力率とは

りきりつ

交流の回路で、有効電力(実際に消費される電力)を皮相電力(電圧の実効値 × 電流の実効値)で割った値。0から1の間の値で、電圧と電流が正弦波なら、その位相差φの cos φ に等しい。力率が低いと、同じ有効電力を送るのに大きな電流が必要になり、配線や変圧器の損失が増える。

「力率」は、4分野の12問の練習問題に出てきます(電気回路・電磁気の基礎, 回路解析(交流回路・線形回路・過渡現象), パワーエレクトロニクス回路など)。

誘導性負荷とコンデンサによる力率改善 V C R L 負荷 I IC IL
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この用語の分野: パワーエレクトロニクス回路

位相差による力率

モータのような誘導性の負荷では、電流が電圧より遅れて、力率が下がります。例えば皮相電力1 kVA、力率0.8の負荷の有効電力は800 Wで、ほかに電源と負荷の間を行き来する無効電力があります。負荷に並列にコンデンサをつなぐと、遅れの無効電力を打ち消して力率を1に近づけられます。

波形のひずみによる力率

電流が正弦波でないときは、電圧と周波数の違う高調波の電流は平均の電力を運ばないのに、電流の実効値を増やします。そのため力率は、基本波の位相差による cos φ と、基本波の実効値 ÷ 全電流の実効値 の積になります。コンデンサで平滑する整流回路は、電流の位相のずれは小さくても、電流がパルスの形になるので力率が低くなります。

力率を上げる理由

100 Vで800 Wを使う負荷では、力率0.8なら10 A、力率1なら8 Aの電流で済みます。配線の損失は電流の2乗に比例するので、力率0.8では力率1のときの約1.56倍になります。機器の入力電流の高調波にはIEC 61000-3-2などの規格で限度が定められていて、これも電源で力率を改善する理由になっています。

力率の練習問題に挑戦

交流回路で、有効電力をP [W]、皮相電力をS [VA]としたとき、力率を表す式はどれか。

  1. AP / S
  2. BS / P
  3. CP × S
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正解:A. P / S

力率は、有効電力Pと皮相電力S(電圧の実効値 × 電流の実効値)の比 P/S です。正弦波では、電圧と電流の位相差φを使って cos φ と表せます。例えば S = 2000 VA、P = 1800 W なら力率は0.9です。力率が低いと、同じ有効電力を送るのに大きな電流が必要になり、配線や変圧器の損失が増えます。

モーターなどの誘導性負荷を含む回路の力率を改善するために、一般に行われる方法はどれか。

  1. A負荷に並列にコンデンサを接続する
  2. B負荷に並列にインダクタを接続する
  3. C電源の周波数を高くする
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正解:A. 負荷に並列にコンデンサを接続する

誘導性負荷では電流が電圧より遅れ、遅れの無効電力が生じます。コンデンサは逆向き(進み)の無効電力を生じるため、負荷に並列に入れると無効電力が打ち消され、電源から流れる電流が減って力率が1に近づきます。負荷にかかる電圧や負荷が消費する有効電力は変わりません。工場などの受電設備では進相コンデンサとして使われますが、入れすぎると進み力率になって電圧が上がる原因になります。

よくある質問

力率と効率は同じですか?

違います。効率は 出力の電力 ÷ 入力の電力 で、損失の割合を表します。力率は 入力の有効電力 ÷ 皮相電力 で、流れている電流のうちどれだけが電力の伝達に役立っているかを表します。効率が高くても、力率が低い機器はあります。

力率が1を超えることはありますか?

ありません。有効電力は皮相電力を超えないので、力率は0から1の間です。電流が電圧より遅れているか進んでいるかは、「遅れ力率」「進み力率」と呼び分けます。

解説の中の「力率」

「力率」が出てくる問題(12問)

  1. 交流回路で、有効電力をP [W]、皮相電力をS [VA]としたとき、力率を表す式はどれか。
  2. モーターなどの誘導性負荷を含む回路の力率を改善するために、一般に行われる方法はどれか。
  3. 平衡三相負荷で、線間電圧が200 V、線電流が10 A、力率が0.8のとき、負荷の有効電力(三相の合計)に最も近いものはどれか。
  4. 図のように、有効電力8 kW、力率0.8(遅れ)の誘導性負荷に、コンデンサCを並列に接続して、電源から見た力率を1にしたい。コンデンサが供給すべき無効電力の大きさはどれか。
  5. 図のように、有効電力8 kW、力率0.8(遅れ)の誘導性負荷にコンデンサCを並列に接続して、電源から見た力率を0.96(遅れ)に改善したい。コンデンサが供給すべき無効電力に最も近いものはどれか。
  6. 入力電流が正弦波でなく高調波を多く含む電源装置で、電流の基本波が電圧と同相でも、力率が1にならない理由として、正しいものはどれか。
  7. 抵抗R = 30 Ωと、リアクタンスXL = 40 Ωのコイルを直列に接続した回路のインピーダンスの大きさはいくらか。(コイルの抵抗分は無視する)
  8. 有効電力が800 W、皮相電力が1000 VAの交流負荷の無効電力はいくらか。(電圧・電流は正弦波)
  9. ある負荷の電圧と電流のフェーザ(実効値)が V = 100∠0° V、I = 5∠−30° A であった。この負荷の無効電力の大きさはどれか。
  10. 抵抗 R = 8 Ω と、リアクタンス X = 6 Ω のコイルを直列に接続した負荷に、実効値100 Vの正弦波電圧を加えた。負荷の有効電力はどれか。
  11. 線間電圧200 V(実効値)の平衡三相電源に、図(a)のように各相のインピーダンスが Z = 8 + j6 Ω のY結線負荷を接続した。三相全体の有効電力に最も近いものはどれか。
  12. 電源回路に使われる力率改善(PFC)回路の目的として正しいものはどれか。

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