量子誤り訂正とは
りょうしあやまりていせい
1つの論理量子ビットの情報を多数の物理量子ビットに広げて持たせ、誤りの手がかり(シンドローム)だけを測定して、計算の途中で誤りを見つけて直す技術。ビット反転と位相反転の両方の誤りを扱う必要があり、物理誤り率がしきい値より十分低いことが前提になる。
「量子誤り訂正」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(量子コンピュータのハードウェアなど)。
この用語の分野: 量子コンピュータのハードウェア
りょうしあやまりていせい
1つの論理量子ビットの情報を多数の物理量子ビットに広げて持たせ、誤りの手がかり(シンドローム)だけを測定して、計算の途中で誤りを見つけて直す技術。ビット反転と位相反転の両方の誤りを扱う必要があり、物理誤り率がしきい値より十分低いことが前提になる。
「量子誤り訂正」は、1分野の1問の練習問題に出てきます(量子コンピュータのハードウェアなど)。
この用語の分野: 量子コンピュータのハードウェア
古典の誤り訂正は、データをコピーしたり、パリティのビットを付けたりして、誤りを見つけて直します。量子ビットでは、未知の状態を複製できず(複製不可能定理)、データを直接測定すると重ね合わせが壊れてしまいます。そこで、例えば α|0⟩ + β|1⟩ を α|000⟩ + β|111⟩ のようなもつれた状態に広げ、補助の量子ビットで「1番目と2番目が同じか」「2番目と3番目が同じか」だけを測ります。この結果(シンドローム)からどこでビットが反転したかが分かり、α と β を知らないまま元に戻せます。実際の符号は、位相反転の誤りも同時に検出できるように作ります。
物理量子ビットの誤り率がしきい値(表面符号では目安として1%程度)より低ければ、符号を大きくするほど論理誤り率は指数関数的に下がります。表面符号では、論理誤り率がおよそ (p/p_th)^((d+1)/2) に比例し、符号距離 d を2増やすごとに p_th/p 分の1になります。回転型の表面符号では、1つの論理量子ビットにデータ用 d² 個と測定用 d² − 1 個、合わせて 2d² − 1 個の物理量子ビットを使い、d = 25 なら1,249個になります。
超伝導方式の表面符号では、シンドロームの測定がおよそ1 µs ごとに繰り返されるので、その結果から誤りの位置を推定する復号器(デコーダ)も、それに追いつく速さで動き続ける必要があります。これには FPGA や専用の回路が使われます。また、量子ビットが|2⟩などの外の準位に漏れる誤りや、放射線などで多数の量子ビットに同時に起こる誤りは、通常の符号が想定する独立な誤りと違うので、別の対策が必要です。誤りに強い計算を行うには、特定のゲートのために特別な状態を作る工程も必要で、これも必要な量子ビットの数を増やします。
正解:A. 未知の量子状態は正確に複製できず(複製不可能定理)、値を確かめようと測定すると重ね合わせが壊れてしまうから
複製不可能定理により、未知の量子状態 α|0⟩ + β|1⟩ を別の量子ビットにそっくり写す操作は存在しません。また、データを持つ量子ビットを直接測定すると、重ね合わせが壊れてしまいます。そこで量子誤り訂正では、1つの論理量子ビットの情報を複数の物理量子ビットのもつれた状態に広げて持たせ、補助の量子ビットを使って、隣り合う量子ビットのパリティのような誤りの手がかり(シンドローム)だけを測定します。量子ビットの誤りには、ビット反転のほかに位相反転もあり、両方を検出する必要があります。
符号の種類、物理誤り率、目標の論理誤り率によって大きく変わります。表面符号で物理誤り率が0.1%程度の場合、実用的な計算には数百〜千数百個程度という見積もりがよく使われます。物理誤り率が下がれば、必要な数も減ります。
誤り訂正は計算の途中で誤りを直すので、原理的には長い計算も可能になりますが、多数の物理量子ビットが必要です。誤り緩和は、誤りの影響を推定して測定結果の後処理で補正する方法で、量子ビットを増やさずに使えますが、回路が大きくなると必要な測定の回数が急に増えるので、長い計算には使えません。
そこで量子誤り訂正では、1つの論理量子ビットの情報を複数の物理量子ビットのもつれた状態に広げて持たせ、補助の量子ビットを使って、隣り合う量子ビットのパリティのような誤りの手がかり(シンドローム)だけを測定します。
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