整流回路とは

せいりゅうかいろ

交流を一方向に流れる電流(直流)に変換する回路。ダイオードで負の半周期を取り除く半波整流回路、4個のダイオードのブリッジで両方の半周期を同じ向きにそろえる全波整流回路、三相交流を6個のダイオードで整流する三相全波整流回路などがある。出力は脈動を含むので、平滑コンデンサやインダクタで直流に近づける。ダイオードの代わりにサイリスタを使うと、点弧角で出力電圧を調整できる。

「整流回路」は、3分野の11問の練習問題に出てきます(パワーエレクトロニクス回路, PN接合・ダイオード, パワー半導体など)。

この用語の分野: パワーエレクトロニクス回路

平均値と脈動

実効値Vの正弦波を全波整流した波形の平均値は (2√2/π) × V ≈ 0.90V、半波整流では約0.45Vです。脈動の基本周波数は、半波整流で電源と同じ、全波整流で2倍、三相全波整流で6倍になり、周波数が高いほど平滑しやすくなります。三相全波整流の出力の平均値は線間電圧の実効値の約1.35倍で、200 Vの三相交流から約270 Vの直流が得られます。

コンデンサで平滑するときの入力電流

ダイオードの後ろに大きな平滑コンデンサを置くと、出力電圧は最大値の近くに保たれますが、ダイオードが導通するのは、入力電圧がコンデンサの電圧を上回る山の付近の短い時間だけになります。そのため入力電流は幅の狭いパルスの形になり、高調波を多く含んで力率が大きく下がります。この対策として、力率改善回路(PFC回路)が使われます。

素子の選び方

商用の周波数の整流には、一般整流用のシリコンのダイオードが使われます。スイッチング電源の高い周波数の整流では、逆回復の速いファストリカバリダイオードや、順方向電圧の低いショットキーバリアダイオードを使い、さらに損失を減らしたいときは、MOSFETで整流する同期整流を使います。ブリッジでは電流が常に2個のダイオードを通るので、大きな電流では順方向電圧による損失と放熱の設計が重要になります。

整流回路の練習問題に挑戦

ダイオード4個で構成するブリッジ整流回路の働きとして正しいものはどれか。

  1. A直流を交流に変換する
  2. B信号を増幅する
  3. C交流を全波整流して、一方向に流れる電流(脈流)にする
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正解:C. 交流を全波整流して、一方向に流れる電流(脈流)にする

ブリッジ整流回路では、正の半周期と負の半周期で別の2個のダイオードが導通し、どちらでも負荷に同じ向きの電流が流れます(全波整流)。電流は常に2個のダイオードを通るので、約1.4 Vの電圧降下があります。出力は脈打つため、コンデンサで平滑して直流電源として使います。リプルの周波数は入力の2倍(50 Hzなら100 Hz)になり、半波整流より平滑しやすくなります。

ダイオード1個と抵抗で構成した半波整流回路に正弦波の交流を入力したときの出力として正しいものはどれか。

  1. A交流がそのまま出力される
  2. B負の半周期も正に反転して出力される
  3. C正または負の一方の半周期だけが出力される
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正解:C. 正または負の一方の半周期だけが出力される

半波整流回路ではダイオードが順方向になる半周期だけ電流が流れ、残りの半周期は遮断されるため、出力は片側の半周期だけになります。出力のピークは入力のピークよりダイオードの順方向電圧(約0.7 V)だけ低くなります。部品は1個で済みますが、入力電力の半分しか使えず、リプルの周波数が入力と同じで平滑しにくいため、電源には主に全波整流が使われます。

よくある質問

全波整流と半波整流はどちらがよいですか?

ほとんどの電源では全波整流を使います。両方の半周期を使うので平均値が2倍になり、脈動の周波数も2倍で平滑しやすく、変圧器に直流の成分が流れて鉄心が一方向に磁化されることもありません。半波整流は、部品が少なくて済むので、ごく小さな電流の用途に限って使われます。

整流した電圧を直流の電圧計で測ると、何Vになりますか?

平均値を指す一般的な直流の電圧計では、平滑しない全波整流の出力は、実効値100 Vの入力に対して約90 Vを示します。平滑コンデンサを付けて負荷が軽いと、出力電圧は最大値の約141 Vに近づきます。

解説の中の「整流回路」

「整流回路」が出てくる問題(11問)

  1. ダイオード4個で構成するブリッジ整流回路の働きとして正しいものはどれか。
  2. ダイオード1個と抵抗で構成した半波整流回路に正弦波の交流を入力したときの出力として正しいものはどれか。
  3. 整流回路の出力にコンデンサを並列に入れる主な目的はどれか。
  4. 4個のダイオードでつくる単相のブリッジ整流回路に交流を加えたとき、ある半周期に電流が流れる経路として、正しいものはどれか。
  5. 三相交流を6個のダイオードのブリッジで整流する三相全波整流回路の出力の特徴として、正しいものはどれか。
  6. 実効値100 Vの正弦波交流を、理想的なダイオードのブリッジで全波整流した。平滑コンデンサがないときの出力電圧の平均値に最も近いものはどれか。
  7. コンデンサが、脈動の1周期の間、負荷の電流をすべて供給するとして見積もる。50 Hzの交流を全波整流し、10,000 µFの平滑コンデンサで平滑して、一定の2 Aの電流を負荷に流すとき、出力電圧の脈動(山から谷まで)のおおよその値はどれか。
  8. 実効値200 Vの単相交流を、サイリスタを使った単相全波の整流回路で位相制御し、抵抗負荷に電力を供給する。点弧角60°のときの出力電圧の平均値に最も近いものはどれか。
  9. ダイオードが一方向にだけ電流をよく流し、逆方向にはほとんど流さない性質を何と呼ぶか。
  10. 電源回路に使われる力率改善(PFC)回路の目的として正しいものはどれか。
  11. 入力電流が正弦波でなく高調波を多く含む電源装置で、電流の基本波が電圧と同相でも、力率が1にならない理由として、正しいものはどれか。

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