ファンイン型とファンアウト型WLPの違い:再配線・面積・端子数・再構成ウエハ・用途を比較

どちらも、ウエハの状態で再配線層(RDL)とはんだボールを作ってから個片化するパッケージです。ファンイン型は、もとのウエハの上でそのまま作るので、端子はチップの面積の内側にしか置けず、パッケージはチップとほぼ同じ大きさになります。ファンアウト型は、切り出した良品のチップを間隔をあけて並べ、樹脂で埋めた再構成ウエハを作ってから、チップの外側まで再配線を広げます。端子を多く置け、複数のチップもまとめられますが、工程が増え、反りやチップの位置ずれが課題になります。

項目ファンイン型WLPファンアウト型WLP
再配線の範囲チップの面積の内側だけチップの外側の樹脂の上まで広げる
パッケージとチップの面積ほぼ同じ(チップサイズ)パッケージの方が大きい
端子数(目安)少なめ。チップの面積とボールのピッチで決まり、数個〜数百程度多い。チップの外側にも端子を置けるので、千を超えることもある
製造の出発点もとのデバイスのウエハ良品のチップを支持体に並べ、モールド樹脂で埋めた再構成ウエハ(パネルで作る方式もある)
基板使わない使わないものが多い。再配線層が基板の役目をするので薄くできる(高性能品では、さらに基板に載せるものもある)
複数のチップ1つのチップだけ複数のチップや受動部品を1つのパッケージにまとめられる
主な課題チップが大きいと、プリント基板との熱膨張の差ではんだの接合部の寿命が短くなるシリコンと樹脂の熱膨張の差による反り、封止のときのチップの位置ずれ(ダイシフト)、樹脂の上の微細な再配線
コスト安い。工程が少ないファンイン型より高い。チップの配置、モールド、樹脂の上の再配線の工程が増える
主な用途スマートフォンなどの小さなチップ。電源IC、RF部品、センサ、オーディオ用のICなどスマートフォンのアプリケーションプロセッサ、RFモジュール、複数のチップの統合や、高い性能のチップレットの接続

数値は代表的な目安で、世代や製品によって異なります。

どんなときに使うか

ファンイン型WLP
端子数が少ない小さなチップを、できるだけ小さく安くパッケージしたいとき。携帯機器の電源IC、センサ、RF部品など。
ファンアウト型WLP
チップの面積に対して端子が多いとき、パッケージを薄くしたいとき、複数のチップを1つにまとめたいとき。
見分け方
端子がチップの面積に収まるならファンイン型、収まらずに外側へ広げる必要があればファンアウト型です。

よくある質問

ファンイン型とファンアウト型は、何が「イン」と「アウト」なのですか?

再配線で端子を引き回す範囲です。ファンイン型はチップの面積の内側(イン)だけに端子を並べ、ファンアウト型はチップの外側(アウト)の樹脂の部分まで配線を広げて端子を並べます。

再構成ウエハとは何ですか?

ファンアウト型を作るために、良品のチップを支持体の上に間隔をあけて並べ、モールド樹脂で埋めて作り直したウエハ状のものです。チップの周りに樹脂の領域ができるので、そこまで再配線を広げられます。

ファンアウト型WLPでは、なぜ反りが問題になるのですか?

シリコン、モールド樹脂、再配線層の絶縁膜は、熱膨張係数が大きく違うからです。樹脂を硬化させたり加熱したりするたびに伸び縮みの差で反りが生じ、露光や搬送、はんだの接合が難しくなります。

ファンイン型WLPで大きなチップを作らないのはなぜですか?

パッケージが基板を持たず、シリコンが直接プリント基板にはんだ付けされるので、チップが大きいほど熱膨張の差で接合部にかかるひずみが大きくなるからです。また、端子がチップの面積に収まらなくなることもあります。

理解度チェック

ウエハレベルパッケージ(WLP)の特徴として正しいものはどれか。

  1. Aチップを1個ずつ切り出してからパッケージを組み立てる
  2. Bチップを樹脂で溶かして形をつくる
  3. Cウエハの状態のまま再配線や外部端子の形成を行い、その後で個片化する
答えと解説を見る

正解:C. ウエハの状態のまま再配線や外部端子の形成を行い、その後で個片化する

WLPでは、ダイシングする前のウエハの状態で再配線層やはんだボールを一括して形成し、最後に個々のチップに切り分けます。チップの面積内に端子を収めるファンインと、チップを樹脂で埋め込んだ再構成ウエハをつくってチップの外側まで配線を広げるファンアウトがあります。ファンアウトは基板を使わず薄くできるため、スマートフォンのプロセッサなどにも使われています。

ファンアウト型ウエハレベルパッケージ(FOWLP)の特徴として正しいものはどれか。

  1. Aチップの外側まで再配線層を広げ、チップ面積より広い範囲に外部端子を配置できる
  2. Bワイヤボンディングだけで接続する
  3. Cパッケージがチップより必ず小さくなる
答えと解説を見る

正解:A. チップの外側まで再配線層を広げ、チップ面積より広い範囲に外部端子を配置できる

FOWLPでは、切り出したチップを樹脂で埋め込んで再構成したウエハをつくり、その上にチップの外側まで広がる再配線層を形成します。チップより広い範囲に外部端子を置けるため、チップが小さくても多くの端子を配置でき、パッケージ基板を使わないため薄く作れます。スマートフォンのプロセッサなどに採用されています。接続はワイヤではなく再配線層で行い、パッケージはチップより大きくなります。

ファンアウト型ウエハレベルパッケージで、切り出したチップを支持体の上に間隔をあけて並べ、樹脂で埋めて作り直したウエハ状のものを何と呼ぶか。

  1. ASOIウエハ
  2. Bエピタキシャルウエハ
  3. C再構成ウエハ(リコンスティテューテッドウエハ)
答えと解説を見る

正解:C. 再構成ウエハ(リコンスティテューテッドウエハ)

ファンアウト型では、テストで選んだ良品のチップを支持体の上に間隔をあけて並べ、周りをモールド樹脂で埋めて、ウエハの形に作り直します。これを再構成ウエハと呼びます。チップの外側に広がった樹脂の上にも再配線層を形成できるため、チップより広い範囲に外部端子を配置でき、良品だけを使うので歩留まりのむだも減らせます。SOIやエピタキシャルウエハは前工程の基板です。

  1. ファンアウト型ウエハレベルパッケージの製造で、チップを樹脂で封止する際に、樹脂の流動や硬化時の収縮によってチップの位置がずれる問題を何と呼ぶか。
  2. チップやウエハの表面に形成し、電極の位置を外部端子の位置まで引き回すための配線層を何と呼ぶか。
  3. 円形のウエハではなく、大型の角形パネルの上でパッケージを一括して製造する方式の主な狙いはどれか。

先端技術(3D実装・チップレット)の練習問題へ

関連する用語の解説

WLP(ウエハレベルパッケージ)
ウエハの状態のまま再配線や外部端子の形成までを行い、その後で個片化するパッケージ。チップとほぼ同じ大きさの小型のパッケージになる。
再配線層(RDL)
チップやウエハの表面に形成し、電極の位置を外部端子の位置まで引き回すための配線層。ファンアウト型パッケージやインターポーザに使われる。
CSP(チップサイズパッケージ)
チップとほぼ同じ大きさまで小型化したパッケージの総称。スマートフォンなどの小型の機器で広く使われる。
KGD(ノウングッドダイ)
実装する前に良品であることが確認されたチップ。複数のチップを1つのパッケージに積む場合、1つでも不良が混ざると全体が不良になるため重要になる。

関連する比較