温度サイクル試験とは

おんどさいくるしけん

高温と低温を繰り返し加え、材料の熱膨張係数の違いによるはんだ接合部の疲労や、パッケージのクラック・剥離を評価する信頼性試験。

「温度サイクル試験」は、1分野の3問の練習問題に出てきます(信頼性など)。

この用語の分野: 信頼性

熱膨張の違いが生むひずみ

半導体パッケージは、シリコンのチップ、封止樹脂、リードフレームや基板、はんだ、プリント基板など、熱膨張係数の異なる材料でできています。シリコンの熱膨張係数は約3 ppm/Kと小さく、プリント基板やはんだはそれより数倍大きいため、温度が変わるたびに材料どうしの伸び縮みの差がひずみとなって接合部や界面にかかります。1回のひずみは小さくても、繰り返されると金属疲労が進み、やがて亀裂が生じます。温度サイクル試験は、この繰り返しを短い期間に集中して加え、壊れるまでの回数を調べる試験です。

代表的な条件

空気を使う試験槽で、高温と低温のそれぞれの温度に一定時間保持しながら繰り返します。JEDECの規格(JESD22シリーズ)では、たとえば−55〜125 ℃や−65〜150 ℃のような温度範囲が代表的な条件で、回数は数百〜数千回です。車載用のAEC-Q100では、温度グレードに応じた条件で行います。部品単体で行い、試験後にパッケージや内部の接合を調べる試験のほかに、部品をプリント基板に実装した状態で、はんだ接合部が破断するまでの回数を調べる基板レベルの試験もあります。

主な故障と調べ方

代表的な故障は、はんだ接合部の疲労亀裂で、BGAではパッケージの角に近いボールから壊れやすい傾向があります。パッケージの内部では、ワイヤボンディングの接合部やワイヤの根元の亀裂、封止樹脂とチップやリードフレームの間の剥離、チップやパッシベーション膜のクラックが起こります。基板レベルの試験では、多数の接合部を直列につないだデイジーチェーンの抵抗を監視して破断を検出します。剥離は超音波顕微鏡で、内部の亀裂は断面の観察で確かめます。

熱衝撃・パワーサイクルとの違いと寿命の換算

熱衝撃試験は、高温と低温の槽の間で試料を素早く移したり、液体に浸したりして、温度サイクル試験より急な温度変化を加えます。パワーサイクル試験は、外から温めるのではなく素子に電流を流して自己発熱させ、オン・オフを繰り返す試験で、パワーモジュールの評価で重視されます。温度サイクル試験の結果から実使用の寿命を見積もるには、寿命の回数が温度変化の幅のべき乗に反比例するコフィン・マンソン則を使います。はんだでは指数が2前後とされ、温度変化の幅を半分にすると寿命の回数は約4倍になります。

温度サイクル試験の練習問題に挑戦

温度サイクル試験で主に評価する故障はどれか。

  1. A宇宙線によるソフトエラー
  2. B材料の熱膨張係数の違いによる、はんだ接合部やパッケージのクラック
  3. CDRAMのリフレッシュ不良
答えと解説を見る

正解:B. 材料の熱膨張係数の違いによる、はんだ接合部やパッケージのクラック

温度サイクル試験では、例えば−55〜125 ℃のような高温と低温を数百〜数千回繰り返し加えます。チップ(約3 ppm/K)、基板、封止樹脂、はんだなどの熱膨張係数が異なるため、温度変化のたびにひずみが生じ、はんだ接合部の疲労破壊、パッケージのクラックや剥離が起こります。寿命と温度変化の幅の関係はコフィン・マンソン則で表します。ソフトエラーやリフレッシュ不良は別の試験で評価します。

よくある質問

温度サイクル試験と熱衝撃試験の違いは何ですか?

どちらも高温と低温を繰り返しますが、熱衝撃試験は液体の槽の間で試料を移すなどして、より急な温度変化を加えます。温度サイクル試験は空気中で温度を変え、それぞれの温度で一定時間保持して、繰り返しによる接合部の疲労を主に評価します。

温度サイクル試験の代表的な温度範囲はどのくらいですか?

例えば−55〜125 ℃や−65〜150 ℃が代表的です。温度範囲と回数は、適用する規格、製品の温度グレード、部品単体の試験か基板に実装した試験かによって変わります。

温度サイクル試験の結果から寿命をどう見積もりますか?

コフィン・マンソン則を使い、試験と実使用での温度変化の幅の比から加速係数を求めます。はんだでは指数が2前後とされ、実際には平均温度や1日あたりのサイクル数の違いも考慮したモデルが使われます。

解説の中の「温度サイクル試験」

「温度サイクル試験」が出てくる問題(3問)

  1. 温度サイクル試験で主に評価する故障はどれか。
  2. 製品を高温で長時間動作させ、寿命や故障率を評価する代表的な信頼性試験はどれか。
  3. 温度サイクルによるはんだ接合の疲労寿命を、温度変化の幅(ひずみの大きさ)と繰り返しの回数の関係で表すモデルはどれか。

信頼性の参考書を探す PR

Amazonの検索結果へのリンクです。Amazonのアソシエイトとして、半導体教室は適格販売により収入を得ています。

この用語が出てくる比較

関連する用語

ソフトエラー リフレッシュ HTOL(高温動作寿命試験) AEC-Q100 アレニウスモデル ESD(静電気放電) NBTI MTTF(平均故障時間) エレクトロマイグレーション 高温高湿バイアス試験(THB)

用語集の一覧へ