インピーダンスとは

いんぴーだんす

交流回路で、電圧のフェーザを電流のフェーザで割った複素数 Z = V/I [Ω]。実部が抵抗R、虚部がリアクタンスXで、Z = R + jX と表す。コイルは jωL、コンデンサは 1/(jωC) = −j/(ωC) で、周波数によって大きさが変わる。大きさ |Z| は電圧と電流の振幅の比、偏角は電流に対する電圧の位相の進みを表す。

「インピーダンス」は、8分野の31問の練習問題に出てきます(回路解析(交流回路・線形回路・過渡現象), アナログ・電子回路, 電気回路・電磁気の基礎など)。

三相負荷のY結線とΔ結線 (a) Y a Z b Z c Z N Ia Vp = VL/√3 (b) Δ a b c Z Z Z Ia Iab IL = √3 × Ip
三相負荷のY結線とΔ結線 · 図解集で見る

この用語の分野: 回路解析(交流回路・線形回路・過渡現象)

抵抗を交流に広げた量

直流のオームの法則 V = RI を、交流では V = ZI と複素数のまま書けるようにしたのがインピーダンスです。Z = 3 + j4 Ω なら、大きさは √(3² + 4²) = 5 Ω、偏角は約53.1°で、電流は電圧より53.1°遅れます。直列ではインピーダンスを足し、並列では逆数(アドミタンス)を足すという計算規則も、抵抗と同じです。

周波数で変わる部品の性質

コイルのリアクタンス ωL は周波数に比例して大きくなり、コンデンサのリアクタンス 1/(ωC) は周波数に反比例して小さくなります。このため、直流ではコイルは短絡、コンデンサは開放のように振る舞い、高い周波数ではその逆になります。フィルタ、共振回路、電源のデカップリングは、どれもこの周波数依存性を利用しています。

いろいろな「インピーダンス」

増幅回路の入力インピーダンスや出力インピーダンス、配線の特性インピーダンス、電源の経路のインピーダンスなど、電子回路では多くの場面でこの言葉が使われます。どれも「ある端子から見た電圧と電流の比」という同じ考え方です。高速信号では、配線の特性インピーダンスと終端のインピーダンスがそろっていないと反射が起こります。

インピーダンスの練習問題に挑戦

抵抗R = 30 Ωと、リアクタンスXL = 40 Ωのコイルを直列に接続した回路のインピーダンスの大きさはいくらか。(コイルの抵抗分は無視する)

  1. A70 Ω
  2. B10 Ω
  3. C50 Ω
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正解:C. 50 Ω

抵抗とコイルでは電圧の位相が90°ずれるため、そのまま足さずに複素数(ベクトル)として合成します。Z = R + jXL = 30 + j40 Ωで、大きさは √(30² + 40²) = √2500 = 50 Ωです。電流は電圧より φ = tan⁻¹(40/30) ≈ 53° 遅れ、力率は cos φ = 30/50 = 0.6です。

巻数比 N1:N2 = 10:1 の理想変圧器の二次側に8 Ωの抵抗負荷をつないだ。一次側から見たインピーダンスはいくらか。

  1. A800 Ω
  2. B80 Ω
  3. C0.8 Ω
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正解:A. 800 Ω

理想変圧器では、一次側の電圧は二次側の n = N1/N2 倍、電流は 1/n 倍になるため、一次側から見たインピーダンス V1/I1 は二次側の V2/I2 の n² 倍になります。10² × 8 Ω = 800 Ωです。このインピーダンス変換の性質から、変圧器はアンプとスピーカーの間などのインピーダンス整合にも使われます。

よくある質問

インピーダンスと抵抗はどう違うのですか?

抵抗は電圧と電流の比が周波数によらず位相もずれない場合で、インピーダンスの実部に当たります。インピーダンスは、コイルやコンデンサによる位相のずれと周波数による変化も含めて、複素数で表した量です。

インピーダンスの大きさだけで電力を計算できますか?

できません。有効電力を求めるには、電流の2乗に実部(抵抗分)を掛けるか、力率 cos φ = R/|Z| を使う必要があります。例えば 8 + j6 Ω に10 Aが流れると、消費される電力は 10² × 8 = 800 W で、|Z| = 10 Ω を使った1,000 VAは皮相電力です。

解説の中の「インピーダンス」

「インピーダンス」が出てくる問題(31問)

  1. 抵抗R = 30 Ωと、リアクタンスXL = 40 Ωのコイルを直列に接続した回路のインピーダンスの大きさはいくらか。(コイルの抵抗分は無視する)
  2. 巻数比 N1:N2 = 10:1 の理想変圧器の二次側に8 Ωの抵抗負荷をつないだ。一次側から見たインピーダンスはいくらか。
  3. インピーダンスが Z = 3 + j4 [Ω] の負荷のアドミタンス Y はどれか。
  4. 図(b)のように、平衡三相負荷が各相のインピーダンス Z = 30 Ω のΔ結線になっている。線電流が同じになる図(a)のような等価なY結線に置き換えたときの、各相のインピーダンスはどれか。
  5. 線間電圧200 V(実効値)の平衡三相電源に、図(a)のように各相のインピーダンスが Z = 8 + j6 Ω のY結線負荷を接続した。三相全体の有効電力に最も近いものはどれか。
  6. 図のように、テブナンの等価電圧 Vth = 10 V(実効値)、内部インピーダンス Zth = 3 + j4 Ω の交流回路の端子a-bに、負荷インピーダンス ZL をつなぐ。ZL の抵抗分とリアクタンス分を自由に選べるとき、負荷で消費される電力の最大値に最も近いものはどれか。
  7. 図(a)の回路で、R = 10 Ω、使う角周波数でのコンデンサのリアクタンスを 1/(ωC) = 10 Ω、入力電圧を vin = 10∠0° V(実効値)とする。出力端子から見たテブナンの等価回路の内部インピーダンス Zth はどれか。
  8. 図の並列RLC回路で、R = 20 kΩ、L = 1 mH、C = 10 nF である。共振周波数の付近で、回路のインピーダンスの大きさが共振時の 1/√2 になる2つの周波数の差(帯域幅)に最も近いものはどれか。
  9. 抵抗Rとコンデンサ C を並列に接続した回路の、s領域のインピーダンス Z(s) はどれか。
  10. コンデンサのインピーダンス(容量性リアクタンス)の大きさは、周波数が高くなるとどうなるか。
  11. コイル(インダクタ)のインピーダンスの大きさは、周波数が高くなるとどうなるか。
  12. 理想的な電流源の出力インピーダンスはどれか。
  13. コレクタ接地増幅回路(エミッタフォロワ)の特徴として正しいものはどれか。
  14. ベース接地増幅回路の特徴として正しいものはどれか。
  15. MOSFETのソースフォロワ(ドレイン接地)回路の特徴として正しいものはどれか。

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