屈折率とは

くっせつりつ

真空中の光の速さを、物質中の光の速さで割った値。波長1.55 µmでシリコンは約3.48、酸化膜(SiO2)は約1.45で、この差が大きいほど光を小さな導波路に強く閉じ込められる。

「屈折率」は、5分野の18問の練習問題に出てきます(シリコンフォトニクス, エピタキシャル成長, リソグラフィなど)。

シリコン導波路の断面(ストリップとリブ) SiO₂(屈折率 約1.45) Si(屈折率 約3.5) 光の分布 SiO₂クラッド 埋め込み酸化膜(BOX) Si基板 幅 約500 nm 厚さ 220 nm SiO₂クラッド 埋め込み酸化膜(BOX) Si基板 幅 約500 nm スラブ ストリップ導波路 リブ導波路 閉じ込めが強く、急に曲げられる スラブを通して電極とつなげる
シリコン導波路の断面(ストリップとリブ) · 図解集で見る

この用語の分野: シリコンフォトニクス

屈折率の練習問題に挑戦

シリコン導波路(屈折率約3.5)を酸化膜(SiO2、屈折率約1.45)で囲む構造の特徴として正しいものはどれか。

  1. A屈折率差が大きいので光が外へ漏れやすく、光ファイバより大きな半径でしか導波路を曲げられず、集積に向かない
  2. B屈折率差が大きく光を強く閉じ込めるので、数 µmの小さな半径で曲げられ、素子を高密度に並べられる
  3. C屈折率差が大きいほど側壁の凹凸の影響を受けにくく、伝搬損失が光ファイバと同程度に小さくなる
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正解:B. 屈折率差が大きく光を強く閉じ込めるので、数 µmの小さな半径で曲げられ、素子を高密度に並べられる

光は屈折率の高い芯(コア)と低い周囲(クラッド)の境界で全反射して閉じ込められ、屈折率差が大きいほど強く閉じ込められます。シリコンと酸化膜の差は約2で、光ファイバのコアとクラッドの差(1%未満)よりけた違いに大きく、断面が約0.5 µm × 0.22 µmの細い導波路をつくれ、曲げ半径も数 µmまで小さくできます。一方、屈折率差が大きいほど側壁の凹凸で光が散乱されやすく、伝搬損失は条件によりますが代表的なストリップ導波路で1〜3 dB/cm程度(リブ導波路や低損失なプロセスではそれ以下)と、ファイバ(約0.2 dB/km)よりはるかに大きくなります。

シリコンの光変調器で、電気信号によって屈折率を変える方法としてキャリア分散効果(プラズマ分散効果)が使われる理由はどれか。

  1. Aシリコンは直接遷移型なので、キャリアを注入すると強く発光し、その光で屈折率が変わるから
  2. B電子や正孔の濃度を変えても屈折率は変わらず、光の吸収だけが変わるので扱いやすいから
  3. Cシリコンの結晶は反転対称性をもち、電界で屈折率が直接変わるポッケルス効果がほとんど現れないから
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正解:C. シリコンの結晶は反転対称性をもち、電界で屈折率が直接変わるポッケルス効果がほとんど現れないから

ニオブ酸リチウムなどの結晶では、電界に比例して屈折率が変わるポッケルス効果を使って高速な変調器をつくれますが、シリコンは結晶構造が反転対称のため、この効果がほとんどありません。そこで、電子や正孔(自由キャリア)の濃度を変えると屈折率と吸収が変わるキャリア分散効果を利用します。キャリア濃度を増やすと屈折率は小さくなり、同時に吸収も増えます。屈折率の変化はわずか(10⁻³程度以下)なので、変調器の長さを数 mm程度にして位相の変化を稼ぎます。シリコンは間接遷移型です。

解説の中の「屈折率」

「屈折率」が出てくる問題(18問)

  1. シリコン導波路(屈折率約3.5)を酸化膜(SiO2、屈折率約1.45)で囲む構造の特徴として正しいものはどれか。
  2. シリコンの光変調器で、電気信号によって屈折率を変える方法としてキャリア分散効果(プラズマ分散効果)が使われる理由はどれか。
  3. 屈折率3.48のシリコンから屈折率1.45の酸化膜へ光が進むとき、全反射が起こる臨界角(境界面の法線から測った角度)に最も近いものはどれか。
  4. シリコンフォトニクスで使われるSOIウエハの埋め込み酸化膜(BOX層)の主な役割はどれか。
  5. 両側に薄いシリコンの板(スラブ)を残して浅くエッチングしたリブ導波路が、シリコンの光変調器によく使われる主な理由はどれか。
  6. エッジカプラで、チップの端に向かってシリコン導波路の幅を細くしていく逆テーパ構造が使われる理由はどれか。
  7. 標準的なシングルモードファイバから届く光をシリコンの光回路で受けるとき、偏光が問題になる理由として正しいものはどれか。
  8. マッハツェンダー変調器が、光の位相の変化を光の強さの変化に変える仕組みとして正しいものはどれか。
  9. 高速なシリコン変調器で、位相シフタのpn接合に逆バイアスをかけて空乏層の幅を変える方式(空乏型)が多く使われる理由はどれか。
  10. シリコンのリング共振器が、特定の波長の光にだけ強く反応する理由として正しいものはどれか。
  11. リング共振器を使った光回路で、リングの近くにヒーターを設けて温度を制御することが多い理由はどれか。
  12. リング共振器の周長を短くしたときの変化として正しいものはどれか。
  13. シリコンフォトニクスで、シリコン導波路とともに窒化シリコン(SiN)の導波路を組み合わせることがある。SiN導波路の特徴として正しいものはどれか。
  14. シリコン導波路の伝搬損失(dB/cm)の主な原因の一つとされるものはどれか。
  15. 高濃度基板の上の低濃度エピ層の厚さを、赤外光の干渉を利用して測る方法はどれか。

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