待ち行列理論とは

まちぎょうれつりろん

窓口やサーバに処理の要求が到着し、空くのを待って処理を受ける様子を確率のモデルで表し、待ち時間や行列の長さを求める理論。到着の分布、サービス時間の分布、窓口の数を「M/M/1」のように並べるケンドールの記号で表す。M/M/1モデルでは、利用率ρ = 到着率λ × 平均サービス時間Tsを使って、平均待ち時間を ρ/(1 − ρ) × Ts と求める。コンピュータの性能評価、ネットワークの遅延、工場の仕掛りの分析などに使われる。

「待ち行列理論」は、1分野の6問の練習問題に出てきます(確率・統計と待ち行列など)。

この用語の分野: 確率・統計と待ち行列

ケンドールの記号とM/M/1

待ち行列のモデルは「到着の分布/サービス時間の分布/窓口の数」の形で表します。Mはマルコフ性を表し、到着ならポアソン到着(間隔が指数分布)、サービス時間なら指数分布を意味します。Dは一定の時間、Gは一般の分布です。M/M/1は、ランダムな到着とランダムなサービス時間の窓口が1つのモデルで、待つ場所に限りがなく、先着順に処理し、十分に時間がたった定常状態を考えるのが基本の前提です。

基本の式

利用率は ρ = λ × Ts で、窓口が忙しい時間の割合です。M/M/1では、平均待ち時間 Wq = ρ/(1 − ρ) × Ts、平均応答時間 W = Wq + Ts = Ts/(1 − ρ)、系の中にある平均の数 L = ρ/(1 − ρ) です。これらはリトルの法則 L = λW で結び付いていて、例えば λ = 3件/分、Ts = 15秒なら、ρ = 0.75、Wq = 45秒、W = 60秒、L = 3件になります。

利用率と待ち時間

Wq ÷ Ts = ρ/(1 − ρ) は、利用率0.5で1倍、0.8で4倍、0.9で9倍、0.95で19倍と、利用率が1に近づくほど急に大きくなります。たまたま到着が重なってできた行列を解消するための空き時間 1 − ρ が少なくなるからです。そのため、応答時間が大切なシステムでは、利用率に余裕を持たせて設計します。

待ち行列理論の練習問題に挑戦

1時間あたり平均12件の依頼が届き、1件の処理に平均4分かかる窓口がある。M/M/1の待ち行列とみなすとき、窓口の利用率はどれか。

  1. A0.8
  2. B1.25
  3. C3
答えと解説を見る

正解:A. 0.8

利用率ρは、到着率λと平均サービス時間Tsの積で、窓口が忙しい時間の割合を表します。単位をそろえると4分 = 1/15時間なので、ρ = 12 × 1/15 = 0.8 です。サービス率 μ = 15件/時間を使って、ρ = λ/μ = 12/15 と求めても同じです。

1分あたり平均3件の要求が届き、1件の処理に平均15秒かかるサーバを、M/M/1の待ち行列とみなす。要求が届いてから処理が終わるまでの平均の時間(平均応答時間)はどれか。

  1. A20秒
  2. B45秒
  3. C60秒
答えと解説を見る

正解:C. 60秒

利用率は ρ = 3件/分 × 15秒 ÷ 60秒 = 0.75 です。平均待ち時間は Wq = ρ/(1 − ρ) × Ts = 0.75/0.25 × 15 = 45秒で、これに処理の時間15秒を足すと、平均応答時間は 45 + 15 = 60秒です。Ts/(1 − ρ) = 15/0.25 = 60秒と求めても同じです。

よくある質問

M/M/1の前提が成り立たないときはどうしますか?

サービス時間が一定ならM/D/1のように、実際に近いモデルを使います。M/D/1の平均待ち時間はM/M/1のちょうど半分になり、サービス時間のばらつきが小さいほど待ち時間は短くなります。複雑なシステムでは、シミュレーションで確かめることも多く、どの場合でもリトルの法則は成り立ちます。

窓口を増やすのと、窓口を速くするのとでは、どちらがよいですか?

全体の処理能力が同じなら、2倍速い窓口1つの方が、窓口2つ(1本の行列を共有するM/M/2)より平均応答時間は短くなります。一方、行列で待つ時間だけを比べると、窓口2つの方が短くなります。窓口が2つでも、窓口ごとに別々の行列を作ると、片方が空いているのにもう片方で待つことが起こるので、1本の行列を共有する方式より待ち時間が長くなります。

解説の中の「待ち行列理論」

「待ち行列理論」が出てくる問題(6問)

  1. 1時間あたり平均12件の依頼が届き、1件の処理に平均4分かかる窓口がある。M/M/1の待ち行列とみなすとき、窓口の利用率はどれか。
  2. 1分あたり平均3件の要求が届き、1件の処理に平均15秒かかるサーバを、M/M/1の待ち行列とみなす。要求が届いてから処理が終わるまでの平均の時間(平均応答時間)はどれか。
  3. M/M/1の待ち行列とみなせるサーバで、平均サービス時間は変わらないまま到着率が増え、利用率が0.8から0.9に上がった。平均待ち時間Wq(行列で待つ時間)は何倍になるか。最も近いものはどれか。
  4. 平均サービス時間が0.2秒のサーバを、M/M/1の待ち行列とみなす。平均応答時間(待ち時間と処理の時間の合計)を1.0秒以下に抑えるとき、受け付けられる到着率の上限に最も近いものはどれか。
  5. サーバへの要求が、1分あたり平均6件のポアソン到着(互いに独立なランダムな到着)で届く。到着の間隔が従う分布と、その平均の組合せとして、適切なものはどれか。
  6. 同じ速さの窓口が2つある。方式Aでは、利用者は到着したときにどちらかの窓口を等しい確率で選び、窓口ごとの行列に並ぶ。方式Bでは、利用者は1本の行列に並び、空いた窓口から順に処理を受ける。到着はランダムで、全体の到着率と処理の速さはどちらも同じとする。平均待ち時間の比較として、適切なものはどれか。

確率・統計と待ち行列の参考書を探す PR

Amazonの検索結果へのリンクです。Amazonのアソシエイトとして、半導体教室は適格販売により収入を得ています。

関連する用語

指数分布 仮説検定 期待値 四分位数 順列と組合せ 条件付き確率 信頼区間 正規分布 相関係数 中央値

用語集の一覧へ