SADP・SAQP・LELEの違い:マルチパターニングのピッチの分割・重ね合わせ精度・マスクと工程の数を比較

マルチパターニングは、1回の露光では解像できない細かいピッチのパターンを、複数の露光や加工に分けてつくる技術です。LELEは、レイアウトを2枚のマスクに分け、露光とエッチングを2回繰り返して、線を互い違いに並べます。SADPは、芯材(マンドレル)の側壁にスペーサーをつくって芯材を除き、1本の芯材から2本の線をつくってピッチを半分にします。SAQPはスペーサーの工程を2回重ねて、ピッチを4分の1にします。LELEはレイアウトの自由度が高い代わりに2回の露光の重ね合わせ精度に厳しく、SADPとSAQPは線の位置が自己整合で決まる代わりに、規則的な線の並びと、不要な部分を切るカットマスクが必要になります。

項目SADPSAQPLELE
ピッチの分割1/2(1本の芯材から2本の線)1/4(スペーサーの工程を2回重ねる)1/2(マスクを3枚にするLELELEでは1/3)
到達できるピッチの目安(ArF液浸の場合)1回露光の限界(ピッチ約80 nm)の半分、約40 nm約20 nm台原理上は約40 nm。実際には重ね合わせ精度で制限される
線の位置を決めるもの芯材の位置とスペーサーの膜厚(自己整合)芯材の位置と2回のスペーサーの膜厚(自己整合)2回の露光それぞれの位置。2回目は1回目に重ね合わせる
重ね合わせ精度への敏感さ線どうしの位置は重ね合わせの影響を受けない。カットマスクは線に合わせる必要があるSADPと同じく線どうしは影響を受けない。カットやブロックのマスクの位置合わせはさらに厳しい非常に敏感。2回目のずれが、そのまま隣り合う線の間隔の変化になる
線幅と間隔のばらつき線幅は膜厚で決まり、よくそろう。芯材の幅がずれると、交互の間隔がそろわなくなる(ピッチウォーキング)原因となる寸法(芯材の幅と2回の膜厚)が増え、ピッチウォーキングの管理がより難しい2回の露光の線幅が別々にばらつき、間隔は重ね合わせのずれで変わる
マスクの数(線を形成するもの)芯材用の1枚と、カットやブロック用のマスク芯材用の1枚と、カットやブロック用のマスク(一般にSADPより多くなりやすい)2枚(LELELEでは3枚)
主な工程露光 → 芯材のエッチング → スペーサーの成膜(ALDなど) → エッチバック → 芯材の除去 → 下地への転写 → カットSADPの工程に、2回目のスペーサーの成膜・エッチバック・芯材の除去が加わる露光 → エッチング → 露光 → エッチング(ハードマスクなどに順に転写)
レイアウトの自由度低い。一方向にそろった規則的な線が基本で、不要な部分はカットで除くSADPよりさらに低い。ほぼ均一な格子に限られる高い。2次元の形も扱えるが、2色に塗り分けられない配置(互いに近い3つのパターンなど)は使えない
主な使い道フィンやゲート、メタル配線、メモリの微細な線最も細かいフィンや、最も密なメタル配線、メモリの線コンタクトやビア、形が複雑なメタル配線の層

数値は代表的な目安で、世代や製品によって異なります。

どんなときに使うか

SADP
一方向の規則的な線を、ピッチを半分にしてそろった線幅でつくりたいとき。重ね合わせのずれを気にせずに密な線がつくれます。
SAQP
SADPでも足りない、最も細かいピッチの線が必要なとき。工程とコストは最も多くなりますが、ArF液浸でも20 nm台のピッチに届きます。
LELE
コンタクトやビアのように、規則的な線ではない2次元のパターンを分けて露光したいとき。重ね合わせ精度を非常に厳しく管理する必要があります。
EUVとの関係
EUV露光は、多くの層を1回の露光に戻し、マルチパターニングの工程を減らしました。ただし最も細かいピッチでは、EUVとスペーサーの技術を組み合わせることもあります。

よくある質問

なぜSADPは重ね合わせのずれに強いのですか?

対になる2本の線が、同じ芯材の両側の側壁にできるスペーサーからつくられるからです。2本の線の位置は、芯材の位置とスペーサーの膜厚で決まり、2回目の露光で位置を合わせる必要がありません。LELEでは、2回目の露光のずれがそのまま隣の線との間隔の変化になります。

ピッチウォーキングとは何ですか?

スペーサーを使うパターニングで、交互に並ぶ間隔がそろわなくなる現象です。芯材を除いた跡の間隔は芯材の幅で、隣の芯材とのあいだの間隔は芯材のピッチと幅とスペーサーの膜厚で決まるため、芯材の幅が目標からずれると2種類の間隔が等しくなくなります。SAQPでは原因となる寸法が増えるので、管理がさらに難しくなります。

カットマスクはなぜ必要なのですか?

SADPやSAQPでは、スペーサーが芯材の端を回り込んでループ状になり、規則的な線が並ぶだけだからです。回路に必要な形にするには、線の端や不要な部分を、別のマスクで切ったりふさいだりします。このマスクは線に合わせて位置を決めるので、重ね合わせ精度が必要です。

LELEで2色に塗り分けられない配置とは何ですか?

1回の露光では近すぎる3つのパターンが互いに隣り合うような、奇数の輪になる配置です。2枚のマスクに振り分けると、どこかで近すぎるパターンどうしが同じマスクに入ってしまいます。設計ツールは、このような配置をエラーとして修正を求めます。

理解度チェック

ダブルパターニング(マルチパターニング)の説明として正しいものはどれか。

  1. A2枚のウエハを同時に露光する
  2. B1回の露光では解像できない細かいピッチのパターンを、複数回の露光や加工に分けて形成する
  3. Cレジストを2層重ねて塗るだけで解像度を2倍にする
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正解:B. 1回の露光では解像できない細かいピッチのパターンを、複数回の露光や加工に分けて形成する

ダブルパターニングは、1回では解像できない細かいピッチのパターンを、間引いた2つのパターンに分けて別々に露光・加工したり(LELE)、側壁に成膜したスペーサーで線を倍にしたり(SADP・SAQP)して形成する技術です。ArF液浸の限界(ピッチ約80 nm)を超えて20 nm台のピッチまで微細化を進めましたが、工程数・マスク数・コストが大きく増えるため、EUV露光の導入が進められてきました。

LELE(リソ・エッチ・リソ・エッチ)方式のダブルパターニングで、特に厳しく求められるものはどれか。

  1. Aレジストの色
  2. B露光装置の台数
  3. C1回目と2回目のパターンの重ね合わせ精度
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正解:C. 1回目と2回目のパターンの重ね合わせ精度

LELEでは、細かいパターンを2つに分けて別々に露光・エッチングするため、2回目のパターンが1回目に対してずれると、隣り合う線の間隔がそのずれの分だけ変わってしまい、配線の容量や短絡に直結します。例えば間隔20 nmで2 nmずれると10%の変化です。そのため非常に高い重ね合わせ精度が必要です。スペーサーを使うSADPは線の位置が自己整合的に決まるため、この問題が小さくなります。

FinFETの細いフィンをつくるのに使われる、側壁スペーサーを利用してリソグラフィの限界より細かいパターンをつくる技術はどれか。

  1. ASADP/SAQP(自己整合ダブル/クアドルプルパターニング)
  2. BOPC
  3. CCMP
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正解:A. SADP/SAQP(自己整合ダブル/クアドルプルパターニング)

SADPでは、芯となるパターンの側壁にALDなどで均一な膜をつけてスペーサーを形成し、芯を取り除くことで、元の2倍の密度の線をつくります。SAQPはこれを2回繰り返して4倍にします。線の幅は露光ではなく膜厚で決まるため、ばらつきが小さく、ArF液浸露光の限界(ピッチ約80 nm)より細かいフィンや配線を形成できます。EUV露光でも、最も細かいピッチでは組み合わせて使われます。

  1. ダブルパターニングを前提としたレイアウトで、設計ツールが行うパターンの割り振りとして正しいものはどれか。
  2. 解像度の式 R = k1 × λ / NA にもとづき、解像度を向上させる(Rを小さくする)方法として正しいものはどれか。

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関連する用語の解説

マルチパターニング
1回の露光では解像できない細かいピッチのパターンを、複数回の露光や加工に分けて形成する技術。2回に分けるものをダブルパターニングという。
SADP(自己整合ダブルパターニング)
芯になるパターンの側壁に膜(スペーサー)をつくり、芯を除いてスペーサーをマスクにすることで、リソグラフィの限界の半分のピッチをつくる技術。2回繰り返すものはSAQP。
オーバーレイ(重ね合わせ精度)
前の工程でつくったパターンに対して、新しいパターンをどれだけ正確な位置に重ねられるか。ずれるとコンタクトが外れるなどの不良になるため、ナノメートル単位で管理する。
ALD
原子層堆積。前駆体ガスの自己制限的な表面反応を繰り返し、原子層単位で膜厚を制御する成膜法。
ハードマスク
深い穴の加工などで、フォトレジストだけではマスクとして持たない場合に使う、窒化膜や炭素膜、金属などの硬いマスク。
液浸露光
レンズとウエハの間を水で満たして露光する方法。開口数を1以上にでき、ArFエキシマレーザーでより細かいパターンを形成できる。
EUV露光
波長13.5 nmの極端紫外光を使う露光技術。反射光学系と真空環境を用いる。

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