コンデンサとは? 電気をためるしくみと使い道

約13分 · 更新: 2026年10月23日

コンデンサは、電気を通さない薄い物(絶縁物)をはさんで、2枚の金属の板を向かい合わせた部品です。電圧をかけると、片方にプラス、もう片方にマイナスの電気がたまり、必要なときにすばやく出せます。化学反応で電気をつくる電池とは別物です。電源の安定、雑音の除去、メモリやタッチパネルなど、あらゆる電子機器で使われています。

この記事でわかること

  • コンデンサが電気をためるしくみと、電池との違い
  • ためられる量(静電容量)を決める3つのもの
  • セラミック・電解・フィルムという主な種類の違い
  • スマホ1台に最大約1,000個も載っている理由と、身近な使い道
  • 大きなコンデンサに気をつける理由

前提知識: 電圧と電流の大まかな意味(中学校の理科の程度)。式は1つだけ、言葉で説明してから使います。

身近なところでは

スマホやパソコンの中の、部品を載せた板(基板)には、ごまつぶより小さな四角い部品が、びっしり並んでいます。その多くがコンデンサです。部品メーカーの村田製作所は2024年、最新のスマホには最大で約1,000個のコンデンサが使われていると説明しています。数えているのは、後で説明する積層セラミックという種類です。

家電の電源の部分には、筒の形をした大きめのコンデンサがよく入っています。電気自動車にも、電池とモーターを回す回路の間に大きなコンデンサがあります。形も大きさもさまざまですが、している仕事の土台は同じです。

日本語では、部品の名前は「コンデンサ」、チップの中の構造は今の英語に合わせて「キャパシタ」と呼ぶことが多いです。どちらも同じものを指します。この記事では、主にコンデンサと書きます。

しくみ① 2枚の金属の板と、間の絶縁物

コンデンサの基本の形は、とても単純です。電気を通す金属の板を2枚用意し、すき間をあけて向かい合わせます。すき間には、電気を通さない物(絶縁物)をはさみます。空気でもかまいません。

この2枚に電池をつなぐと、電池は片方の板から電子を引き抜き、もう片方の板へ送り込みます。電子はマイナスの電気をもつので、電子が増えた板はマイナスに、減った板はプラスになります。プラスとマイナスの量は、いつも同じです。

プラスとマイナスは引き合いますが、間の絶縁物が通さないので、打ち消し合えません。だから電池を外しても、2枚の板は電気を帯びたまま残ります。これが「電気をためる」の中身です。

絶縁物をはさんだ2枚の導体に電池をつなぐと、上の板にプラス、下の板にマイナスの電気がたまる。ためられる量は、板の面積・すき間・材料の誘電率で決まる 向かい合う板に電気がたまる + + + + + + − − − − − − + 電池 上と下: 金属の板 間: 絶縁物 ためられる量が増えるのは ① 板の面積が広い ② すき間が狭い ③ 間の材料の誘電率が高い
平らな板のコンデンサの断面のイメージ。縮尺は正確ではない。省略していること: 電気は板の向かい合う面に集まること、板のふちで電気の力がはみ出すこと。

この形のいちばん古い例は、1745〜1746年にドイツとオランダで別々に見つかった「ライデン瓶」です(IEEEの技術史)。ガラス瓶の内側と外側に金属をはり、ガラスを絶縁物にしたものでした。ライデンは、オランダの大学の町の名前です。

しくみ② ためられる量を決める3つのもの

同じ電圧をかけたとき、どれだけ多くの電気をためられるか。この「ためやすさ」を静電容量、または単に容量と呼びます。単位はF(ファラド)で、1ボルトで1クーロン(電気の量の単位)をためる容量が1 Fです。

式で書くと、ためた電気の量 = 容量 × 電圧 です。容量が2倍なら、同じ電圧で2倍の電気がたまります。1 Fはとても大きな量です。電子部品では、µF(100万分の1 F)、nF(10億分の1 F)、pF(1兆分の1 F)がよく使われます。

容量は、3つのもので決まります。板の面積が広いほど、すき間が狭いほど、大きくなります(米国ジョージア州立大学の物理の解説)。広い板は電気を置ける場所が多く、近い板どうしはプラスとマイナスが強く引き合うからです。

3つ目は、すき間にはさむ材料です。材料によって、同じ形でもためられる量が変わります。この材料の性質を誘電率と呼び、すき間が真空のときの何倍ためられるかで表します(正確には「比誘電率」)。空気はほぼ1倍、チップでよく使うガラスの一種(二酸化ケイ素)は約3.9倍です。

材料を替えて容量を稼ぐ考え方は、チップの中でも使われています。先端のチップでは2007年から、トランジスタのゲート(電流を開け閉めする電極)の下の膜が、誘電率の高い材料に替わりました(「トンネル効果とは?」、High-k/メタルゲート)。

電池とどう違うのか

「電気をためる」と聞くと、電池を思い浮かべるかもしれません。どちらも電気を出し入れできますが、中で起きていることがまったく違います。そのため、得意なことも正反対です。

電圧を2倍にすると、たまる電気の量は2倍です。しかし、ためたエネルギーは4倍になります。2倍の量の電気を、2倍の電圧で押し出せるからです。高い電圧で使うコンデンサほど、大きなエネルギーをもつことになります。

しくみ③ ためるとき、放つとき

電池と抵抗(電流の流れにくさ)を通してコンデンサをつなぐと、電圧はぱっとは上がりません。はじめは勢いよく電気が流れ込み、たまるにつれて、ゆっくりになります。ためる動きを充電、放つ動きを放電と呼びます。

このなだらかさの目安が、抵抗と容量を掛けた時定数です。チップの中で信号が遅れる理由にもなっています。くわしい数字は「時定数RCとは?」で説明しているので、ここでは省きます。

大事なのは、コンデンサの電圧が急には変われない、という性質です。電圧を変えるには、電気を出し入れしなければならないからです。この「急な変化をやわらげる」性質が、次に見る使い道の多くを支えています。

主な種類: セラミック・電解・フィルム

コンデンサは、間にはさむ絶縁物の材料で呼び分けます。この絶縁物を誘電体と呼びます。材料によって、大きさ・容量・耐えられる電圧が大きく変わります。

種類間の材料特徴とよくある用途
積層セラミック(MLCC)セラミック小さく、速い変化に強い。チップのそばの電源の安定、雑音の除去
アルミ電解アルミの表面の酸化膜小さめの体で大きな容量。プラスとマイナスの向きがある。電源の電圧をならす
フィルムプラスチックの薄い膜高い電圧に向く。電気自動車のモーターを回す回路など

積層セラミックコンデンサ(MLCC)

スマホに「最大約1,000個」と数えられているのは、この種類です。英語の頭文字でMLCCと呼びます。セラミックの薄い層と金属の薄い膜を交互に重ね、一つの小さなかたまりにしてあります。

積層セラミックコンデンサの断面。左の電極につながる膜と右の電極につながる膜が交互に重なり、間のセラミックのすべての層に電気がたまる 積層セラミックの断面(イメージ) 端子 端子 間はセラミック 左と右につながる膜が交互に並ぶ 重なった層のぶんだけ容量が増える
実際の製品は、ここよりずっと多くの層を重ねている。省略していること: 端子のめっきの層、膜の厚さの比率。

左の端子につながる膜と、右の端子につながる膜が、交互に並んでいます。すると、セラミックの層の一枚一枚が、小さなコンデンサになります。重ねるほど向かい合う面積が増えるので、小さな体で大きな容量が得られます。

セラミックには、大きく2つの系統があります。誘電率がとても高く容量を稼げるチタン酸バリウム系と、誘電率は低いが容量が温度でほとんど変わらない系統です(村田製作所)。小ささの競争も続いていて、同社は2024年、0.16 mm × 0.08 mmの製品を開発したと発表しました。

アルミ電解コンデンサ

アルミの箔の表面に、ごく薄い酸化アルミニウム(アルミのさびの一種)の膜をつくり、これを誘電体に使います。箔の表面は細かいでこぼこにして、面積を広げてあります。薄い膜と広い面積の組み合わせで、大きな容量を得ています。

ふつうのアルミ電解には、プラスとマイナスの向き(極性)があります。逆向きに電圧をかけてはいけないと、メーカーの資料ははっきり注意しています(日本ケミコン)。基板に取り付けるときは、向きを間違えないことが大切です。

フィルムコンデンサ

プラスチックの薄い膜に金属の膜を付け、巻いたり重ねたりして作ります。高い電圧で使う回路に向いています。電気自動車では、電池とモーターを回す回路の間に置かれ、電圧を安定させています。同じ体積でためられる量はアルミ電解よりずっと少ないので、大きな容量が要る所には向きません(パナソニックの解説)。

使い道① 電源をならし、チップを支える

コンセントの電気は、向きが行ったり来たりする交流です。これをダイオードで一方向にそろえた電気は、大きさが波打っています(「ダイオードとは?」)。電圧が高いときにためて、低いときに出す大きなコンデンサが、この波をならします。この役目の部品を平滑コンデンサと呼びます。

チップのそばにも、コンデンサが欠かせません。CPUのようなチップは、仕事が始まると、必要な電流が一瞬で増えます。電源の回路は少し離れた所にあり、その急な変化にすぐには追いつけません。そのすき間を、すぐそばのコンデンサがためた電気で埋めます。

この使い方をデカップリング、またはバイパスと呼びます。置き場所は、チップの電源の端子のできるだけ近くです。配線そのものが、速い変化を通しにくくするからです。米国アナログ・デバイセズの解説によると、長さ1 cmの配線でも、1秒に1億回変わる電流には約5 Ω(オーム、抵抗の単位)の抵抗のように働きます。「抵抗のように」は、ここでの単純化です。

電源の回路は遠く、急な電流の変化に遅れる。チップのすぐそばのコンデンサが、ためた電気をまず出してチップを支える 急に電流が増えたとき 電源 チップ 遠い 近い 大きめ 小さなMLCC そばのコンデンサが先に電気を出し 電源が追いつくまでの間を埋める
回路をごく単純にしたイメージ。下の横線は電源のマイナス側(グラウンド)。省略していること: 実際は容量の違うコンデンサを何段にも分けて置き、チップのパッケージやチップの中にも容量を作り込むこと。

実際の基板では、大きめのコンデンサを電源の近くに、小さなMLCCをチップの近くに、と役割を分けて並べます。電圧を変える電源の回路そのもの(DC-DCコンバータ)にも、コンデンサが入っています。スマホのコンデンサがこれほど多い理由の一つは、この支え役が、チップや電源の数に応じて必要になるからです。

使い道② 変化だけを通す・時間を計る

コンデンサは、電圧が一定のままなら、充電が終わったあとは電流を通しません。一方、電圧が変わり続けると、出し入れの電流が流れ続けます。つまり、向きが変わらない電気(直流)は止め、交流は通すように働きます。

この性質を使うと、音声の信号から余計な一定の電圧だけを取り除けます。速い変化ほど通しやすいので、抵抗と組み合わせれば、細かい雑音だけを取り除く回路(フィルタ)も作れます。変化の速さによる通しやすさの違いは、交流と直流の違いを説明した記事でくわしく扱います。

充電にかかる時間は、抵抗と容量で決まります。これを時計の代わりに使うこともできます。ランプを一定の間隔で点滅させる回路や、電源を入れてから少し待って回路を動かし始める仕組みが、その例です。

使い道③ 覚える・感じる・一気に放つ

パソコンやスマホの作業用のメモリ(DRAM)は、0か1かの一つ分(1ビット)を、トランジスタとコンデンサ1個ずつで覚えます。たとえば、電気がたまっていれば1、空なら0と決めておきます。このしくみは、1966年にIBMのロバート・デナードが考え出しました。

トランジスタ(T)1個とコンデンサ(C)1個の組なので、この形を1T1Cセルと呼びます。このコンデンサは、ためた電気が少しずつ漏れるので、定期的に書き直す必要があります(「メモリとストレージの違い」)。チップの上の狭い場所で容量を稼ぐため、細長い筒の形にして、縦方向に面積を広げる工夫もされています。しくみ②の「面積」の話そのものです。

スマホのタッチパネルは、指が近づくと、画面の下の電極の間の容量がわずかに変わることを感じています。人の指も電気を通すからです(「タッチパネルのしくみ」)。揺れや傾きを測る小さなセンサにも、板のすき間の変化を容量の変化として読む方式があります。

カメラのストロボ(ガスを詰めた管を光らせるフラッシュ)は、反対に「一気に放つ」使い方です。スマホのLEDのライトとは別のしくみです。電池の電圧を高めて、ゆっくりコンデンサに充電し、撮る瞬間に一度に流して光らせます。写真用のストロボ向けのコンデンサには、330 Vで使う製品があります(米国Cornell Dubilierのデータシート)。

注意: 大きなコンデンサは電気が残る

コンデンサは、電源を外しても電気を抱えたままでいられます。ためる部品なので、当然の性質です。小さなMLCCなら問題になりませんが、高い電圧で使う大きなコンデンサは別です。

コンセントにつなぐ機器の電源の回路や、カメラのストロボの中には、百ボルトを超える電圧で使うコンデンサが入っています。プラグを抜いた直後でも、触れると感電するおそれがあります。電気を少しずつ逃がす部品を入れた設計もありますが、それに頼って中を開けてはいけません。

電解コンデンサには、放電させたあとでも、しばらくすると端子の間に電圧が戻ってくる現象があります。日本ケミコンの技術資料は、これを「再起電圧」として取り上げています。家電や電源の中は、分解せずに専門の修理に任せるのが安全です。

よくある誤解

誤解: 電流がコンデンサの中を通り抜けている

実際は、2枚の板の間は絶縁物で、電子は通り抜けません。片方の板に電子が入るのと同時に、もう片方の板から同じだけ出ていくので、外から見ると電流が通ったように見えます。交流を「通す」と言うのは、この出し入れがくり返されるからです。

誤解: 部品に書かれた容量が、いつでもそのまま出る

実際は、容量は使う条件で変わります。とくに誘電率の高いセラミックの品は、温度や、かけている直流の電圧によって容量が下がります(村田製作所の解説)。設計では、使う条件での容量をメーカーのデータで確かめます。

誤解: チップの中には、コンデンサはない

実際は、チップの中は容量だらけです。トランジスタのゲートは、薄い絶縁膜をはさんでシリコンと向かい合う電極で、形はコンデンサそのものです。配線どうしも、絶縁膜をはさんで向かい合っています。ダイオードの中のPN接合(性質の違う半導体の境目)にも容量が生まれます(接合容量(空乏層容量))。DRAMのように、わざと作り込むこともあります。

数字で見る

数字何の数字か
最大約1,000個最新のスマホに使われる積層セラミックコンデンサの数(村田製作所、2024年)
0.16 mm × 0.08 mm2024年の発表時点で、いちばん小さな積層セラミックコンデンサの大きさ(村田製作所)
約3.9倍チップの絶縁膜に使う二酸化ケイ素の誘電率(真空のときを1倍とする)
約5 Ω長さ1 cmの配線が、100 MHz(1秒に1億回)の変化に対して示す邪魔の大きさ(アナログ・デバイセズ)
330 V写真用のストロボ向けコンデンサの定格電圧の例(Cornell Dubilier)
1745〜1746年最初のコンデンサ「ライデン瓶」が見つかった年

0.16 mm × 0.08 mmは、細かい砂の一粒ほどの大きさです。それでも、中には何層もの膜が重なっています。スマホが薄く小さくなり、部品の数が増えても基板に収まるのは、こうした小型化の積み重ねがあるからです。

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