DRAMとNANDフラッシュの違い:揮発性・速度・容量・用途を比較

DRAMはコンデンサの電荷でデータを記憶するメモリで、高速に読み書きできる一方、電源を切るとデータが消えます。NANDフラッシュは、絶縁膜に囲まれた層に電子を閉じ込めて記憶するので、電源を切ってもデータが残り、1ビットあたりのコストも低くできますが、読み書きはDRAMよりずっと遅く、書き換えられる回数にも限りがあります。そのため、パソコンやスマートフォンでは、DRAMを作業用のメインメモリに、NANDをSSDなどのストレージに使います。

項目DRAMNANDフラッシュ
記憶の仕組み1個のトランジスタと1個のコンデンサ(1T1C)。コンデンサの電荷の有無で記憶するしきい値電圧を変えられるトランジスタ。浮遊ゲートや電荷トラップ層に蓄えた電子の量で記憶する
電源を切ったときデータは消える(揮発性)データは残る(不揮発性)
リフレッシュ必要(代表的には64 ms以内に全行)不要。ただし電荷は少しずつ抜けるので、データを保持できる期間には限りがある
読み書きの単位細かい単位でランダムに読み書きできる(実際には数十バイトのバースト転送)読み出しと書き込みはページ(数KB〜十数KB)単位、消去はさらに大きいブロック単位
上書きそのまま上書きできる上書きできない。ブロック単位で消去してから書き込む
アクセスにかかる時間数十ナノ秒読み出しは数十マイクロ秒程度、書き込みはさらに長く数百マイクロ秒程度
書き換え回数実用上の制限はない限りがある(目安はSLCで約5万〜10万回、TLCで数千回、QLCで約1,000回)
大容量化の工夫微細化と、コンデンサの立体化(深く高い構造のキャパシタ)セルを縦に積み重ねる3D NANDと、1セルに複数のビットを入れる多値化
1ビットあたりのコスト高いDRAMよりずっと低い
主な用途パソコンやサーバーのメインメモリ、スマートフォンのLPDDR、GPUのGDDRやHBMSSD、スマートフォンの内蔵ストレージ、USBメモリ、SDカード

数値は代表的な目安で、世代や製品によって異なります。

どんなときに使うか

DRAM
CPUやGPUが作業中のデータを速く読み書きしたいとき。実行中のプログラムやデータを置くメインメモリに使います。
NANDフラッシュ
大量のデータを、電源がなくても残るように安く保存したいとき。OS、アプリ、写真や動画などを保存するストレージに使います。
組み合わせ
コンピュータは、NANDに保存したデータをDRAMに読み込んでから処理します。SSDの中にも、管理用の情報を一時的に置くためにDRAMを載せた製品があります。

よくある質問

DRAMとNANDの一番の違いは何ですか?

電源を切ったときにデータが残るかどうかです。DRAMは電源を切るとデータが消える揮発性メモリ、NANDは電源を切ってもデータが残る不揮発性メモリです。DRAMは速く、NANDは大容量で安いので、役割を分けて使います。

パソコンの「メモリ」と「ストレージ」の違いと同じですか?

おおむね同じ関係です。パソコンの仕様で「メモリ」と書かれているのはDRAMで、「ストレージ」のSSDの中身はNANDフラッシュです。

NANDはなぜ書き換え回数に限りがあるのですか?

書き込みと消去のたびに、電子が薄い絶縁膜を通り抜けるため、絶縁膜が少しずつ傷んで電荷を保持しにくくなるからです。SSDのコントローラは、書き込みを全体に分散させるウェアレベリングや誤り訂正で、寿命を延ばしています。

DRAMとNANDは同じ会社が作っていますか?

両方を作る会社があります。サムスン電子、SK hynix、マイクロン・テクノロジーはDRAMとNANDの両方を製造しています。キオクシアはNANDを中心に製造しています。

理解度チェック

一般的なDRAMの1ビットのメモリセルの構成として正しいものはどれか。

  1. Aトランジスタ1個とキャパシタ1個
  2. Bトランジスタ6個
  3. Cフローティングゲートをもつトランジスタ1個
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正解:A. トランジスタ1個とキャパシタ1個

DRAMのセルはトランジスタ1個とキャパシタ1個(1T1C)で、キャパシタの電荷の有無で1ビットを記憶します。キャパシタは約10 fF前後と非常に小さく、わずか数万個の電子の差で0と1を区別しています。素子数が少ないためセル面積は約6F²と小さく、大容量化に向きます。トランジスタ6個はSRAM、フローティングゲートのトランジスタはフラッシュメモリのセル構成です。

DRAMで定期的なリフレッシュ動作が必要になる理由として正しいものはどれか。

  1. A読み出し速度を上げるため
  2. B書き込み回数に上限があるため
  3. Cキャパシタに蓄えた電荷がリーク電流によって徐々に失われるため
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正解:C. キャパシタに蓄えた電荷がリーク電流によって徐々に失われるため

キャパシタの電荷は、セルトランジスタのサブスレッショルドリークや接合リークで少しずつ失われます。データが判定できなくなる前に読み出して書き直すのがリフレッシュで、DDR4までの規格では64 ms以内、DDR5では32 ms以内に全行を一巡します。リフレッシュ中はそのバンクにアクセスできず、電力も消費するため、容量が増えるほど負担が大きくなります。書き込み回数の上限はフラッシュメモリの特徴です。

DRAMの性質として正しいものはどれか。

  1. A電源を切るとデータが失われる揮発性メモリである
  2. B電源を切ってもデータが残る不揮発性メモリである
  3. Cデータの書き換えができない読み出し専用メモリである
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正解:A. 電源を切るとデータが失われる揮発性メモリである

DRAMは電荷で情報を記憶し、電源を切ると電荷が保持されずデータが失われる揮発性メモリです。電源が入っていてもリフレッシュが必要な点が、同じ揮発性のSRAMとの違いです。ただし電源を切った直後に冷却すると数秒〜数分データが残ることがあり、それを悪用してメモリ内の暗号鍵を読み出す「コールドブート攻撃」が知られています。不揮発性なのはフラッシュメモリなどです。

  1. NOR型と比べたときのNAND型フラッシュメモリの特徴として正しいものはどれか。
  2. NAND型フラッシュメモリでデータを消去する単位として正しいものはどれか。
  3. 3D NAND型フラッシュメモリの説明として正しいものはどれか。
  4. メモリ半導体の市場で、売上の大部分を占める2つの製品の組み合わせとして正しいものはどれか。

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関連する用語の解説

1T1Cセル
1個のトランジスタと1個のキャパシタで1ビットを記憶するDRAMのメモリセル。キャパシタの電荷の有無で0と1を表す。
リフレッシュ
DRAMのキャパシタの電荷がリークで失われる前に、定期的にデータを読み出して書き直す動作。
NAND型フラッシュメモリ
メモリセルを直列に接続した構造の不揮発性メモリ。高集積で大容量化しやすく、SSDやメモリカードに使われる。
3D NAND
NANDフラッシュのメモリセルを垂直方向に多数積み重ねて大容量化したもの。平面の微細化の限界を超えるために導入され、積層数は200層以上に達している。
不揮発性メモリ
電源を切っても記憶したデータが消えないメモリ。フラッシュメモリやMRAMなど。DRAMやSRAMは揮発性。
ウェアレベリング
フラッシュメモリの書き換えが特定のブロックに集中しないよう、書き込み先を分散させて寿命を延ばす技術。

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