NAND型とNOR型フラッシュメモリの違い:速度・容量・用途を比較

どちらも電源を切ってもデータが残るフラッシュメモリですが、セルのつなぎ方が違います。NOR型はセルを並列につなぐので、ランダムな読み出しが速く、プログラムをその場で実行できますが、1ビットあたりのコストは高くなります。NAND型はセルを直列につなぐので、同じ面積にたくさんのビットを詰め込めて安い一方、ページ単位での読み書きになり、誤り訂正も必要です。そのため、データの保存にはNAND型、ファームウェアの保存にはNOR型が使われます。

項目NAND型NOR型
セルの接続セルを直列につないだストリングで、両端に選択トランジスタがあるセルをビット線に並列につなぐので、1つ1つのセルに直接アクセスできる
読み出しページ単位(数KBずつ)で読む。最初のアクセスに数十マイクロ秒かかり、ランダム読み出しは遅いバイトやワード単位で高速にランダムアクセスできる(数十ナノ秒程度)
書き込み(プログラム)ページ単位で書き込む。連続した書き込みのスループットは高い小さな単位で書き込む。大量のデータでは遅い
消去の単位ブロック(数MB以上)セクタ(一般に64〜128 KB)
書き込みの仕組み書き込みも消去もファウラー・ノルドハイム(FN)トンネル現象書き込みはチャネルホットエレクトロン注入、消去はトンネル現象
容量とコスト高密度で安い。3D NANDは数百層を積み重ね、TLC・QLCは1セルに3〜4ビットを記憶する低密度(1チップで数Gbitまでが多い)で、1ビットあたりのコストは高い
その場での実行(XIP)できない。先にRAMへコピーする必要があるできる。プロセッサがチップから直接プログラムを実行できる
信頼性不良ブロックやビット誤りが前提なので、強力なECC、不良ブロック管理、ウェアレベリングが必要ビット誤りが少なく、軽い誤り訂正で足りる
書き換え寿命SLCで約10万回から、QLCでは約1,000回以下まで一般に約10万回
主な用途SSD、USBメモリ、メモリカード、スマートフォンのストレージ(eMMC、UFS)起動コードやファームウェア。BIOS/UEFI、マイコンのコード、車載・産業機器

数値は代表的な目安で、世代や製品によって異なります。

どんなときに使うか

NAND型
安くて大容量の不揮発性ストレージが欲しく、ページ単位の読み書きで済むとき。SSD、スマートフォン、カメラ、メモリカードなど。
NOR型
プロセッサが直接読むプログラムコードを、確実に保存したいとき。容量は小さくてよい。起動用ROM、ファームウェア、小さな組み込み機器など。
組み合わせ
両方を使う機器も多くあります。小さなNOR型に起動コードを入れておき、そこから大容量のNAND型にあるOSを読み込みます。

よくある質問

なぜNAND型はNOR型より安いのですか?

NAND型のセルは直列につながったストリングを作り、接点を共有するので、1ビットあたりの面積がずっと小さくなります。3D積層や多値セルと組み合わせて、高密度で1ビットあたりのコストが低くなります。NOR型のセルは並列につながり、より多くの面積をとります。

プロセッサはNAND型から直接コードを実行できますか?

直接はできません。NAND型はページ単位で読まれ、ビット誤りもあるので、コードは通常、先にRAMへコピーします。NOR型はその場での実行(XIP)に対応しているので、起動コードやファームウェアの保存に使われます。

SSDやスマートフォンにはどちらのフラッシュが使われますか?

NAND型です。SSD、USBメモリ、メモリカード、スマートフォンのストレージ(eMMCやUFS)は、低コストで大容量なので、すべてNAND型を使っています。

NAND型はNOR型より早く劣化しますか?

一般にはそうです。NAND型の書き換え寿命は、SLCで約10万回から、QLCで約1,000回までと幅があり、NOR型は一般に約10万回です。NAND型のコントローラは、ウェアレベリングと誤り訂正で寿命を延ばします。

理解度チェック

NOR型と比べたときのNAND型フラッシュメモリの特徴として正しいものはどれか。

  1. Aランダムアクセスが速く、プログラムコードの直接実行に向く
  2. Bメモリセルを直列に接続するため高集積化しやすく、大容量ストレージに向く
  3. C電源を切るとデータが消える揮発性メモリである
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正解:B. メモリセルを直列に接続するため高集積化しやすく、大容量ストレージに向く

NAND型はメモリセルを数十個直列につなぎ、セルごとのコンタクトを省いているため、1ビットあたりの面積が小さく大容量化に向き、SSDやメモリカードに使われます。代わりに読み出しは直列のセルを通るため遅く、ページ単位のアクセスになります。NOR型は各セルがビット線に並列につながるためランダム読み出しが速く、コードの直接実行に向きます。どちらも不揮発性です。

NOR型フラッシュメモリの代表的な用途はどれか。

  1. A大容量の動画や写真の保存
  2. Bパソコンの主記憶
  3. C機器のプログラムコードの格納(起動用プログラムなど)
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正解:C. 機器のプログラムコードの格納(起動用プログラムなど)

NOR型は各セルがビット線に並列につながりランダムアクセスが速いため、CPUがメモリから直接プログラムを読み出して実行できます(XIP: Execute In Place)。そのため機器の起動用プログラムやマイコンのファームウェア、車載機器の制御コードに使われます。容量は数Mbit〜数Gbitと小さく、ビット単価はNANDより高いので、大容量のデータ保存にはNAND型が使われます。

NAND型フラッシュメモリでデータを消去する単位として正しいものはどれか。

  1. Aビット単位
  2. Bブロック単位
  3. Cバイト単位
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正解:B. ブロック単位

NANDでは読み出し・書き込みはページ(16 KB前後)単位ですが、消去は数百ページをまとめたブロック(数MB〜数十MB)単位でしか行えません。消去はウェル全体に高電圧をかけて一括で電子を抜くため、この単位になります。一部だけを書き換えるときも上書きはできず、新しいデータを空きページに書いて古いページを無効にし、後でガベージコレクションでまとめて消去します。

  1. NAND型フラッシュメモリの書き込み(プログラム)で主に使われる電子の注入方式はどれか。
  2. 3D NAND型フラッシュメモリの説明として正しいものはどれか。
  3. NANDフラッシュのコントローラで、多値化に伴う読み出し誤りの増加に対応するために使われる技術はどれか。

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関連する用語の解説

NAND型フラッシュメモリ
メモリセルを直列に接続した構造の不揮発性メモリ。高集積で大容量化しやすく、SSDやメモリカードに使われる。
NOR型フラッシュメモリ
セルを並列に接続したフラッシュメモリ。ランダムな読み出しが速く、マイコンのプログラムの格納などに使われる。
3D NAND
NANDフラッシュのメモリセルを垂直方向に多数積み重ねて大容量化したもの。平面の微細化の限界を超えるために導入され、積層数は200層以上に達している。
不揮発性メモリ
電源を切っても記憶したデータが消えないメモリ。フラッシュメモリやMRAMなど。DRAMやSRAMは揮発性。

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