OFDM(直交周波数分割多重)とは

おーえふでぃーえむ

データを互いに直交する多数のサブキャリアに分け、それぞれを低いシンボルレートで変調して並列に送る方式。サブキャリアの間隔をシンボル長の逆数にすることで、スペクトルが重なっていても互いに干渉せずに分離できる。マルチパスに強く、無線LAN、4G LTE、5G NR、地上デジタル放送などで使われている。

「OFDM(直交周波数分割多重)」は、1分野の9問の練習問題に出てきます(無線通信の基礎など)。

この用語の分野: 無線通信の基礎

直交とはどういうことか

OFDMでは、サブキャリアの間隔Δfをシンボル長Tの逆数(Δf = 1/T)にします。すると、1シンボルの間にどのサブキャリアもちょうど整数回振動するので、異なるサブキャリアどうしを掛けて1シンボルにわたって足し合わせると0になります。これが直交しているということで、隣り合うサブキャリアのスペクトルが重なっていても、受信側では各サブキャリアの成分だけを取り出せます。サブキャリアの間にすき間(ガードバンド)を空ける従来の周波数分割多重と比べて、周波数を効率よく使えます。

FFTによる実装とサイクリックプレフィックス

多数のサブキャリアを1つずつ発振器で作るのではなく、送信側では逆高速フーリエ変換(IFFT)で、受信側では高速フーリエ変換(FFT)で、まとめて変調・復調します。この計算をデジタル回路で効率よく行えるようになったことが、OFDMが普及した理由の一つです。また、各シンボルの末尾をコピーして先頭に付けるサイクリックプレフィックス(CP)によって、マルチパスで遅れて届いた電波によるシンボル間干渉を防ぎ、直交性を保ちます。

弱点と対策

OFDMの信号は多数のサブキャリアの和なので、ピーク電力と平均電力の比(PAPR)が大きく、電力増幅器を線形な領域で使う必要があり、効率が下がりがちです。また、周波数のずれ(発振器の誤差やドップラーシフト)や位相雑音があると、サブキャリアどうしの直交性が崩れて干渉が生じます。そのため、携帯電話の上りリンクではPAPRの小さいDFT拡散OFDMを使ったり、高い周波数帯ではサブキャリアの間隔を広げたりする工夫がされています。

OFDM(直交周波数分割多重)の練習問題に挑戦

OFDM(直交周波数分割多重)の説明として、適切なものはどれか。

  1. A互いに直交する多数のサブキャリアにデータを分けて並列に送る方式で、サブキャリアの間隔をシンボル長の逆数にすることで、スペクトルが重なっていても互いに干渉せずに分離できる
  2. B1つの搬送波を高いシンボルレートで変調する方式で、シンボルが短いのでマルチパスによる遅延の影響を受けにくい
  3. C利用者ごとに異なる拡散符号を掛けて、同じ周波数で同時に送る方式
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正解:A. 互いに直交する多数のサブキャリアにデータを分けて並列に送る方式で、サブキャリアの間隔をシンボル長の逆数にすることで、スペクトルが重なっていても互いに干渉せずに分離できる

OFDMでは、送るデータを多数のサブキャリアに分け、それぞれを低いシンボルレートで変調して並列に送ります。サブキャリアの間隔をシンボル長の逆数にすると、スペクトルが重なっていても互いに直交し、受信側で分離できるので、周波数を効率よく使えます。各サブキャリアのシンボルが長くなるので、マルチパスによる遅延の影響を受けにくくなります。送信側は逆高速フーリエ変換(IFFT)、受信側は高速フーリエ変換(FFT)で効率よく処理でき、無線LAN、4G LTE、5G NR、地上デジタル放送などで使われています。

OFDMで、各シンボルの末尾の一部をコピーしてシンボルの先頭に付け加えるサイクリックプレフィックス(CP)の主な目的はどれか。

  1. A送信信号のピーク電力と平均電力の比(PAPR)を下げ、電力増幅器の効率を上げる
  2. Bシンボルの先頭でデータを繰り返し、誤り訂正符号の代わりに誤りを検出する
  3. Cマルチパスで遅れて届いた電波による前のシンボルとの干渉を吸収し、サブキャリアどうしの直交性を保つ
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正解:C. マルチパスで遅れて届いた電波による前のシンボルとの干渉を吸収し、サブキャリアどうしの直交性を保つ

マルチパスで遅れて届いた電波は、前のシンボルの終わりの部分を次のシンボルの始まりに重ねてしまいます(シンボル間干渉)。CPの長さを遅延の広がり(遅延スプレッド)より長くしておけば、この重なりはCPの区間に収まり、受信側でCPを捨ててから処理すれば干渉を除けます。さらに、CPがシンボルの末尾のコピーなので、遅れて届いた電波もFFTで処理する区間の中では周期的な信号に見え、サブキャリアどうしの直交性が保たれます。その代わり、CPの分だけデータを送らない時間が増えるので、伝送の効率は下がります。

よくある質問

OFDMとOFDMAはどう違いますか?

OFDMは、多数のサブキャリアでデータを送る変調・多重の方式です。OFDMAは、OFDMのサブキャリアを時間と周波数で区切った単位ごとに異なる利用者に割り当てて、複数の利用者が同時に通信する多元接続の方式です。4G LTEの下りリンクや5G NR、IEEE 802.11ax以降の無線LANではOFDMAが使われています。

なぜマルチパスに強いのですか?

データを多数のサブキャリアに分けるので、各サブキャリアのシンボルは長くなり、遅れて届く電波の遅延がシンボルに比べて小さくなります。さらに、遅延をサイクリックプレフィックスの区間で吸収できます。周波数によって受信電力が落ち込む周波数選択性フェージングがあっても、影響を受けるのは一部のサブキャリアだけなので、誤り訂正符号で補えます。

解説の中の「OFDM(直交周波数分割多重)」

「OFDM(直交周波数分割多重)」が出てくる問題(9問)

  1. OFDM(直交周波数分割多重)の説明として、適切なものはどれか。
  2. OFDMで、各シンボルの末尾の一部をコピーしてシンボルの先頭に付け加えるサイクリックプレフィックス(CP)の主な目的はどれか。
  3. OFDMでは、CPを除いたシンボルの長さはサブキャリアの間隔の逆数になる。サブキャリアの間隔を15 kHzから60 kHzに広げたとき、CPを除いたシンボルの長さに最も近いものはどれか。
  4. 4G LTEの上りリンク(端末から基地局への送信)で、下りリンクのOFDMAではなく、SC-FDMA(DFT拡散OFDM)が採用された主な理由として、最も適切なものはどれか。
  5. OFDMや多値のQAMの信号を送る送信機で、電力増幅器(PA)を、出力が飽和する点より下げた(バックオフした)動作点で使う主な理由はどれか。
  6. 無線通信で、建物などで反射した電波が経路の長さの違いによって遅れて届き、直接届いた電波と干渉して、場所や周波数によって受信電力が大きく落ち込む現象はどれか。
  7. 周波数2 GHzの電波を受信する端末が、基地局に向かって秒速30 m(時速108 km)で近づいている。光速を3×10⁸ m/sとするとき、端末が受信する電波の周波数のずれ(ドップラーシフト)の大きさに最も近いものはどれか。
  8. 複数の利用者が同じ周波数を同じ時間に使い、利用者ごとに異なる符号で信号を区別する多元接続の方式はどれか。
  9. OFDMA(直交周波数分割多元接続)の説明として、適切なものはどれか。

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