CCPとICPの違い:プラズマの作り方・密度・イオンエネルギー・用途を比較

どちらも高周波の電力でガスを電離させてプラズマを作る方式ですが、電力をプラズマに伝える仕組みが違います。CCPは、向かい合った2枚の電極の間に高周波の電圧をかけ、電界で電子を加速します。ICPは、コイルに高周波の電流を流し、その磁界の変化が作る誘導電界で電子を加速するので、低い圧力で高密度のプラズマを作れます。ICPはウエハ側に別のバイアス電源を置き、プラズマの密度とイオンのエネルギーを別々に調整できます。

項目CCP(容量結合プラズマ)ICP(誘導結合プラズマ)
プラズマの作り方平行平板の電極に高周波の電圧をかけ、電極の間の電界で電子を加速するコイルに高周波の電流を流し、誘導電界で電子を加速する
装置の構造上下に向かい合った2枚の電極。ウエハは片方の電極の上に置く誘電体の窓の外側(上や周り)にコイルを置き、ウエハの台には別のバイアス用の電源をつなぐ
プラズマ密度(代表的な値)中程度。およそ10⁹〜10¹⁰ cm⁻³高い。およそ10¹¹〜10¹² cm⁻³
動作する圧力(代表的な値)数Pa〜数十Pa程度が多い約0.1 Pa〜数Paの低い圧力
密度とイオンエネルギーの制御1つの電源では、電力を上げると密度とセルフバイアスが一緒に変わり、独立に制御しにくい。2つの周波数を使う方式で分担させるコイルの電力で密度、ウエハ側のバイアスの電力でイオンのエネルギーと、別々に調整しやすい
イオンのエネルギーセルフバイアスが大きく、高いイオンのエネルギーを得やすいバイアスを下げれば、低いエネルギーで多くのイオンを当てられ、ダメージを抑えやすい
ガスの解離比較的少ない。原料の分子やその断片が残りやすい多い。ガスがよく分解され、ラジカルやイオンが多い
得意なエッチング酸化膜や低誘電率膜などの絶縁膜。強いイオンの衝撃と、フルオロカーボンのポリマーで選択比をとる。高アスペクト比のコンタクトホールシリコン(ゲートや素子分離の溝)や金属(アルミニウムの配線など)、化合物半導体の、速く異方性の高いエッチング
成膜への応用平行平板型のプラズマCVD(PECVD)。高周波と低周波の電力の比で膜の応力を調整する高密度プラズマCVD(HDP-CVD)。成膜しながらイオンのスパッタで溝の入り口を削り、狭い溝を埋める
装置の構成比較的簡単。電極と高周波の電源コイル、誘電体の窓、2つの電源などが必要で、やや複雑

数値は代表的な目安で、世代や製品によって異なります。

どんなときに使うか

CCP
酸化膜や窒化膜、低誘電率膜などの絶縁膜のエッチング。高いイオンのエネルギーとポリマーによる選択比が必要な、深いコンタクトホールなど。平行平板型のプラズマCVD。
ICP
シリコンや金属の、速く異方性の高いエッチング。ダメージを抑えるため、低いイオンのエネルギーで高い密度のプラズマが欲しいとき。狭い溝を埋めるHDP-CVD。
傾向
CCPでも、高い周波数で密度を、低い周波数でイオンのエネルギーを分担させる2周波の方式が広く使われ、独立に制御しにくいという弱点を補っています。

よくある質問

ICPで、プラズマの密度とイオンのエネルギーを別々に制御できるのはなぜですか?

プラズマを作るコイルの電源と、ウエハにバイアスをかける電源が別々だからです。コイルの電力でプラズマの密度を、ウエハ側の高周波の電力でセルフバイアスとイオンのエネルギーを調整します。

酸化膜のエッチングにCCPがよく使われるのはなぜですか?

SiO2は結合が強く、エッチングに高いイオンのエネルギーが必要です。CCPは大きなセルフバイアスを得やすく、ガスの解離が比較的少ないので、フルオロカーボンのポリマーで下地の窒化膜やシリコンとの選択比をとりやすいからです。

CCPとICPは、エッチング以外にも使われますか?

使われます。平行平板のCCPはプラズマCVD(PECVD)の装置に広く使われ、ICPなどの高密度プラズマは、成膜とスパッタを同時に行って狭い溝を埋めるHDP-CVDに使われてきました。

理解度チェック

誘導結合プラズマ(ICP)型エッチング装置の特徴として正しいものはどれか。

  1. Aプラズマを使わない
  2. Bコイルで高密度プラズマを生成し、プラズマ密度とイオンエネルギーを別々に制御しやすい
  3. C液体の薬液を使う
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正解:B. コイルで高密度プラズマを生成し、プラズマ密度とイオンエネルギーを別々に制御しやすい

ICP型では、チャンバーの上や周りのコイルに高周波を流してつくる誘導電界で10¹¹〜10¹² cm⁻³の高密度のプラズマを生成し、ウエハ側には別の高周波電源でバイアスを加えます。プラズマの密度(ラジカルとイオンの量)と、ウエハに当たるイオンのエネルギーを独立に調整しやすく、数Pa以下の低い圧力で高速かつ異方性の高いエッチングができ、シリコンや金属のエッチングで広く使われます。

容量結合型などのプラズマ装置で、ウエハ側の電極が自然に負の直流電位をもち、イオンをウエハに向けて加速する現象を何と呼ぶか。

  1. Aホール効果
  2. Bゼーベック効果
  3. Cセルフバイアス(自己バイアス)
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正解:C. セルフバイアス(自己バイアス)

高周波電力をかけた電極では、軽く動きやすい電子の方がイオンより多く流れ込むため、コンデンサを通してつながった電極は平均して負の直流電位(セルフバイアス、数十〜数百V)をもちます。この電位差でプラズマ中の正イオンがウエハに向かってほぼ垂直に加速され、異方性のエッチングに使われます。高周波の電力を変えるとセルフバイアスが変わり、イオンのエネルギーを調整できます。

反応性イオンエッチング(RIE)の説明として正しいものはどれか。

  1. A反応性ガスのプラズマ中で、化学反応とイオンの衝撃を組み合わせてエッチングする
  2. B薬液にウエハを浸してエッチングする
  3. C研磨パッドでウエハ表面を削る
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正解:A. 反応性ガスのプラズマ中で、化学反応とイオンの衝撃を組み合わせてエッチングする

RIEは、反応性ガス(フッ素系、塩素系など)のプラズマでつくったラジカルによる化学反応と、電界で加速したイオンの衝撃を組み合わせたドライエッチングです。イオンがウエハに垂直に入射して底面の反応を促進するため縦方向のエッチングが進みやすく、異方性の高い加工ができます。名前に反してイオンだけで削るのではなく、ラジカルとの相乗効果が本質です。

  1. 酸化膜をエッチングして、下にある窒化膜のところで止めたい場合に必要なものはどれか。
  2. 高密度プラズマCVD(HDP-CVD)が、狭い溝の絶縁膜埋め込みに使われてきた理由として正しいものはどれか。
  3. プラズマCVDのシリコン窒化膜の応力を、圧縮から引っ張りまで調整する方法として使われるものはどれか。

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関連する用語の解説

ICP(誘導結合プラズマ)
コイルに高周波電流を流して高密度のプラズマを生成する方式。プラズマの密度と、ウエハに入るイオンのエネルギーを別々に制御しやすい。
セルフバイアス
容量結合のプラズマ装置で、ウエハ側の電極が自然に負の直流電位をもつ現象。正のイオンがウエハに向かって加速され、異方性のエッチングに役立つ。
RIE(反応性イオンエッチング)
プラズマ中の反応性の粒子と、電界で加速したイオンを組み合わせて削るドライエッチング。垂直な異方性の加工ができる。
HDP-CVD(高密度プラズマCVD)
高密度プラズマを使い、成膜と同時にイオンのスパッタで溝の入り口の膜を削りながら堆積するCVD。ボイドを抑えて狭い溝を絶縁膜で埋めるのに使われてきた。
PECVD(プラズマCVD)
プラズマで原料ガスを分解して膜を堆積するCVD。熱CVDより低い温度で成膜でき、配線工程の絶縁膜などに使われる。

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