導波路とは

どうはろ

屈折率の高いコアを屈折率の低いクラッドで囲み、光を閉じ込めて導く構造。シリコンフォトニクスでは、断面約0.5 µm × 0.22 µmのシリコンを酸化膜で囲んだ導波路がよく使われ、曲げ半径を数 µmまで小さくできる。

「導波路」は、2分野の22問の練習問題に出てきます(シリコンフォトニクス, 化合物半導体など)。

シリコン導波路の断面(ストリップとリブ) SiO₂(屈折率 約1.45) Si(屈折率 約3.5) 光の分布 SiO₂クラッド 埋め込み酸化膜(BOX) Si基板 幅 約500 nm 厚さ 220 nm SiO₂クラッド 埋め込み酸化膜(BOX) Si基板 幅 約500 nm スラブ ストリップ導波路 リブ導波路 閉じ込めが強く、急に曲げられる スラブを通して電極とつなげる
シリコン導波路の断面(ストリップとリブ) · 図解集で見る

この用語の分野: シリコンフォトニクス

導波路の練習問題に挑戦

波長1.55 µmの光の光子エネルギーと、シリコン導波路の中でのふるまいの組み合わせとして正しいものはどれか(E [eV] ≈ 1.24 / λ [µm])。

  1. A約1.9 eV。シリコンのバンドギャップより大きいため、強く吸収されて電流に変わる
  2. B約0.8 eV。シリコンのバンドギャップより小さいため、電子を伝導帯へ励起して強く吸収される
  3. C約0.8 eV。シリコンのバンドギャップより小さいため、ほとんど吸収されずに伝わる
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正解:C. 約0.8 eV。シリコンのバンドギャップより小さいため、ほとんど吸収されずに伝わる

1.24 ÷ 1.55 ≈ 0.80 eVで、シリコンのバンドギャップ約1.12 eVより小さいため、価電子帯の電子を伝導帯へ持ち上げることができず、バンド間の吸収が起こりません。そのため、シリコンは通信波長でほぼ透明で、光を通す導波路の材料に使えます。逆にいえば、シリコンだけではこの波長の受光器はつくれません。シリコンが吸収するのは、波長約1.1 µmより短い(1.12 eVより大きいエネルギーの)光です。約1.9 eVは1.24と1.55を掛けてしまった値で、波長約650 nmの赤い光のエネルギーに相当します。

シリコン導波路(屈折率約3.5)を酸化膜(SiO2、屈折率約1.45)で囲む構造の特徴として正しいものはどれか。

  1. A屈折率差が大きいので光が外へ漏れやすく、光ファイバより大きな半径でしか導波路を曲げられず、集積に向かない
  2. B屈折率差が大きく光を強く閉じ込めるので、数 µmの小さな半径で曲げられ、素子を高密度に並べられる
  3. C屈折率差が大きいほど側壁の凹凸の影響を受けにくく、伝搬損失が光ファイバと同程度に小さくなる
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正解:B. 屈折率差が大きく光を強く閉じ込めるので、数 µmの小さな半径で曲げられ、素子を高密度に並べられる

光は屈折率の高い芯(コア)と低い周囲(クラッド)の境界で全反射して閉じ込められ、屈折率差が大きいほど強く閉じ込められます。シリコンと酸化膜の差は約2で、光ファイバのコアとクラッドの差(1%未満)よりけた違いに大きく、断面が約0.5 µm × 0.22 µmの細い導波路をつくれ、曲げ半径も数 µmまで小さくできます。一方、屈折率差が大きいほど側壁の凹凸で光が散乱されやすく、伝搬損失は条件によりますが代表的なストリップ導波路で1〜3 dB/cm程度(リブ導波路や低損失なプロセスではそれ以下)と、ファイバ(約0.2 dB/km)よりはるかに大きくなります。

解説の中の「導波路」

「導波路」が出てくる問題(22問)

  1. 波長1.55 µmの光の光子エネルギーと、シリコン導波路の中でのふるまいの組み合わせとして正しいものはどれか(E [eV] ≈ 1.24 / λ [µm])。
  2. シリコン導波路(屈折率約3.5)を酸化膜(SiO2、屈折率約1.45)で囲む構造の特徴として正しいものはどれか。
  3. 伝搬損失が2 dB/cmのシリコン導波路を光が5 mm進んだとき、出口に残る光のパワーの割合に最も近いものはどれか。
  4. 出力+3 dBmのレーザー光が、合計10 dBの損失(ファイバとの結合、導波路、変調器など)を経て受光器に届いた。受光パワーに最も近いものはどれか。
  5. 両側に薄いシリコンの板(スラブ)を残して浅くエッチングしたリブ導波路が、シリコンの光変調器によく使われる主な理由はどれか。
  6. エッジカプラで、チップの端に向かってシリコン導波路の幅を細くしていく逆テーパ構造が使われる理由はどれか。
  7. シリコンフォトニクスで、シリコン導波路とともに窒化シリコン(SiN)の導波路を組み合わせることがある。SiN導波路の特徴として正しいものはどれか。
  8. シリコン導波路の伝搬損失(dB/cm)の主な原因の一つとされるものはどれか。
  9. シリコン導波路の伝搬損失を測るカットバック法の説明として正しいものはどれか。
  10. シリコンフォトニクスで、レーザー光源に化合物半導体を組み合わせる理由として正しいものはどれか。
  11. シリコンフォトニクスで使われるSOIウエハの埋め込み酸化膜(BOX層)の主な役割はどれか。
  12. 光ファイバとシリコンの光回路をつなぐグレーティングカプラの利点として正しいものはどれか。
  13. チップの端面で光ファイバと結合するエッジカプラの、グレーティングカプラと比べた特徴として正しいものはどれか。
  14. 標準的なシングルモードファイバから届く光をシリコンの光回路で受けるとき、偏光が問題になる理由として正しいものはどれか。
  15. シリコンのリング共振器が、特定の波長の光にだけ強く反応する理由として正しいものはどれか。

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