LDOとスイッチングレギュレータの違い:効率・ノイズ・部品・用途を比較

どちらも入力の直流の電圧から安定した電圧を作りますが、余分な電圧の扱い方が違います。LDOなどのリニアレギュレータは、トランジスタを可変の抵抗のように使い、入力と出力の電圧の差を熱として捨てます。スイッチングレギュレータは、トランジスタを高速にオン・オフし、コイルとコンデンサでエネルギーを受け渡すので、電圧の差が大きくても効率が高く、昇圧もできます。その代わり、スイッチングによるリップルやノイズが出ます。

項目LDO(リニアレギュレータ)スイッチングレギュレータ
動作の仕組み出力のトランジスタを線形の領域で使い、入力と出力の電圧の差を背負うトランジスタをオン・オフし、コイルとコンデンサでエネルギーを受け渡す
効率およそ出力の電圧÷入力の電圧。1.8 Vから1.0 Vを作ると約56%電圧の差が大きくても、条件により80〜95%程度
発熱(入力の電圧 − 出力の電圧)× 電流がすべて熱になる損失が小さく、発熱は少ない
出力のノイズ非常に小さい。スイッチングのノイズがないスイッチングの周波数のリップルや、高調波のノイズ(EMI)が出る
スイッチング周波数なし数百kHz〜数MHz程度
部品点数少ない。ICと入出力のコンデンサ程度多い。コイル、コンデンサ、方式によりダイオードなど
基板の設計小さく簡単コイルが場所を取り、ノイズを抑える配線の引き回しに注意が必要
昇圧・反転できない。降圧だけで、入力は出力よりドロップアウト電圧以上高い必要がある降圧、昇圧、昇降圧、反転ができる
負荷の変化への応答速い制御ループの帯域で決まり、LDOより遅いことが多い
コスト安い部品が多い分、高め
主な用途ADC、PLL、RF回路などノイズに敏感な回路の電源、電圧の差が小さいとき、小さな電流CPUやSoCのコアの電源、大きな電流、電池から効率よく電圧を作るとき、昇圧が必要なとき

数値は代表的な目安で、世代や製品によって異なります。

どんなときに使うか

LDO
入力と出力の電圧の差が小さいとき、電流が小さいとき、ADCやPLL、RF回路など、ノイズの少なさが大切な回路の電源。
スイッチングレギュレータ
電圧の差が大きいとき、電流が大きいとき、電池で長く動かしたいとき、入力より高い電圧が必要なとき。
組み合わせ
スイッチングレギュレータで効率よく電圧を下げ、そのあとにLDOを置いてリップルを除く構成がよく使われます。LDOの入出力の電圧の差が小さいので、損失も小さく済みます。

よくある質問

LDOの効率は、どう計算しますか?

入力と出力に同じ電流が流れるので、LDO自身の消費電流を無視すれば、効率はおよそ出力の電圧÷入力の電圧です。5 Vから3.3 Vなら約66%、3.6 Vから3.3 Vなら約92%で、電圧の差が小さいほど効率がよくなります。

スイッチングレギュレータの効率が高いのはなぜですか?

トランジスタを、完全なオンかオフの状態で使うからです。オンでは電圧がほぼゼロ、オフでは電流がほぼゼロなので、電圧と電流の積である損失は、切り替えの途中などを除いて小さくなります。

LDOのドロップアウト電圧とは何ですか?

出力を規定の電圧に保つために必要な、入力と出力の最小の電圧差です。LDOでは0.1〜0.3 V程度まで小さくでき、入力がそれより下がると、出力の電圧も下がってしまいます。

理解度チェック

リニアレギュレータ(LDOなど)と比べたときのスイッチングレギュレータの特徴として正しいものはどれか。

  1. A効率は低いが、ノイズが非常に少ない
  2. B交流を出力する
  3. C電力変換効率が高いが、スイッチングによるノイズが出やすい
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正解:C. 電力変換効率が高いが、スイッチングによるノイズが出やすい

スイッチングレギュレータはトランジスタを数百kHz〜数MHzでオン・オフし、コイルやコンデンサでエネルギーを受け渡すため、入出力の電圧差が大きくても80〜95%程度の高い効率が得られ、昇圧や反転もできます。リニアレギュレータは差分を熱として捨てるので、効率はおよそ出力電圧÷入力電圧です(12 V→3.3 Vなら約28%)。ノイズに敏感な回路ではスイッチングの後にLDOを置く構成がよく使われます。

LDO(低ドロップアウトのリニアレギュレータ)の「ドロップアウト電圧」の意味として正しいものはどれか。

  1. A出力電圧の最大値
  2. B負荷を外したときの出力電圧の変化
  3. C出力を規定の電圧に保つために必要な、入力と出力の最小の電圧差
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正解:C. 出力を規定の電圧に保つために必要な、入力と出力の最小の電圧差

ドロップアウト電圧は、レギュレータが出力を保てる入出力の電圧差の最小値です。LDOは出力のトランジスタにPMOSなどを使うことで0.1〜0.3 V程度まで小さくでき、例えばリチウムイオン電池(3.0〜4.2 V)から2.8 Vを作ることもできます。損失は(入力 − 出力)× 電流なので、電圧差が小さいほど効率がよくなります。リプル除去比が高く、ノイズに敏感な回路の電源によく使われます。

トランジスタを線形に動作させるリニア電源と比べて、スイッチング電源の効率が高い主な理由はどれか。

  1. Aトランジスタを完全にオンかオフの状態で使い、電圧と電流が同時にかかる時間を短くしているため
  2. Bトランジスタを使わないため
  3. C出力電圧が必ず入力電圧より高いため
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正解:A. トランジスタを完全にオンかオフの状態で使い、電圧と電流が同時にかかる時間を短くしているため

トランジスタの損失は電圧と電流の積です。リニア電源では、余分な電圧をトランジスタが背負ったまま電流を流すため、12 Vから5 Vを作れば効率は約42%しかありません。スイッチング電源では、オン(電圧がほぼゼロ)とオフ(電流がほぼゼロ)だけを使い、切り替えの瞬間以外はほとんど損失が出ないため、90%以上の効率が得られます。代わりにノイズ対策が必要です。

  1. 入力1.8 Vから出力1.0 Vを作るリニアレギュレータ(LDO)の効率に最も近いものはどれか(レギュレータ自身の消費電流は無視する)。
  2. 入力より高い直流電圧を出力するDC-DCコンバータはどれか。
  3. PSRR(電源電圧変動除去比)が1 kHzで60 dBのLDOの入力に、1 kHz・振幅100 mVのリップルが乗っている。出力に現れるリップルの目安はどれか。

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関連する用語の解説

LDO
Low Drop-Out の略で、入力と出力の電圧差が小さくても動作するリニアレギュレータ。ノイズが少ないが、電圧差に電流を掛けた分が熱として失われる。
DC-DCコンバータ
直流の電圧を別の大きさの直流の電圧に変換する回路。スイッチとコイル、コンデンサを使い、入力より低い電圧にする降圧型や、高い電圧にする昇圧型がある。
PSRR(電源電圧変動除去比)
電源電圧の変動が回路の出力にどれだけ伝わりにくいかを表す指標。大きいほど電源のノイズに強い。
PMIC
電源管理IC。電池などから複数の電圧を作り、電源を入れる順番や電圧の切り替えを管理する部品。

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