標準偏差とは

ひょうじゅんへんさ

データや確率変数のばらつきの大きさを表す量で、σ(シグマ)で表すことが多い。各値と平均との差を2乗して平均したものが分散で、その正の平方根が標準偏差である。元のデータと同じ単位になるので、平均±1σ、±3σのように、ばらつきの幅を直接表せる。工程管理の管理限界や工程能力指数、測定の誤差の評価、正規分布の計算などに広く使われる。

「標準偏差」は、5分野の16問の練習問題に出てきます(確率・統計と待ち行列, 歩留まり・品質管理, イオン注入など)。

この用語の分野: 確率・統計と待ち行列

求め方

平均をμとすると、分散は (x − μ)² の平均で、標準偏差はその平方根です。例えば 2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9 では、平均が5、差の2乗の和が32で、分散は 32 ÷ 8 = 4、標準偏差は2です。分散は単位が元のデータの2乗になるので、ばらつきの幅をデータと同じ単位で示すときは標準偏差を使います。

nで割るかn − 1で割るか

手元のデータそのもののばらつきを表すときは、差の2乗の和をデータの個数nで割ります。標本から母集団の分散を推定するときは、n − 1で割った不偏分散を使うのが一般的です。標本の平均は標本のデータに最も近くなるように決まるため、nで割ると母集団の分散を少し小さく見積もってしまうからです。表計算ソフトにも両方の関数があるので、どちらを使うかを確かめます。

使われる場面

工程管理では、管理図の管理限界を中心線±3σに引き、工程能力指数Cpは規格の幅を6σと比べます。正規分布に従うデータなら、平均±1σに約68%、±2σに約95%、±3σに約99.7%が入ります。標本平均のばらつきを表す標準誤差は、母集団の標準偏差を標本の大きさの平方根で割った σ/√n です。

標準偏差の練習問題に挑戦

工程能力指数Cp(規格の中心と工程の平均が一致している場合)を求める式はどれか。(σ:工程の標準偏差)

  1. A(上限規格 − 下限規格) ÷ 6σ
  2. B平均値 ÷ σ
  3. Cσ ÷ 平均値
答えと解説を見る

正解:A. (上限規格 − 下限規格) ÷ 6σ

Cpは、規格の幅を工程のばらつき(6σ)で割った値で、工程が規格をどれだけ余裕をもって満たせるかを表します。Cp=1なら規格の幅がちょうど±3σで、約0.27%が規格外になります。一般にCp≥1.33(規格限界まで±4σ)あれば工程能力は十分とされます。平均値÷σやその逆数は、ばらつきの相対的な大きさを表す別の量です。

よくある質問

分散と標準偏差はどう使い分けますか?

ばらつきの幅をデータと同じ単位で表して比べるときは標準偏差を使います。分散は計算の途中で便利な量で、互いに独立な量の和の分散は、それぞれの分散の和になります。結果を示すときは、平方根をとって標準偏差に直すことが多いです。

独立な2つのばらつきを合わせると、標準偏差はどうなりますか?

互いに独立なら、分散が足し算になるので、合わせた標準偏差は √(σ₁² + σ₂²) です。例えば、標準偏差3 nmと4 nmの独立なばらつきが重なると、合わせた標準偏差は5 nmで、単純に足した7 nmより小さくなります。寸法の積み上げや誤差の合成で使われる考え方で、2つのばらつきに相関があるときはこの式は成り立ちません。

解説の中の「標準偏差」

「標準偏差」が出てくる問題(16問)

  1. 工程能力指数Cp(規格の中心と工程の平均が一致している場合)を求める式はどれか。(σ:工程の標準偏差)
  2. 分散を、平均との差の2乗の和をデータの個数で割って求めるものとする。8個のデータ 2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9 の標準偏差はどれか。
  3. ある部品の寸法は、平均50.0 mm、標準偏差0.1 mmの正規分布に従う。寸法が49.7 mmから50.3 mmまでの範囲に入る部品の割合に最も近いものはどれか。
  4. AさんはテストXで80点、BさんはテストYで75点をとった。テストXの平均は65点、標準偏差は10点で、テストYの平均は60点、標準偏差は6点だった。それぞれのテストの中での相対的な位置を、標準化した値 z = (得点 − 平均) ÷ 標準偏差 で比べたときの説明として、正しいものはどれか。
  5. ある回路の経路の遅延が、チップごとに平均940 ps、標準偏差30 psの正規分布に従ってばらつく。正規分布で平均±2σの範囲に入る割合を約95.4%とするとき、遅延がクロックの周期1,000 psを超えてしまうチップの割合に最も近いものはどれか。
  6. 2つの量x、yの相関係数が0.8、xの標準偏差が5、yの標準偏差が10である。最小二乗法で求めた、yをxから予測する回帰直線の傾きはどれか。
  7. 標準偏差が12の母集団から、大きさ36の標本を無作為に取り出す。標本平均の標準誤差(標本平均のばらつきを表す標準偏差)はどれか。
  8. 母集団の標準偏差が10であることが分かっている。この母集団から大きさ100の標本を取り出したところ、標本平均は50.0だった。標準正規分布で両側の95%に当たる値を1.96とするとき、母平均の95%信頼区間はどれか。
  9. イオン注入後の不純物の深さ方向の分布を近似的に表す分布と、そのピークの深さを表す量の組み合わせとして正しいものはどれか。
  10. イオン注入のマスクとしてフォトレジストを使うときに注意すべき点はどれか。
  11. マスクの端の付近にイオン注入したとき、不純物がマスクの下まで横方向に広がって入り込む原因として正しいものはどれか。
  12. 工程管理に使われる管理図(シューハート管理図)で、管理限界線を一般にどのように設定するか。
  13. 工程の平均値の変化とばらつきの変化を同時に監視するため、サンプルの平均値と範囲(最大−最小)をそれぞれ時系列で描く管理図はどれか。
  14. 2つの量の相関係数についての説明として、適切なものはどれか。
  15. 機械学習のモデルを作る手順のうち、データリーク(評価に使うデータの情報が学習に紛れ込むこと)を起こしているものはどれか。

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