スタティック・ダイナミック・ウエハレベルのバーンインの違い:ストレス・網羅性・コストを比較

バーンインは、高温と定格より高い電圧のもとで製品に電源を入れ、初期故障を起こしやすい製品を出荷前に取り除くスクリーニングです。スタティックバーンインは、電源と固定のバイアスをかけるだけで回路を動かさないので、装置は簡単ですが、ストレスがかかる部分が限られます。ダイナミックバーンインは、クロックやテストパターンを入れて内部の回路を動かしながら行うので、より広い範囲にストレスを加えられます。ウエハレベルバーンインは、行う段階の違いで、ダイシング前のウエハの状態でまとめてストレスを加え、パッケージに入れる前に不良のチップを見つけます。

項目スタティックバーンインダイナミックバーンインウエハレベルバーンイン
ストレスの加え方高温で電源電圧と固定のバイアスをかけるだけ。回路は動かさない高温・高電圧で、クロックやテストパターンを入れ、内部のノードを0と1に切り替えながら動かすウエハ上の多数のチップに、接触子で一括して電源や信号を加える
行う段階パッケージに入れたあとパッケージに入れたあとダイシングの前(ウエハの状態)
代表的な条件約125 ℃、定格より高い電源電圧で、数時間〜数十時間約125 ℃、定格より高い電源電圧で、数時間〜数十時間温度と電圧で加速する考え方は同じ。製品と装置に合わせて条件を決める
ストレスがかかる範囲固定の入力でバイアスがかかる部分に限られ、内部の多くのノードは決まった状態のままスキャンやBISTなどで内部を動かし、より多くのトランジスタや配線にストレスを加えられる方式による。電源とバイアスだけの場合と、チップ内の自己テスト回路などで動かす場合がある
見つけやすい不良酸化膜の弱い箇所や接合のリークなど、バイアスがかかる部分の、電圧で加速される欠陥動作中にストレスを受ける部分も含め、初期故障をより網羅的に見つけやすいパッケージに入れる前に、初期故障を起こすチップを見つけられる
装置と治具簡単。バーンインボード、オーブン、電源信号を発生するドライバ付きのボードと装置が必要ウエハの全面に接触する専用の接触子と装置が必要で、高価
動作の監視通常はしない。バーンイン後の電気テストで判定する出力を監視しながら行う方式もある方式による
コスト低い高め治具と装置は高価だが、不良のチップをパッケージに入れずにすむ
主な課題ストレスの網羅性が低い消費電力の大きい製品では発熱が大きく、温度の管理が難しい多数のチップへの確実な接触、ウエハ全体の電源容量と発熱、不良チップの切り離し
主な用途構造が簡単な製品や、電圧のストレスが主な製品論理IC、メモリ、プロセッサなど、車載やサーバー向けの高信頼性の製品良品のダイ(KGD)が必要なマルチチップパッケージ、積層メモリ、チップのまま出荷する製品

数値は代表的な目安で、世代や製品によって異なります。

どんなときに使うか

スタティックバーンイン
回路を動かさなくても、電圧のストレスで主な欠陥を加速できる製品で、装置とコストを抑えたいとき。
ダイナミックバーンイン
内部の回路が複雑で、動かさないとストレスがかからない部分が多い製品を、より確実にスクリーニングしたいとき。
ウエハレベルバーンイン
パッケージに入れる前に良品と確認したダイ(KGD)が必要なとき。1つの不良で全体が不良になる、複数のチップを積むパッケージなど。
テスト工程での位置
一般的な流れは、ウエハテスト、組立、最終テスト、出荷で、パッケージのバーンインは最終テストの前後に入れます。ウエハレベルバーンインは、ウエハテストの段階でストレスを加える方法です。

よくある質問

スタティックとダイナミックのバーンインの違いは何ですか?

スタティックバーンインは、電源と固定のバイアスをかけるだけで回路を動かしません。ダイナミックバーンインは、クロックやテストパターンで内部のノードを切り替えながら動かすので、より多くのトランジスタや配線にストレスを加えられ、初期故障を見つけやすくなります。

なぜウエハの状態でバーンインをするのですか?

複数のチップを1つのパッケージに入れる場合、1つでも不良が混ざると全体が不良になるからです。ウエハの状態でバーンインを行い、初期故障を起こすチップを先に取り除けば、良品と確認したダイ(KGD)だけを組み立てられます。

バーンインで良品の寿命は短くなりませんか?

わずかに使いますが、条件は、良品が摩耗寿命のごく一部しか失わないように選びます。バーンインの目的は、バスタブ曲線の初期故障期を出荷前に済ませ、故障率の低い偶発故障期の状態で出荷することです。

理解度チェック

バーンインの目的として正しいものはどれか。

  1. Aチップの外観を検査する
  2. B高温・高電圧などのストレスを加えて、初期故障を起こす製品を出荷前に取り除く
  3. Cウエハの膜厚を測定する
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正解:B. 高温・高電圧などのストレスを加えて、初期故障を起こす製品を出荷前に取り除く

バーンインは、125 ℃前後の高温と定格より高い電圧のもとで製品を数時間〜数十時間動作させ、潜在的な欠陥をもつ製品を早く故障させて取り除くスクリーニングです。バスタブ曲線の初期故障期を出荷前に済ませておくことが目的で、車載やサーバー向けなど高い信頼性が必要な製品で行います。外観検査や膜厚の測定とは目的が違います。

故障率の時間変化を表すバスタブ曲線を構成する3つの期間の組み合わせとして正しいものはどれか。

  1. A初期故障期・偶発故障期・摩耗故障期
  2. B設計期・製造期・出荷期
  3. C試作期・量産期・保守期
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正解:A. 初期故障期・偶発故障期・摩耗故障期

バスタブ曲線は、使い始めに製造上の欠陥で故障率が高い初期故障期、故障率が低く一定に近い偶発故障期、劣化によって故障率が上がる摩耗故障期の3つからなり、形が浴槽の断面に似ています。初期故障はバーンインなどで出荷前に取り除き、摩耗故障は製品の想定寿命より後に起こるように設計します。設計・製造・出荷などは製品のライフサイクルの段階で、故障率の期間ではありません。

複数のチップを1つのパッケージに実装する際に重要となるKGD(Known Good Die)とは何か。

  1. A大型のチップ
  2. B故障したチップ
  3. C実装前に良品であることが確認されたチップ(ダイ)
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正解:C. 実装前に良品であることが確認されたチップ(ダイ)

複数のチップを1つのパッケージに組み込む場合、1つでも不良チップが含まれると、ほかの良品チップも含めてパッケージ全体が不良になります。例えば良品率99%のチップを8個積むと、全部が良品である確率は0.99⁸≒92%まで下がります。そのため、実装前のダイの段階で十分にテストした良品(KGD)を使うことが重要で、HBMやチップレットで特に重視されます。

  1. 一般的な半導体製品のテストの流れとして正しいものはどれか。
  2. 温度を上げて寿命試験の時間を短縮する加速試験で、温度と寿命の関係を表すためによく使われるモデルはどれか。
  3. 製品を高温で長時間動作させ、寿命や故障率を評価する代表的な信頼性試験はどれか。

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関連する用語の解説

バーンイン
高温・高電圧などのストレスを加えて動作させ、初期故障を起こしやすい製品を出荷前に取り除く試験。
バスタブ曲線
故障率の時間変化を表す曲線。初期故障期・偶発故障期・摩耗故障期からなり、浴槽のような形になる。
KGD(ノウングッドダイ)
実装する前に良品であることが確認されたチップ。複数のチップを1つのパッケージに積む場合、1つでも不良が混ざると全体が不良になるため重要になる。
アレニウスモデル
反応や劣化の速さが温度に対して exp(−Ea/kT) で変わるとするモデル。温度を上げた加速試験の結果から、実際の使用温度での寿命を推定するのに使う。
ウエハテスト(プローブテスト)
ダイシングの前に、ウエハ上の各チップの電極にプローブを当てて電気的特性を検査する工程。不良チップを組み立て前に見つけ、無駄な組み立てを避ける。

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