SC-1・SC-2・希フッ酸の違い:薬液・取り除く汚れ・洗浄後の表面を比較

シリコンウエハの洗浄の基本であるRCA洗浄では、目的の違う薬液を順番に使います。アンモニアと過酸化水素水のSC-1はパーティクルと有機物を、塩酸と過酸化水素水のSC-2は金属汚染を取り除きます。希フッ酸(DHF)は、表面の自然酸化膜を溶かして取り除きます。SC-1とSC-2のあとの表面は薄い酸化膜で覆われて水になじむ親水性に、希フッ酸のあとの表面は水素で終端されて水をはじく疎水性になります。

項目SC-1(APM)SC-2(HPM)希フッ酸(DHF)
薬液アンモニア水・過酸化水素水・水(古典的な比は1:1:5)塩酸・過酸化水素水・水(古典的な比は1:1:6)フッ酸を水で薄めたもの(目安は0.5〜1%程度)
液の性質と温度アルカリ性。一般に約70〜80 ℃酸性。一般に約70〜80 ℃酸性。一般に室温
主に取り除くものパーティクル、有機物金属汚染(アルカリ金属、Fe、Alなど)自然酸化膜や化学酸化膜と、その中に取り込まれた汚れ
取り除く仕組み過酸化水素で表面を酸化し、アンモニアでその酸化膜をゆっくり溶かして、粒子を下から浮かせる。表面と粒子がともに負に帯電し、再付着しにくい金属を溶けやすいイオン(塩化物など)にして溶かすSiO2を溶かす
シリコンや酸化膜のエッチングわずかにエッチングする(酸化膜は目安として毎分0.1〜1 nm程度)ほとんどエッチングしない酸化膜をエッチングする。シリコンはほとんどエッチングしない
洗浄後の表面薄い化学酸化膜で覆われ、親水性薄い化学酸化膜で覆われ、親水性水素で終端され、疎水性
副作用・注意点表面が荒れることがある(過酸化水素が少ない、濃度や温度が高いとき)。液中のFeやAlなどが表面に付きやすいパーティクルの除去にはあまり効かない疎水性の表面にパーティクルやウォーターマークが付きやすい。Cuのような貴な金属は表面に析出しやすい。残すべき酸化膜も削る
標準的な順番最初(有機物の多いときはSPMのあと)。パーティクルと有機物を先に取り除くSC-1のあと。SC-1で付いた金属を取り除くSC-1とSC-2の間、または最後(HFラスト)

数値は代表的な目安で、世代や製品によって異なります。

どんなときに使うか

SC-1(APM)
パーティクルと有機物を取り除く、洗浄の最初の工程として使います。CMPのあとの洗浄など、パーティクルが問題になる場面の多くで使われます。
SC-2(HPM)
ゲート酸化や熱処理の前など、金属汚染を特に減らしたいときに、SC-1のあとに使います。
希フッ酸(DHF)
酸化膜のないシリコン表面が必要なとき、たとえばエピタキシャル成長やシリサイドの形成、ゲート酸化の直前に使います。

よくある質問

なぜSC-1のあとにSC-2を行うのですか?

アルカリ性のSC-1はパーティクルや有機物をよく取り除きますが、液の中のFeやAlなどの金属が表面に付きやすいからです。そこで、酸性のSC-2で、それらの金属を溶けやすい塩化物などにして取り除きます。

希フッ酸のあとの表面が水をはじくのはなぜですか?

酸化膜が溶けたあとのシリコン表面が、水素と結合して終端されるからです。水をはじくようになることで、酸化膜が取れたことを確かめられます。ただし、この表面にはパーティクルが付きやすいので、次の工程までの時間を管理します。

SC-1でシリコン表面が荒れるのを防ぐにはどうしますか?

過酸化水素の割合を十分にして、表面を酸化膜で覆いながら溶かすことが基本です。近年は、薬液を薄め、温度を下げて使い、メガソニック洗浄を組み合わせて、エッチング量を減らしながらパーティクルを取り除きます。

洗浄で金属汚染が取れたかどうかは、どう確かめますか?

全反射蛍光X線分析(TXRF)などで、ウエハ表面の金属の量を測ります。表面の酸化膜をフッ酸の蒸気で溶かして集めてから分析すると、さらに感度が上がります。パーティクルは、レーザー光の散乱で粒子を数える検査装置で調べます。

理解度チェック

RCA洗浄で使われるSC-1(アンモニア・過酸化水素水の混合液)の主な目的はどれか。

  1. A金属汚染の除去
  2. Bパーティクルや有機物の除去
  3. C自然酸化膜の除去
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正解:B. パーティクルや有機物の除去

SC-1(NH4OH:H2O2:H2O、例えば1:1:5、約70 ℃)は、過酸化水素で表面を酸化しながら、アンモニアでその酸化膜を毎分0.1〜1 nm程度ゆっくり溶かすことで、パーティクルを下から浮かせて除去します。アルカリ性で粒子と表面がともに負に帯電して反発するため、再付着もしにくくなります。有機物の除去にも効果があります。金属汚染の除去にはSC-2、自然酸化膜の除去には希フッ酸を使います。

希フッ酸(DHF)による洗浄の主な目的はどれか。

  1. A有機物の除去
  2. B金属膜の成膜
  3. C自然酸化膜の除去
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正解:C. 自然酸化膜の除去

フッ酸はSiO2を溶かすため、0.5〜1%程度の希フッ酸で数十秒処理すると、シリコン表面の約1 nmの自然酸化膜を取り除けます。処理後のシリコン表面は水素で終端されて疎水性になり、水がはじかれることで除去を確認できます。ゲート酸化やエピ成長、シリサイド形成の直前に行われることが多い処理です。有機物やパーティクルの除去にはSC-1、金属汚染の除去にはSC-2が使われます。

標準的なRCA洗浄におけるSC-1とSC-2の順序と目的の組み合わせとして正しいものはどれか。

  1. ASC-1でパーティクルや有機物を除去したあと、SC-2で金属汚染を除去する
  2. BSC-2でパーティクルを除去したあと、SC-1で金属汚染を除去する
  3. CSC-1とSC-2を混ぜて同時に使う
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正解:A. SC-1でパーティクルや有機物を除去したあと、SC-2で金属汚染を除去する

RCA洗浄は1970年にRCA社のカーンらが発表した方法で、まずアルカリ性のSC-1でパーティクルや有機物を除去し、次に酸性のSC-2(HCl:H2O2:H2O)で、SC-1で付着しやすい金属汚染を塩化物として溶かして除去するのが基本的な順序です。必要に応じて間に希フッ酸で酸化膜を除去し、各工程の間には超純水でリンスします。50年以上たった今も、洗浄の基本として改良しながら使われています。

  1. 希フッ酸で最後に洗浄したシリコン表面の状態として正しいものはどれか。
  2. SC-1(アンモニア・過酸化水素水の混合液)の中で、過酸化水素が果たす役割として正しいものはどれか。
  3. ウエハ表面の微量な金属汚染の分析によく使われる方法はどれか。

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関連する用語の解説

RCA洗浄
SC-1(アンモニア・過酸化水素水)でパーティクルや有機物を、SC-2(塩酸・過酸化水素水)で金属汚染を除去する洗浄法。
SC-1(APM)
アンモニア水と過酸化水素水と水の混合液。RCA洗浄の最初に使い、表面をわずかにエッチングしながらパーティクルや有機物を除去する。
SC-2(HPM)
塩酸と過酸化水素水と水の混合液。RCA洗浄でSC-1のあとに使い、金属汚染を除去する。
希フッ酸(DHF)
フッ酸を水で薄めた洗浄液。シリコン表面の自然酸化膜を除去し、表面を水素で終端された疎水性の状態にする。
自然酸化膜
シリコンが空気や水に触れることで自然にできる、厚さ1 nm前後の薄い酸化膜。コンタクト抵抗の増加やエピタキシャル成長の妨げになるため、必要な工程の直前に除去する。
SPM(硫酸過水)
硫酸と過酸化水素水の混合液。強い酸化力で、レジストなどの有機物を除去する。
メガソニック洗浄
約1 MHzの超音波を洗浄液に加えて、ウエハ表面の微粒子を取り除く洗浄方法。
TXRF(全反射蛍光X線分析)
X線をウエハの表面すれすれに当てて全反射させ、表面の微量な金属汚染から出る蛍光X線を高感度に測る分析法。

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