制御工学の基礎
むだ時間 L の要素 e^(−Ls) の周波数特性と、それを一巡伝達関数に含む制御系への影響として正しいものはどれか。
- A応答が遅れて現れるだけで周波数特性は変わらないので、制御系の安定性には影響しない
- Bゲインが −20 dB/dec で下がり、位相は −90° で一定なので、積分要素と同じように定常偏差を0にする働きをもつ
- Cゲインはどの周波数でも1(0 dB)だが、位相が ωL [rad] 遅れ、周波数に比例して大きくなるので、位相余裕が減る
答えと解説を見る
正解:C. ゲインはどの周波数でも1(0 dB)だが、位相が ωL [rad] 遅れ、周波数に比例して大きくなるので、位相余裕が減る
むだ時間は、入力が時間 L だけ遅れて出力に現れる要素で、e^(−jωL) の大きさは常に1、位相は −ωL [rad] です。位相の遅れは周波数とともにいくらでも大きくなるので、ゲイン交差周波数での位相余裕を減らします。例えば L = 10 msなら、100 rad/sで約57°も位相が遅れます。配管による輸送の遅れや、デジタル制御の計算と出力の遅れがむだ時間の例で、むだ時間が大きい系では、ゲインを下げて応答を遅くせざるをえないことが多くなります。
- A. 周波数特性の位相が変わるので、安定性に大きく影響します。
- B. これは積分要素の特徴です。むだ時間のゲインは、周波数によらず一定です。
- C. 正しい。位相だけが周波数に比例して遅れます。