シリコンインターポーザ・有機インターポーザ・シリコンブリッジの違い:配線密度・大きさ・コストを比較

2.5D実装では、プロセッサとHBMのような複数のチップを横に並べ、パッケージ基板よりはるかに細かい配線で結びます。その中継の方法には大きく3つあります。シリコンインターポーザは、ウエハの配線工程で細かい配線をつくったシリコンの板を、すべてのチップの下に敷きます。有機インターポーザは、樹脂の絶縁膜と銅の配線を重ねた再配線層(RDL)でつくります。シリコンブリッジは、細かい配線をつくった小さなシリコン片を、チップどうしが接する部分の下にだけ埋め込みます。配線の細かさではシリコンインターポーザが有利で、大きさとコストでは有機インターポーザやシリコンブリッジが有利です。必要な配線の数とパッケージの大きさによって使い分けます。

項目シリコンインターポーザ有機インターポーザ(RDL)シリコンブリッジ
つくり方シリコンのウエハに、半導体の配線工程(銅のダマシン)で多層の細かい配線とTSVをつくる樹脂の絶縁膜(ポリイミドなど)と銅のめっきの配線を、支持体の上に何層も重ねてつくる細かい配線をつくった小さなシリコン片を、パッケージ基板や再配線層の中に埋め込む
シリコンを置く範囲すべてのチップの下に1枚の大きな板を敷くシリコンは使わず、すべてのチップの下に再配線層を敷く隣り合うチップの端どうしの下にだけ置く。ほかの部分は通常の基板の配線で接続する
配線の細かさ(線幅/間隔)の目安最も細かい。一般に1 µm前後以下シリコンより粗い。一般に2 µm前後が目安で、層の数も少なめブリッジの部分はシリコンインターポーザと同じくらい細かい
大きさの限界露光の1ショットの範囲(約26 mm × 33 mm)を超えるには、ショットどうしをつなぐスティッチング露光が必要で、大きくするほど高価になるシリコンインターポーザより大型化しやすいブリッジ自体は小さいので、ブリッジを複数置けば、露光の範囲より大きなパッケージにも対応しやすい
TSVの要否必要。インターポーザを貫通して、上のチップとパッケージ基板をつなぐ不要。再配線層のビアで上下をつなぐ基板に埋め込む方式の多くでは、ブリッジ自体にTSVは不要。電源や多くの信号はブリッジの外側で基板と直接つなぐ
コスト高い。大きな面積のシリコンとTSVの工程が必要シリコンインターポーザより抑えやすいシリコンの面積が小さいので、シリコンインターポーザより抑えやすい。ただし、埋め込みと位置合わせの工程が加わる
熱膨張と反りシリコンの熱膨張係数は有機の基板よりかなり小さく、その差による応力と反りが、大型化するほど問題になる熱膨張係数がパッケージ基板に近く、接続部の応力を減らしやすい。一方で、樹脂の層の反りや寸法の変化の管理が必要パッケージの大部分は有機の基板なので、全体の反りは通常の基板に近い。ブリッジの周りの局所的な応力や、細かいバンプと粗いバンプの高さの管理が課題
電気的な特徴配線は細く短い。細い配線は抵抗が大きいので、長い距離の配線には向かない配線を厚くしやすく、抵抗は小さめ。ただし配線の本数の密度は低い高密度の配線はチップの端どうしの短い区間だけ。電源はブリッジを通さず、基板から直接供給できる
主な用途非常に多くの配線が必要な、プロセッサと複数のHBMの接続など配線の数の要求がそれほど厳しくない、または大きな面積が必要なチップレットの接続大型のパッケージで、チップの端どうしだけを高密度につなぎたいチップレットやHBMの接続

数値は代表的な目安で、世代や製品によって異なります。

どんなときに使うか

シリコンインターポーザ
配線の密度を最優先するときに向きます。プロセッサと複数のHBMを数千本の配線で結ぶ構成で、広く使われてきた方式です。
有機インターポーザ(RDL)
シリコンほどの配線密度は要らず、コストや大きさを優先したいときに向きます。熱膨張の差による接続部の応力を減らしたいときにも有利です。
シリコンブリッジ
パッケージを大きくしながら、チップどうしの境目だけに高密度な配線が欲しいときに向きます。シリコンの面積を減らして、コストを抑えます。

よくある質問

インターポーザが露光の範囲より大きくなるとどうするのですか?

露光の1ショットで露光できる範囲(レチクルサイズ)は約26 mm × 33 mmに限られます。それより大きなシリコンインターポーザは、隣り合うショットの境界で配線をつなぎ合わせるスティッチング露光でつくります。ただし大きくなるほど、コスト、歩留まり、反りの管理が難しくなるため、有機インターポーザやシリコンブリッジも検討されます。

シリコンブリッジとシリコンインターポーザの一番の違いは何ですか?

シリコンを置く範囲です。シリコンインターポーザはすべてのチップの下に大きなシリコンの板を敷きますが、シリコンブリッジはチップどうしが接する部分の下にだけ小さなシリコン片を置きます。高密度な配線が必要な所だけにシリコンを使うので、面積とコストを抑えやすくなります。

配線の細かさはどのくらい違いますか?

目安として、線幅と間隔はシリコンインターポーザで1 µm前後以下、有機インターポーザで2 µm前後で、通常のパッケージ基板はそれよりさらに粗くなります。数字は世代や方式で変わりますが、半導体の配線工程を使える分、シリコンのほうが細かくできます。

有機インターポーザとシリコンブリッジは組み合わせられますか?

組み合わせられます。再配線層の中に小さなシリコン片を埋め込み、高密度が必要な部分だけをシリコンの配線で結ぶ構成もあります。これらの方式は、メーカーごとに独自の名前で呼ばれていることが多いので、名前だけでなく、どこにシリコンを使い、TSVがあるかを確かめると整理しやすくなります。

理解度チェック

2.5D実装で使われるシリコンインターポーザの役割として正しいものはどれか。

  1. Aチップを冷やすためのヒートシンク
  2. B複数のチップを並べて載せ、微細な配線で高密度に接続する中継基板
  3. C露光に使うフォトマスク
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正解:B. 複数のチップを並べて載せ、微細な配線で高密度に接続する中継基板

シリコンインターポーザは、半導体の配線工程を使って1 µm以下の微細な配線をつくったシリコンの中継基板です。その上にプロセッサとHBMなど複数のチップを並べて載せ、配線の幅が数十µmの通常の有機パッケージ基板では実現できない高密度な配線で接続します。インターポーザ自体はTSVを通してパッケージ基板とつながります。冷却の部品やフォトマスクとは関係ありません。

大きなシリコンインターポーザの代わりに、チップ間の接続部分だけに小さなシリコン片を埋め込んで、高密度な配線を実現する方式はどれか。

  1. Aワイヤボンディング方式
  2. Bシリコンブリッジ方式
  3. Cリードフレーム方式
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正解:B. シリコンブリッジ方式

シリコンブリッジ方式は、パッケージ基板の中に、隣り合うチップの接続部分だけを覆う小さなシリコン片を埋め込み、そこに微細な配線をつくってチップどうしを高密度に接続します。チップ全体の下に敷く大きなインターポーザが不要になるため、コストを抑えながら、露光の範囲より大きな実装も可能になります。IntelのEMIBが代表例です。ワイヤやリードフレームではこの密度は出せません。

2.5D実装で、シリコンインターポーザの代わりに、有機材料の絶縁膜と銅配線を重ねた再配線層(RDL)のインターポーザを使う主な利点はどれか。

  1. Aシリコンより微細な配線を必ず形成できる
  2. BTSVが不要になり、放熱がまったく不要になる
  3. Cコストを抑えやすく、大きな面積のインターポーザもつくりやすい
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正解:C. コストを抑えやすく、大きな面積のインターポーザもつくりやすい

有機材料のRDLインターポーザは、シリコンのウエハ工程を使わないためコストを抑えやすく、柔軟性があり大型化もしやすいのが利点です。熱膨張係数がパッケージ基板に近く、接続の応力を減らせる面もあります。一方で、配線の微細さや密度はシリコンインターポーザに及ばないことが多く、用途に応じて使い分けたり、高密度が必要な部分だけシリコンブリッジと組み合わせたりします。

  1. 露光装置で一度に露光できる最大の範囲(約26 mm × 33 mm)より大きなシリコンインターポーザを製造するために用いられる方法はどれか。
  2. AI向けのGPUで、GPUチップとHBMを1つのシリコンインターポーザの上に並べて実装する主な理由はどれか。
  3. 2.5D実装と3D実装の違いとして正しいものはどれか。

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関連する用語の解説

シリコンインターポーザ
複数のチップを並べて載せ、微細な配線で高密度に接続するシリコンの中継基板。GPUとHBMの接続などに使われる。
再配線層(RDL)
チップやウエハの表面に形成し、電極の位置を外部端子の位置まで引き回すための配線層。ファンアウト型パッケージやインターポーザに使われる。
TSV(シリコン貫通電極)
シリコン基板を貫通する電極。積層したチップどうしを上下に短い距離で接続する。
2.5D実装
複数のチップを、シリコンインターポーザなどの中継基板の上に横に並べ、微細な配線で高密度に接続する実装方式。GPUとHBMの接続などに使われる。
HBM
複数のDRAMダイをTSVで積層し、非常に広いバス幅で高い帯域を実現するメモリ。
チップレット
機能ごとに分けてつくった小さなチップ。複数を1つのパッケージ内で接続して大きなシステムを構成する。
マイクロバンプ
TSVで積層したチップどうしや、チップとインターポーザの接続に使われる、通常のはんだボールよりはるかに小さいバンプ。ピッチは数十µm程度。

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