理想的な昇圧チョッパ(ブーストコンバータ)で、入力電圧5 V、スイッチのデューティ比0.6のとき、電流連続モードでの出力電圧として正しいものはどれか。
- A3 V
- B8 V
- C12.5 V
降圧(バック)・昇圧(ブースト)・昇降圧(バックブースト)のコンバータについて、デューティ比、インダクタ電流のリプルとピーク、出力電圧のリプルを計算します。負荷が軽くてインダクタ電流が途中で 0 になる電流不連続モードも判定し、インダクタ電流の波形をグラフで示します。
お気に入りと最近使ったツールは、このブラウザ内(localStorage)にのみ保存されます。
青い線がインダクタ電流、点線がその平均です(電流連続モードのとき)。スイッチがオンのあいだ電流が増え、オフのあいだ減ります。スイッチやダイオードの電圧降下と損失を考えない、理想的な定常状態の値です。
ほかの入力は今の値のまま、選んだ入力だけを今の値の1/4〜4倍の範囲で変えたときの結果です。赤い点が今の値です。
スイッチング方式の DC-DC コンバータは、スイッチを周期 T でオン・オフし、オンの時間の割合(デューティ比 D)で出力電圧を決めます。定常状態では、インダクタの電圧の1周期の平均が 0 になるので、理想的な電流連続モードでは、降圧で Vout = D·Vin、昇圧で Vout = Vin/(1 − D)、昇降圧で |Vout| = D·Vin/(1 − D) になります。例の 12 V から 3.3 V への降圧では D = 3.3/12 = 27.5%です。実際には、スイッチやダイオードの電圧降下と損失を補うため、D はこれより少し大きくなります。
スイッチがオンのあいだ、インダクタには一定の電圧がかかるので、電流は直線的に増えます。降圧では、電流の山から谷までの振れ幅(リプル)は ΔI = (Vin − Vout)·D/(L·f) です。例では (12 − 3.3) × 0.275/(4.7 µH × 500 kHz) ≈ 1.02 A で、平均 2 A の約51%です。一般に、リプルを平均電流の 20〜40% 程度にするのが目安で、このツールでは 30% にするインダクタも示します。インダクタの飽和電流は、平均にリプルの半分を足したピーク電流より大きいものを選びます。
負荷が軽くなると平均電流が下がり、リプルの谷が 0 に届くと、インダクタ電流が周期の途中で 0 になったまま止まります。これが電流不連続モード(DCM)で、その境目の出力電流は降圧では ΔI/2 です。不連続モードでは、同じ出力電圧を得るためのデューティ比が負荷によって変わり、連続モードより小さくなります。例の降圧で負荷を 0.2 A にすると、境目の約0.51 A を下回るので不連続モードになり、D は約17%になります。同期整流のコンバータは、電流を負の向きにも流せるので、軽い負荷でも連続モードのまま動かすこともできます。
降圧では、インダクタ電流のリプル分が出力コンデンサに流れるので、コンデンサの容量による電圧のリプルは ΔV = ΔI/(8·f·C) です。例では 1.02 A/(8 × 500 kHz × 22 µF) ≈ 11.6 mV です。昇圧と昇降圧では、スイッチがオンのあいだ出力電流をコンデンサだけで供給するので、ΔV = Iout·D/(f·C) と大きくなりやすくなります。これにコンデンサの等価直列抵抗(ESR)× 電流の振れ幅が加わるため、セラミックコンデンサのように ESR の小さいものがよく使われます。セラミックコンデンサは直流電圧がかかると容量が下がるものがあるので、実際の容量で確かめます。
正解:B. 18 V
反転形の昇降圧チョッパでは、スイッチがオンの間に入力からインダクタにエネルギーをため、オフの間にそのエネルギーをダイオードを通して出力に放出します。インダクタの電圧と時間の積のつり合い Vin × D = Vout × (1 − D) から、出力電圧の大きさは Vout = Vin × D/(1 − D) = 12 × 0.6/0.4 = 18 Vです。出力の極性は、入力と逆(グランドに対して負)になります。D < 0.5なら降圧、D > 0.5なら昇圧として働き、D = 0.5で入力と同じ大きさになります。
正解:B. 0.5 A
デューティ比は D = 3/12 = 0.25で、オンの時間は D/f ≈ 0.833 µsです。オンの間、インダクタには 12 − 3 = 9 Vがかかるので、電流の増え方は ΔI = (Vin − Vout) × D/(L × f) = 9 × 0.25/(15 µH × 300 kHz) = 2.25/4.5 = 0.5 Aです。オフの間には Vout × (1 − D)/(L × f) = 3 × 0.75/4.5 = 0.5 A減るので、1周期で元に戻ることも確かめられます。インダクタンスか周波数を2倍にすると、脈動は半分になります。
正解:A. 10 mV
コンデンサに流れる電流は、振幅 ΔI/2 の三角波です。電流が正になる半周期 T/2 の間にコンデンサに入る電荷は、三角形の面積 (1/2) × (T/2) × (ΔI/2) = ΔI × T/8 です。したがって、電圧の脈動は ΔV = ΔI/(8fC) = 0.6/(8 × 300 kHz × 25 µF) = 10 mVになります。実際のコンデンサでは、ESRによる電圧 ΔI × ESR が加わるので、ESRの小さいセラミックコンデンサがよく使われます。
理想的な電流連続モードでは D = Vout/Vin です。12 V から 3.3 V なら27.5%です。昇圧では D = 1 − Vin/Vout、反転形の昇降圧では D = |Vout|/(Vin + |Vout|) です。実際の回路では損失の分だけ少し大きくなります。
一般に平均電流の 20〜40% 程度が目安です。リプルを小さくするとインダクタが大きくなり、負荷の変化への応答も遅くなります。大きくすると、ピーク電流と出力電圧のリプル、コアの損失が増えます。インダクタの飽和電流は、ピーク電流より余裕を持って選びます。
必ずしも悪くはありません。軽い負荷で効率を保つために、あえて不連続モードやパルスを間引く動作に切り替える制御もあります。ただし、デューティ比と出力の関係が負荷で変わり、制御の特性も変わるので、両方のモードで安定するように設計する必要があります。
DC-DCコンバータ 降圧チョッパ(バックコンバータ) 昇圧チョッパ(ブーストコンバータ) 昇降圧チョッパ(バックブーストコンバータ) 電流連続モード デューティ比 同期整流