくったパターンに対して、新しいパターンをどれだけ正確な位置に重ねられるか。ずれるとコンタクトが外れるなどの不良になるため、ナノメートル単位で管理する。
OPC(光学近接効果補正)おーぴーしー
光の回折などでパターンがゆがむのを見越して、マスクのパターンをあらかじめ補正しておく技術。
開口数(NA)かいこうすう
レンズが集められる光の角度の広がりを表す値。大きいほど解像度が高くなる。
化学増幅型レジストかがくぞうふくがたれじすと
露光で発生した酸が、露光後ベーク(PEB)で触媒として連鎖的に反応を進めるレジスト。少ない露光量で感光でき、KrF以降の露光で広く使われる。塩基性の汚染に弱い。
焦点深度(DOF)しょうてんしんど
パターンを許容できる品質で転写できる焦点の範囲。開口数を大きくすると解像度は上がるが焦点深度は浅くなるため、ウエハの平坦化が重要になる。
スキャナーすきゃなー
スリット状の光に対してマスクとウエハを同期して動かしながら露光する露光装置。現在の量産の露光装置の主流で、一般にマスクのパターンを1/4に縮小して投影する。
ナノインプリントリソグラフィなのいんぷりんとりそぐらふぃ
微細なパターンをもつ型(モールド)をウエハ上のレジストに押し付け、パターンを転写する技術。高価な光学系を使わずに微細なパターンをつくれる。
High-NA EUVはいえぬえーいーゆーぶい
投影光学系の開口数(NA)を従来のEUVの0.33から0.55に大きくし、解像度を高めた次世代のEUV露光装置。
反射防止膜(BARC)はんしゃぼうしまく
レジストの下に塗る膜で、下地からの反射光によるレジスト内の定在波や、段差での寸法のばらつきを抑える。
フォトマスク(レチクル)ふぉとますく
回路のパターンを描いた露光用の原版。石英ガラスの基板に遮光膜のパターンを形成する(EUVでは反射型)。縮小投影の露光装置ではウエハ上の4倍の大きさでつくる。
フォトレジストふぉとれじすと
光に反応して現像液への溶けやすさが変わる感光性材料。ポジ型は露光部が溶け、ネガ型は露光部が残る。
プロセスウィンドウぷろせすうぃんどう
露光量とフォーカスを変えても、パターンの寸法が許容範囲に収まる条件の範囲。広いほど製造のばらつきに強い。
ペリクルぺりくる
フォトマスクの上に一定の間隔をあけて張る薄い膜。異物がマスク面に直接付くのを防ぎ、ペリクルの上に付いた異物は焦点が合わないため転写されにくい。
ポジ型フォトレジストぽじがたふぉとれじすと
露光した部分が現像で溶けて除去されるフォトレジスト。逆に、露光した部分が残るものをネガ型という。
マルチパターニングまるちぱたーにんぐ
1回の露光では解像できない細かいピッチのパターンを、複数回の露光や加工に分けて形成する技術。2回に分けるものをダブルパターニングという。
ラインエッジラフネス(LER)らいんえっじらふねす
微細なレジストのパターンの側面に生じる、ナノメートル単位の凹凸。線幅のばらつき(LWR)の原因となり、トランジスタの特性のばらつきにつながる。

エッチングこの分野の問題 →

RIE(反応性イオンエッチング)あーるあいいー
プラズマ中の反応性の粒子と、電界で加速したイオンを組み合わせて削るドライエッチング。垂直な異方性の加工ができる。
ICP(誘導結合プラズマ)あいしーぴー
コイルに高周波電流を流して高密度のプラズマを生成する方式。プラズマの密度と、ウエハに入るイオンのエネルギーを別々に制御しやすい。
アスペクト比あすぺくとひ
穴や溝の深さと幅(開口径)の比。高いほど加工や成膜の難しさが増す。3D NANDのメモリホールでは数十以上に達する。
アッシングあっしんぐ
酸素プラズマなどを使って、エッチングやイオン注入の後に不要になったフォトレジストを灰化して除去する工程。
アンテナ効果あんてなこうか
プラズマ工程中に、長い配線などの導体がアンテナのように電荷を集め、つながっているゲート酸化膜を損傷させる現象。設計ルールで配線の面積比を制限して防ぐ。
異方性エッチングいほうせいえっちんぐ
特定の方向(主に垂直方向)にだけエッチングが進む性質。微細パターンの加工に必要。
ウェットエッチングうぇっとえっちんぐ
薬液に浸して膜を溶かして削る方法。選択比が高く損傷も少ないが、一般に等方的に進むため微細な加工には向かない。
ARDE(アスペクト比依存エッチング)えーあーるでぃーいー
パターンが細く深いほど、イオンやラジカルが底に届きにくくなり、エッチング速度が低下する現象。マイクロローディング効果とも呼ばれる。
ALE(原子層エッチング)えーえるいー
表面の改質と除去の反応を交互に繰り返し、1サイクルごとに原子層レベルの量だけ削る技術。エッチング量を極めて精密に制御できる。
オーバーエッチングおーばーえっちんぐ
終点を検出したあと、ウエハ全面で膜を確実に除去するため、さらに一定時間エッチングを続けること。下地との選択比が高い条件で行う。
シーズニングしーずにんぐ
エッチングなどの装置の内壁の状態が変わると加工結果が変動するため、製品の前にダミーウエハを処理して状態を安定させること。
終点検出しゅうてんけんしゅつ
エッチングなどで、目的の膜を削り終えた時点を検出すること。プラズマの発光スペクトルの変化を監視する方法がよく使われる。
セルフバイアスせるふばいあす
容量結合のプラズマ装置で、ウエハ側の電極が自然に負の直流電位をもつ現象。正のイオンがウエハに向かって加速され、異方性のエッチングに役立つ。
選択比せんたくひ
エッチングで、削りたい膜とマスクや下地膜とのエッチング速度の比。大きいほど下地を傷めにくい。
等方性エッチングとうほうせいえっちんぐ
縦にも横にも同じ速さで削れるエッチング。マスクの下に回り込んで削れる(アンダーカット)。
ドライエッチングどらいえっちんぐ
薬液を使わず、プラズマやガスで膜を削る方法。イオンの衝撃を組み合わせることで異方性の加工ができ、微細なパターンの形成に欠かせない。
ハードマスクはーどますく
深い穴の加工などで、フォトレジストだけではマスクとして持たない場合に使う、窒化膜や炭素膜、金属などの硬いマスク。
バッファードフッ酸(BHF)ばっふぁーどふっさん
フッ酸をフッ化アンモニウムで緩衝した薬液。SiO2のウェットエッチングに使われ、エッチング速度が安定し、レジストへのダメージも少ない。
プラズマぷらずま
気体が電離して、電子、イオン、ラジカル(中性の活性種)などが混ざった状態。ドライエッチングやプラズマCVD、アッシングなど、多くの工程で使われる。
ラジカルらじかる
不対電子をもち、化学的に非常に反応しやすい中性の原子や分子。プラズマ中にイオンよりはるかに多く存在し、化学的なエッチングや成膜を担う。

CMP・洗浄この分野の問題 →

RCA洗浄あーるしーえーせんじょう
SC-1(アンモニア・過酸化水素水)でパーティクルや有機物を、SC-2(塩酸・過酸化水素水)で金属汚染を除去する洗浄法。
SC-2(HPM)えすしーつー
塩酸と過酸化水素水と水の混合液。RCA洗浄でSC-1のあとに使い、金属汚染を除去する。
SC-1(APM)えすしーわん
アンモニア水と過酸化水素水と水の混合液。RCA洗浄の最初に使い、表面をわずかにエッチングしながらパーティクルや有機物を除去する。
SPM(硫酸過水)えすぴーえむ
硫酸と過酸化水素水の混合液。強い酸化力で、レジストなどの有機物を除去する。
エロージョンえろーじょん
CMPで、配線が密に並んだ領域全体が、絶縁膜ごと周囲より過剰に研磨されて低くなる現象。幅の広い配線がくぼむディッシングと並ぶ代表的な不良。
希フッ酸(DHF)きふっさん
フッ酸を水で薄めた洗浄液。シリコン表面の自然酸化膜を除去し、表面を水素で終端された疎水性の状態にする。
CMPしーえむぴー
化学機械研磨。スラリーの化学作用とパッドの機械的研磨を組み合わせてウエハ表面を平坦化する。
自然酸化膜しぜんさんかまく
シリコンが空気や水に触れることで自然にできる、厚さ1 nm前後の薄い酸化膜。コンタクト抵抗の増加やエピタキシャル成長の妨げになるため、必要な工程の直前に除去する。
スラリーすらりー
CMPで使う、微細な研磨粒子を薬液に分散させた液体。化学的な作用と機械的な研磨を組み合わせて表面を平らにする。
セリア(酸化セリウム)せりあ
CMPのスラリーに使われる研磨粒子。酸化膜と化学的に反応しやすく、窒化膜に対して高い選択比が得られるため、STIのCMPに使われる。
ディッシングでぃっしんぐ
CMPで、幅の広い金属配線の中央部が皿のようにくぼんで削れすぎる現象。
パターン倒壊ぱたーんとうかい
高アスペクト比の微細なパターンを洗浄・乾燥するとき、パターンの間に残った液体の表面張力で、パターンが倒れたり貼り付いたりする不良。
パッドコンディショニングぱっどこんでぃしょにんぐ
CMPの研磨パッドの表面をダイヤモンドの工具で削って目立てし、スラリーを保持する状態を回復させて研磨速度を安定させる作業。ドレッシングとも呼ぶ。
プレストンの式ぷれすとんのしき
CMPの研磨速度が、研磨圧力と、パッドとウエハの相対速度の積に比例するという経験式。
枚葉式洗浄まいようしきせんじょう
ウエハを1枚ずつ処理する洗浄方式。ウエハ間の相互汚染が起こりにくく、条件を1枚ごとに制御しやすい。多数を一度に薬液槽に浸す方式はバッチ式。
メガソニック洗浄めがそにっくせんじょう
約1 MHzの超音波を洗浄液に加えて、ウエハ表面の微粒子を取り除く洗浄方法。

配線プロセスこの分野の問題 →

RC遅延あーるしーちえん
配線の抵抗(R)と容量(C)の積で決まる信号の遅れ。微細化で配線が細くなるほど大きくなり、性能を制限する。
IRドロップあいあーるどろっぷ
電源配線の抵抗(R)に電流(I)が流れることで、回路に届く電源電圧が下がる現象。回路の遅延の増加や誤動作の原因になる。
エアギャップえあぎゃっぷ
配線の間の絶縁膜の一部を空洞にする技術。空気の比誘電率はほぼ1のため、配線間の容量を大きく下げられる。
MOL(ミドル・オブ・ライン)えむおーえる
トランジスタ(FEOL)と多層配線(BEOL)の間をつなぐ、コンタクトや局所的な配線の部分。微細化で抵抗が大きくなり、性能を制限する要因になっている。
クロストークくろすとーく
隣り合う配線の間の容量結合などによって、一方の信号の変化がもう一方に雑音として現れる現象。配線の間隔を広げたり、シールド配線を入れたりして抑える。
コンタクトこんたくと
トランジスタのソース・ドレインやゲートと、最下層の配線をつなぐ部分。絶縁膜にあけたコンタクトホールにタングステンなどを埋め込んでつくる。
シード層しーどそう
Cuを電解めっきで埋め込む前に、スパッタリングなどで薄く形成するCu膜。めっきの電流を流すための導電層になる。
シリサイドしりさいど
シリコンと金属の化合物(NiSi、TiSi2など)。ソース・ドレインやゲートの表面に形成し、抵抗や接触抵抗を下げる。
多層配線たそうはいせん
絶縁膜を挟んで配線の層を何層も重ね、ビアで上下をつなぐ構造。先端のLSIでは10層以上になる。
ダマシン法だましんほう
絶縁膜に溝を掘って金属を埋め込み、余分な金属をCMPで除去して配線を形成する方法。Cu配線に用いる。
デュアルダマシン法でゅあるだましんほう
配線の溝とビアの穴を絶縁膜につくってから、両方を同時にCuで埋め込み、1回のCMPで形成する方法。工程数を減らせる。
パッシベーション膜ぱっしべーしょんまく
チップの最上層に形成し、内部の回路を水分や汚染、機械的な傷から守る膜。シリコン窒化膜やポリイミドなどが使われる。
バリアメタルばりあめたる
銅配線の周りに設け、銅が絶縁膜やシリコンへ拡散するのを防ぐ薄い金属膜。TaやTaNなど。
ビアびあ
多層配線で、上下の配線層の間を電気的につなぐ導体。絶縁膜にあけた穴に金属を埋め込んでつくる。
表皮効果ひょうひこうか
高い周波数の電流が導体の表面付近に集中して流れ、実効的な抵抗が上がる現象。周波数が高いほど電流が流れる表面の層は薄くなる。
ブラックの式ぶらっくのしき
エレクトロマイグレーションによる配線の寿命を、電流密度と温度で表す経験式。寿命は電流密度のべき乗に反比例し、温度が上がると指数関数的に短くなる。
裏面電源供給りめんでんげんきょうきゅう
電源配線をウエハの裏面側に配置し、表面の配線を信号用に使えるようにする技術。電圧降下や配線の混雑を減らせる。バックサイドパワーデリバリーとも呼ぶ。
Low-k材料ろーけーざいりょう
比誘電率の低い層間絶縁膜材料。配線間容量を下げ、信号遅延や消費電力を減らす。

プロセス材料(ガス・薬液)この分野の問題 →

アルシン(AsH3)あるしん
ヒ素と水素の化合物のガス。n型の不純物(ヒ素)の導入や、GaAsなどの化合物半導体の成長に使われる。毒性が非常に強い。
NF3(三フッ化窒素)えぬえふすりー
CVD装置のチャンバーのクリーニングなどに使われるガス。地球温暖化係数が大きく、排出の削減が求められる。
シラン(SiH4)しらん
シリコンと水素の化合物のガス。ポリシリコンやシリコン酸化膜・窒化膜のCVDの原料に使われる。空気中で自然発火するため、厳重に管理される。
超純水ちょうじゅんすい
イオン・微粒子・有機物などを極限まで取り除いた水。ウエハの洗浄に大量に使われ、比抵抗などで純度を管理する。
TMAHてぃーえむえーえいち
水酸化テトラメチルアンモニウム。金属イオンを含まない有機アルカリで、フォトレジストの現像液に使われる。皮膚からの吸収による中毒に注意が必要。
特殊材料ガスとくしゅざいりょうがす
シラン、アルシン、ホスフィンなど、半導体の製造に使う毒性や可燃性をもつ高純度のガス。厳重な管理のもとで供給される。
プリカーサ(前駆体)ぷりかーさ
CVDやALDで、反応して目的の膜になる原料の化合物。TEOSや有機金属化合物など。
ホスフィン(PH3)ほすふぃん
リンと水素の化合物のガス。シリコンにn型の不純物(リン)を導入する原料に使われる。毒性が非常に強い。
マスフローコントローラ(MFC)ますふろーこんとろーら
成膜やエッチングの装置で、ガスの質量流量を精密に測りながら、設定した値に一定に制御する機器。

後工程・評価

パッケージ・実装この分野の問題 →

アンダーフィルあんだーふぃる
フリップチップで、チップと基板の隙間に充填する樹脂。熱膨張の差による応力を分散し、バンプの接続を守る。
CSP(チップサイズパッケージ)しーえすぴー
チップとほぼ同じ大きさまで小型化したパッケージの総称。スマートフォンなどの小型の機器で広く使われる。
ダイシングだいしんぐ
ウエハを個々のチップ(ダイ)に切り分ける工程。回転するブレードで切る方法のほか、レーザーで内部に改質層をつくるステルスダイシングなどがある。
ダイボンディングだいぼんでぃんぐ
切り分けたチップを、リードフレームやパッケージ基板の所定の位置に接着・固定する工程。接着剤やはんだ、焼結材などを使う。
WLP(ウエハレベルパッケージ)だぶりゅーえるぴー
ウエハの状態のまま再配線や外部端子の形成までを行い、その後で個片化するパッケージ。チップとほぼ同じ大きさの小型のパッケージになる。
熱抵抗ねつていこう
熱の伝わりにくさを表す量で、単位は℃/W。発生する電力に熱抵抗を掛けると温度上昇が求まる。チップの接合部から周囲の空気までの熱抵抗はθJAと書く。
バックグラインドばっくぐらいんど
パッケージを薄くするため、ダイシングの前にウエハの裏面を研削して薄くする工程。積層用のチップでは数十µmまで薄くする。
BGAびーじーえー
ボールグリッドアレイ。パッケージ裏面にはんだボールを格子状に並べた多ピン向けのパッケージ。
フリップチップふりっぷちっぷ
チップの回路面を下に向け、バンプで基板と直接接続する実装方法。接続が短く多ピン化に向く。
リードフレームりーどふれーむ
チップを載せる台と外部端子(リード)を一体にした金属の薄板。QFPなどのパッケージで使われる。
リフローはんだ付けりふろーはんだづけ
プリント基板にはんだペーストを印刷し、部品を載せてから炉で加熱してはんだを溶かし、まとめてはんだ付けする方法。表面実装の標準的な方法。
ワイヤボンディングわいやぼんでぃんぐ
チップの電極パッドとリードフレームや基板を、金や銅などの細い金属線でつなぐ接続方法。

テスト・検査この分野の問題 →

IDDQテストあいでぃーでぃーきゅーてすと
CMOS回路が静止しているときの電源電流を測り、異常に大きい場合にブリッジ故障などの欠陥があると判定するテスト。
ウエハテスト(プローブテスト)うえはてすと
ダイシングの前に、ウエハ上の各チップの電極にプローブを当てて電気的特性を検査する工程。不良チップを組み立て前に見つけ、無駄な組み立てを避ける。
ATE(自動試験装置)えーてぃーいー
チップに試験パターンを与えて出力を測り、良否を自動で判定する装置。テスタとも呼ばれる。
ATPG(自動テストパターン生成)えーてぃーぴーじー
回路のネットリストから、故障を検出するためのテストパターンを自動で生成すること。スキャン設計と組み合わせて使う。
KGD(ノウングッドダイ)けーじーでぃー
実装する前に良品であることが確認されたチップ。複数のチップを1つのパッケージに積む場合、1つでも不良が混ざると全体が不良になるため重要になる。
故障検出率(フォールトカバレッジ)こしょうけんしゅつりつ
想定した故障のうち、そのテストパターンで検出できる故障の割合。高いほど不良品を見逃しにくい。
縮退故障しゅくたいこしょう
信号線の値が0または1に固定されてしまうと仮定する、論理回路のテストの基本的な故障モデル。スタックアット故障とも呼ぶ。
スキャンテストすきゃんてすと
回路の中のフリップフロップを鎖状につないだスキャンチェーンを使い、内部の状態を設定・観測してテストする方法。
DFT(テスト容易化設計)てすとよういかせっけい
スキャンチェーンやBISTなど、テストしやすくする仕組みをあらかじめ回路に組み込む設計手法。
バーンインばーんいん
高温・高電圧などのストレスを加えて動作させ、初期故障を起こしやすい製品を出荷前に取り除く試験。
BIST(組み込み自己テスト)びすと
テスト用の回路をチップ内に組み込み、チップ自身でテストパターンの生成と結果の判定を行う仕組み。メモリのテストなどで広く使われる。
プローブカードぷろーぶかーど
ウエハの状態でチップの電極に多数の針(プローブ)を当て、テスタと電気的につなぐための治具。

計測・分析この分野の問題 →

EDX(エネルギー分散型X線分光)いーでぃーえっくす
電子線を当てたときに試料から出る特性X線のエネルギーを測り、含まれる元素の種類と量を調べる分析法。SEMやTEMと組み合わせて使う。
AFM(原子間力顕微鏡)えーえふえむ
鋭い探針で試料の表面をなぞり、探針と表面の間に働く力から表面の微細な凹凸を測る顕微鏡。表面の粗さの評価などに使われる。
XRD(X線回折)えっくすあーるでぃー
結晶にX線を当て、回折したX線の角度と強さから、結晶構造や格子定数、膜のひずみや結晶の品質を調べる分析法。
XPS(X線光電子分光法)えっくすぴーえす
X線を照射して放出される光電子のエネルギーから、表面の数nmに含まれる元素と、その化学結合の状態を調べる分析法。
FIB(集束イオンビーム)えふあいびー
細く絞ったイオンビームで試料を削ったり膜をつけたりする装置。微小な領域の断面加工、TEM用の薄い試料の作製、回路の修正などに使われる。
エリプソメトリえりぷそめとり
偏光した光を当てて、反射による偏光状態の変化から薄膜の厚さや屈折率を求める測定法。非破壊で測れる。
欠陥検査装置けっかんけんさそうち
ウエハ上の異物やパターンの欠陥を見つける装置。光を当てたときの散乱光を検出する方式や、隣り合うダイの画像を比較する方式などがある。
CD-SEMしーでぃーせむ
パターンの線幅(CD)を測定するための走査電子顕微鏡。リソグラフィやエッチング後の寸法管理に使われる。
SEM(走査電子顕微鏡)せむ
細く絞った電子線で試料の表面を走査し、出てくる二次電子などを検出して表面の形状を観察する顕微鏡。光学顕微鏡では見えない数nmの構造まで観察できる。
TEM(透過電子顕微鏡)てぃーいーえむ
薄くした試料に電子線を透過させて観察する顕微鏡。原子レベルの分解能で、断面の構造や結晶の欠陥を調べられる。
TXRF(全反射蛍光X線分析)てぃーえっくすあーるえふ
X線をウエハの表面すれすれに当てて全反射させ、表面の微量な金属汚染から出る蛍光X線を高感度に測る分析法。
SIMS(二次イオン質量分析法)にじいおんしつりょうぶんせきほう
一次イオンで試料を削りながら二次イオンを質量分析し、不純物の深さ方向の分布を高感度に測定する方法。
四探針法よんたんしんほう
一直線に並べた4本の針の外側2本に電流を流し、内側2本の電圧を測って、ウエハや薄膜のシート抵抗を求める方法。

歩留まり・品質管理この分野の問題 →

APC(先進的プロセス制御)えーぴーしー
前の工程の計測結果などをもとに、次のロットやウエハの装置の加工条件を自動で補正する制御。Run-to-Run制御などがあり、ばらつきを小さくする。
SPC(統計的工程管理)えすぴーしー
工程のデータを管理図などで監視し、統計的に異常を見つけて品質を保つ方法。
FMEA(故障モード影響解析)えふえむいーえー
製品や工程で起こりうる故障モードを洗い出し、その影響と重要度を評価して、事前に対策を講じる手法。
管理図かんりず
工程の測定値を時系列に並べ、中心線と管理限界線(一般に±3σ)と比べて、工程が安定しているかを判断する図。限界の外の点や、片側に連続する点は異常のサイン。
キラー欠陥きらーけっかん
チップを不良にしてしまう欠陥。配線のショートや断線を起こす大きさ・位置の粒子やパターン異常など。
工程能力指数(Cpk)こうていのうりょくしすう
工程のばらつきと平均のずれが、規格の範囲に対してどれだけ余裕があるかを表す指標。1.33以上が一つの目安。
システマティック不良しすてまてぃっくふりょう
設計と製造工程の相性などによって、特定のパターンや場所で繰り返し発生する不良。偶然の異物などによるランダム不良と区別される。
特性要因図とくせいよういんず
問題(結果)と、それに影響を与える要因の関係を、魚の骨のような形に整理した図。フィッシュボーン図とも呼ぶ。
パレート図ぱれーとず
不良の項目などを件数の多い順に棒グラフで並べ、累積の割合を折れ線で重ねた図。重点的に対策すべき項目を見つけるのに使う。
歩留まりぶどまり
投入した数に対する良品の割合。半導体の製造コストに大きく影響する指標。
ポアソン歩留まりモデルぽあそんぶどまりもでる
欠陥がランダムに分布すると仮定し、歩留まりを Y = exp(−D×A)(Dは欠陥密度、Aはチップ面積)で表すモデル。

信頼性この分野の問題 →

アレニウスモデルあれにうすもでる
反応や劣化の速さが温度に対して exp(−Ea/kT) で変わるとするモデル。温度を上げた加速試験の結果から、実際の使用温度での寿命を推定するのに使う。
ESD(静電気放電)いーえすでぃー
帯電した人や物体から、静電気が一気に放電する現象。ICの端子に加わるとゲート酸化膜などを破壊するため、入出力端子には保護回路を設ける。
NBTIえぬびーてぃーあい
pMOSのゲートに負の電圧をかけた状態で温度が高いと、しきい値電圧の絶対値が徐々に大きくなる劣化現象。
MTTF(平均故障時間)えむてぃーてぃーえふ
修理しない製品が故障するまでの時間の平均。製品の寿命の目安として使う。
エレクトロマイグレーションえれくとろまいぐれーしょん
電流によって配線の金属原子が移動する現象。ボイドやヒロックが生じ、断線や短絡の原因になる。
ソフトエラーそふとえらー
宇宙線に由来する中性子やアルファ線などによって、メモリやフリップフロップの記憶データが一時的に反転する誤り。素子は壊れないため、書き直せば正常に戻る。
TDDB(経時絶縁破壊)てぃーでぃーでぃーびー
絶縁膜に電圧をかけ続けると、破壊電圧より低い電圧でもいずれ絶縁破壊に至る現象。ゲート酸化膜などの寿命の評価に使う。
バスタブ曲線ばすたぶきょくせん
故障率の時間変化を表す曲線。初期故障期・偶発故障期・摩耗故障期からなり、浴槽のような形になる。
FITふぃっと
故障率の単位。10億(10⁹)デバイス時間あたり1件の故障を1 FITとする。半導体のように故障率の非常に小さい部品の評価に使う。
ホットキャリア注入(HCI)ほっときゃりあちゅうにゅう
ドレイン近くの強い電界で加速されたキャリアがゲート絶縁膜に注入され、しきい値電圧の変化や駆動電流の低下などの劣化を起こす現象。
ラッチアップらっちあっぷ
CMOS回路の中に寄生的にできるサイリスタ構造が導通し、電源とグラウンドの間に大電流が流れ続ける現象。ウェルのコンタクトの配置や、ガードリングなどで防ぐ。
ワイブル分布わいぶるぶんぷ
寿命のデータの解析によく使われる確率分布。形状パラメータの値によって、初期故障型・偶発故障型・摩耗故障型を表せる。

設計・産業

LSI設計フロー・EDAこの分野の問題 →

RTL(レジスタ転送レベル)あーるてぃーえる
レジスタの間でデータがどのように転送・処理されるかで回路を記述する設計の抽象度。VerilogやVHDLで書き、論理合成の入力になる。
FPGAえふぴーじーえー
製造後に、ユーザーが論理回路の構成を書き換えられるLSI。試作や少量生産の製品、ASICの検証などに使われる。
LVSえるぶいえす
Layout Versus Schematic の略。レイアウトから抽出した回路の接続が、回路図やネットリストと一致しているかを確認する検証。DRCとともにテープアウト前に必ず行う。
クロックゲーティングくろっくげーてぃんぐ
使っていない回路ブロックへのクロックの供給を止めて、無駄なスイッチングによる消費電力を減らす低消費電力設計の手法。
高位合成(HLS)こういごうせい
C言語やC++などで書いたアルゴリズムの記述から、RTLを自動で生成する技術。FPGAやアクセラレータの開発で使われる。
スタンダードセルすたんだーどせる
あらかじめ設計・検証された論理ゲートやフリップフロップなどの部品。高さをそろえてあり、自動配置配線で並べて大規模な回路をつくる。
SPICEすぱいす
トランジスタレベルの回路の電圧や電流を、デバイスモデルを使って詳しく計算する回路シミュレータ。アナログ回路の設計やセルの特性評価に使う。
STA(静的タイミング解析)せいてきたいみんぐかいせき
テストパターンを使わずに回路の各パスの遅延を計算し、タイミング制約を満たしているかを検証する手法。
DRC(デザインルールチェック)でぃーあーるしー
レイアウトが、線幅や間隔など製造のための幾何学的な規則を守っているかを調べる検証。
テープアウトてーぷあうと
設計と検証を終え、マスク製作のためのレイアウトデータを製造側に引き渡すこと。昔は磁気テープでデータを渡したことに由来する。
ネットリストねっとりすと
回路を構成する素子(セル)と、それらの接続関係を記述したデータ。論理合成の出力であり、配置配線やタイミング解析の入力になる。
配置配線はいちはいせん
論理合成で得たネットリストをもとに、セルをチップ上に並べ(配置)、セルの間をつなぐ配線を決める(配線)設計の工程。
PDK(プロセスデザインキット)ぴーでぃーけー
ファウンドリが設計者に提供する、デザインルール、デバイスモデル、セルライブラリ、検証用のルールなどの設計用データ一式。
論理合成ろんりごうせい
RTLで記述された回路を、セルライブラリのゲートを使ったネットリストに変換する設計工程。

クリーンルーム・製造装置この分野の問題 →

ISO 14644-1あいえすおー14644-1
クリーンルームの清浄度のクラスを、空気中の粒子の数で定めた国際規格。数字が小さいほど清浄度が高い。
EFEMいーふぇむ
Equipment Front End Module の略。製造装置の前面で、FOUPのふたを開け、ウエハを清浄な環境のまま装置内に搬送するユニット。ロードポートや搬送ロボットを含む。
ULPAフィルタうるぱふぃるた
HEPAフィルタよりさらに微細な粒子まで捕集する高性能のエアフィルタ。高い清浄度のクリーンルームの天井に使われる。
FFU(ファンフィルタユニット)えふえふゆー
ファンと高性能フィルタを一体化した装置。クリーンルームの天井に並べて、清浄な空気を下向きに送り出す。
OHT(天井走行式無人搬送車)おーえいちてぃー
天井のレールに沿って走り、FOUPを製造装置の間で自動搬送する装置。300 mmウエハの工場の自動搬送の主役。
ダウンフローだうんふろー
天井全面から床へ一方向に清浄な空気を流す、クリーンルームの気流の方式。発生した粒子をすばやく床下へ排出する。
FOUPふーぷ
300 mmウエハを密閉した状態で搬送・保管するための容器。
分子状汚染(AMC)ぶんしじょうおせん
空気中の酸、アルカリ、有機物などのガス状の汚染物質。粒子用のフィルタでは除けず、ケミカルフィルタで取り除く。
HEPAフィルタへぱふぃるた
粒径0.3 µmの粒子を99.97%以上捕集する高性能の空気フィルタ。さらに細かい粒子まで捕集するものがULPAフィルタ。
ミニエンバイロメントみにえんばいろめんと
ウエハの周りの狭い空間だけを高い清浄度に保つ考え方。FOUPなどの密閉容器と装置前面のEFEMを組み合わせ、部屋全体の清浄度の要求を下げてコストを抑える。

環境安全この分野の問題 →

SDS(安全データシート)あんぜんでーたしーと
化学物質の危険有害性、取り扱い方法、応急措置などを記載した文書。
局所排気装置きょくしょはいきそうち
薬液を扱う装置などで発生したガスやミストを、発生源の近くで吸い込んで排出する設備。作業者が有害物質を吸い込むのを防ぐ。
酸素欠乏(酸欠)さんそけつぼう
空気中の酸素の濃度が18%未満に下がった状態。窒素などを大量に使う場所や、狭い空間での作業で起こりやすく、数回の呼吸で意識を失うこともある。
GHSじーえいちえす
化学品の危険有害性を、絵表示と注意書きで国際的に統一して示す仕組み。
除害装置じょがいそうち
製造装置から出る排ガスに含まれる有害な物質を、燃焼・吸着・水洗などで取り除く装置。
パーフルオロカーボンぱーふるおろかーぼん
PFCとも。CF4やC2F6など、エッチングやチャンバーのクリーニングに使われるフッ素化合物のガス。温室効果が非常に大きい。
爆発下限界(LEL)ばくはつかげんかい
空気中で可燃性ガスが燃焼・爆発しうる最も低い濃度。ガス検知器は、この濃度に対する割合で警報を出すように設定されることが多い。
リスクアセスメントりすくあせすめんと
作業や化学物質の危険性・有害性を特定し、そのリスクの大きさを見積もって、優先順位をつけて対策を決める取り組み。
RoHS指令ろーずしれい
電気電子機器に含まれる鉛や水銀などの特定有害物質の使用を制限するEUの規制。
ロックアウト・タグアウト(LOTO)ろっくあうとたぐあうと
装置の保守作業の前に、電源やガスなどのエネルギー源を遮断し、錠と札を付けて、作業中に誰かが誤って再投入できないようにする手順。

半導体産業・市場この分野の問題 →

IDM(垂直統合型デバイスメーカー)あいでぃーえむ
設計から前工程・後工程の製造、販売までを自社で一貫して行う半導体企業。
ASIC(特定用途向けIC)えーしっく
特定の用途や顧客向けに専用に設計されたLSI。汎用品より性能や消費電力で有利だが、開発費が大きく、量が見込める用途に向く。
SoC(システムオンチップ)えすおーしー
CPU、GPU、メモリコントローラ、通信機能など、システムに必要な機能を1つのチップに集積したLSI。スマートフォンの心臓部が代表例。
MPW(マルチプロジェクトウエハ)えむぴーだぶりゅー
複数の顧客の設計を1枚のウエハ(1組のマスク)に相乗りさせて試作する仕組み。高価なマスク代を分け合えるため、大学やスタートアップの試作に使われる。
OSATおーさっと
半導体の組立やテストなどの後工程を受託する企業。
シリコンサイクルしりこんさいくる
半導体市場で、需要と供給のバランスによって好況と不況が周期的に繰り返される現象。工場の建設に時間がかかり、供給の調整が需要の変化に遅れることが一因。
ディスクリート半導体でぃすくりーとはんどうたい
ダイオードや単体のトランジスタ、パワーMOSFETなど、1つの機能を単体で担う半導体製品の分類。多くの素子を集積したICと区別される。
デナードスケーリングでなーどすけーりんぐ
トランジスタの寸法と電源電圧を同じ比率で縮小すると、電力密度を一定に保ったまま高速化と高集積化ができるという法則。2000年代半ばに電圧を下げにくくなり、成り立たなくなった。
ファウンドリふぁうんどり
他社が設計した半導体の製造を専門に受託する企業や事業形態。
ファブレスふぁぶれす
自社で製造工場を持たず、半導体の設計と販売に特化する企業の形態。
ムーアの法則むーあのほうそく
集積回路に載るトランジスタの数が約2年ごとに倍増するという経験則。半導体の微細化の目標とされてきた。

先端技術(3D実装・チップレット)この分野の問題 →

HBMえいちびーえむ
複数のDRAMダイをTSVで積層し、非常に広いバス幅で高い帯域を実現するメモリ。
CoWoSこわす
TSMCの2.5D実装技術。シリコンインターポーザの上にロジックのチップとHBMを並べて接続し、AI向けのGPUなどで広く使われている。
再配線層(RDL)さいはいせんそう
チップやウエハの表面に形成し、電極の位置を外部端子の位置まで引き回すための配線層。ファンアウト型パッケージやインターポーザに使われる。
シリコンインターポーザしりこんいんたーぽーざ
複数のチップを並べて載せ、微細な配線で高密度に接続するシリコンの中継基板。GPUとHBMの接続などに使われる。
TSV(シリコン貫通電極)しりこんかんつうでんきょく
シリコン基板を貫通する電極。積層したチップどうしを上下に短い距離で接続する。
3D実装すりーでぃーじっそう
チップを縦に積み重ね、TSVやハイブリッドボンディングで上下を接続する実装方式。配線が短くなり高速・低消費電力になるが、放熱が課題になる。
チップレットちっぷれっと
機能ごとに分けてつくった小さなチップ。複数を1つのパッケージ内で接続して大きなシステムを構成する。
2.5D実装にてんごでぃーじっそう
複数のチップを、シリコンインターポーザなどの中継基板の上に横に並べ、微細な配線で高密度に接続する実装方式。GPUとHBMの接続などに使われる。
ハイブリッドボンディングはいぶりっどぼんでぃんぐ
バンプを使わず、銅の電極と絶縁膜の面どうしを直接接合する技術。極めて狭いピッチで多数の接続ができる。
マイクロバンプまいくろばんぷ
TSVで積層したチップどうしや、チップとインターポーザの接続に使われる、通常のはんだボールよりはるかに小さいバンプ。ピッチは数十µm程度。
UCIeゆーしーあいいー
Universal Chiplet Interconnect Express の略。異なる企業のチップレットどうしを接続できるようにすることを目指した、ダイ間インターフェースの業界標準規格。