ボールボンディングとウェッジボンディングの違い:材料・工程・方向性・用途を比較

どちらも、チップの電極パッドとリードフレームや基板を、細い金属線でつなぐワイヤボンディングの方式です。ボールボンディングは、ワイヤの先端を放電で溶かしてボールをつくり、熱と荷重と超音波で接合します。ボールには向きがないので、どの方向にもワイヤを引き出せ、高速に接合でき、ICのパッケージで最も広く使われています。ウェッジボンディングは、ワイヤを横から平たく押しつぶして、主に超音波で接合します。アルミニウムのワイヤやリボンをそのまま使えるので、大電流を流すパワー半導体でよく使われます。

項目ボールボンディングウェッジボンディング
接合の形第1ボンドはボール、第2ボンドはワイヤを押しつぶしたステッチ第1ボンドも第2ボンドも、ワイヤを平たく押しつぶしたウェッジの形
工具キャピラリ(中心に穴のあるセラミックの細い管)ウェッジツール(ワイヤを斜め後ろから送り、先端で押さえる工具)
接合のエネルギー熱・荷重・超音波を併用するサーモソニック。基板を約150〜200 ℃に加熱する主に超音波と荷重。アルミニウムのワイヤは室温で接合できる
ワイヤの材料金、銅(パラジウム被覆の銅を含む)アルミニウム(細線・太線)、アルミニウムのリボン、金。パワー用には太い銅線も
ワイヤの太さ約15〜50 µm細線は数十 µm、パワー用の太線は約100〜500 µm。平たい帯状のリボンもある
方向性ボールに向きがなく、どの方向にもワイヤを引き出せるワイヤを送る向きに沿って接合するので、向きが決まっている。接合ごとにヘッドやワークを回して向きを合わせる
速度速い。向きを気にせず連続して接合できる遅め。向きを合わせる動作が必要
接合部の大きさとピッチボールはワイヤ径の約2倍。数十 µmの狭いパッドピッチに対応する接合部の幅がボールより細く、細線では狭いピッチにも向く
ループの形ボールから立ち上がるので、ある程度の高さが必要。低くする工夫もある低いループにしやすい
信頼性の注意点金線とアルミニウムのパッドでは金属間化合物とボイドの成長。銅線ではパッドの下の割れ(クレータリング)太いアルミニウム線では、温度の上下の繰り返しによる接合部のはがれ(リフトオフ)や根元の割れ
主な用途QFP、BGA、メモリのチップ積層など、ICのパッケージ全般パワー半導体やパワーモジュール、車載の電装品、高周波や光のデバイス、アルミニウム線での接続

数値は代表的な目安で、世代や製品によって異なります。

どんなときに使うか

ボールボンディング
多数のパッドを持つICを、細い金線や銅線で速く接続したいとき。ICのパッケージの標準的な方法です。
ウェッジボンディング
大電流を流すため太いアルミニウム線やリボンを使いたいとき、加熱を避けたいとき、低いループが必要なとき。
見分け方
第1ボンドに丸いボールがあればボールボンディング、両端とも平たく押しつぶされていればウェッジボンディングです。

よくある質問

ボールボンディングとウェッジボンディングの一番の違いは何ですか?

ワイヤの接合の形です。ボールボンディングは、ワイヤの先端に放電でボールをつくって接合するので、向きがなく、どの方向にもワイヤを引き出せます。ウェッジボンディングは、ワイヤを横から押しつぶして接合するので、向きが決まっています。

なぜパワー半導体ではアルミニウムのウェッジボンディングが多いのですか?

大電流を流すには、直径100〜500 µm程度の太いワイヤやリボンが必要だからです。太いアルミニウム線は、ボールをつくらずに超音波で室温のまま接合でき、材料も安いため、パワーモジュールで広く使われています。

アルミニウムのワイヤでボールボンディングをしないのはなぜですか?

アルミニウムは表面に強い酸化膜ができやすく、放電で安定した丸いボールをつくるのが難しいからです。そのため、アルミニウムのワイヤは主にウェッジボンディングで接合し、ボールボンディングには金や銅のワイヤを使います。

理解度チェック

金ワイヤの先端を放電で溶かしてボールをつくり、熱と超音波を加えて電極に接合するワイヤボンディングの方式はどれか。

  1. Aボールボンディング(熱圧着超音波接合)
  2. Bウェッジボンディング
  3. Cリフローはんだ付け
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正解:A. ボールボンディング(熱圧着超音波接合)

ボールボンディングでは、キャピラリーという細い管から出したワイヤの先端を放電で溶かして、ワイヤ径の2倍ほどのボールをつくり、チップの電極に熱・圧力・超音波で接合します。ボールは向きを選ばないため、ワイヤをどの方向にも引き回せます。ウェッジボンディングはワイヤを横から押しつぶして接合する方式で、アルミニウムワイヤでよく使われます。リフローはワイヤを使いません。

ボール形成を使うワイヤボンディングで、一般的に最初の接合(ボールボンド)をする場所はどれか。

  1. A封止樹脂の表面
  2. Bチップの電極パッド側
  3. Cリードフレームやパッケージ基板側
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正解:B. チップの電極パッド側

ボールボンディングでは、まずワイヤの先端につくったボールをチップの電極パッドに接合し(ファーストボンド)、ワイヤを引き回してリードや基板の電極にワイヤを押しつぶして接合します(セカンドボンド)。ボールの接合部は小さく、チップの狭いパッドに向いています。チップを積み重ねてワイヤの高さを低くしたい場合は、順序を逆にする方法も使われます。

ワイヤボンディングで使われるワイヤの太さとして一般的なものはどれか。

  1. A約1〜2 mm
  2. B約1 nm
  3. C約15〜50 µm
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正解:C. 約15〜50 µm

ボンディングワイヤは、直径が約15〜50 µm程度の非常に細い金属線で、髪の毛(約70 µm)より細いものが多く使われます。チップの電極パッドの大きさが数十µmなので、ワイヤもそれに合わせた細さが必要です。一方、大電流を流すパワーデバイスでは、直径100〜500 µm程度の太いアルミニウムワイヤや、帯状のリボン、銅のクリップも使われます。

  1. ワイヤボンディングで、金(Au)ワイヤから銅(Cu)ワイヤへの置き換えが進んだ主な理由はどれか。
  2. 多くのLSIで、ワイヤボンディングを行う最上層の電極パッドに使われてきた金属はどれか。
  3. パワーモジュールに温度の上昇と下降を繰り返し与える「パワーサイクル試験」で見られる代表的な故障はどれか。

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関連する用語の解説

ワイヤボンディング
チップの電極パッドとリードフレームや基板を、金や銅などの細い金属線でつなぐ接続方法。
リードフレーム
チップを載せる台と外部端子(リード)を一体にした金属の薄板。QFPなどのパッケージで使われる。
IGBT
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ。MOSゲートで駆動し、伝導度変調によって高耐圧でも低いオン電圧を得られる。

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