デバイスエンジニア
トランジスタなどのデバイスの構造を考え、試作したデバイスの電気特性を測って評価し、回路設計で使うモデルにまとめる技術者です。
トランジスタなどのデバイスの構造を考え、試作したデバイスの電気特性を測って評価し、回路設計で使うモデルにまとめる技術者です。
デバイスエンジニアは、トランジスタをはじめとするデバイスが狙いどおりの性能を出すように、構造と特性を作り込む仕事です。しきい値電圧、オン電流、リーク電流などの目標を決め、不純物の分布やゲートの構造をどう変えればよいかを考えます。試作したウエハでは、電流と電圧の関係や容量を測り、目標との差やばらつきの原因を調べます。開発の段階では、TCAD(工程とデバイスのシミュレーション)を使って、試作の前に特性を予測することもあります。測った特性は、回路設計で使うSPICEモデルにまとめられ、設計者に渡されます。
デバイスの構造は工程で決まるため、工程全体をまとめるインテグレーションエンジニアやプロセスエンジニアと密に連携します。モデルを使う回路設計者や、長期の劣化を調べる信頼性エンジニアとも情報をやりとりします。扱うものは、ウエハ上に作り込んだ評価用のパターン(TEG、テスト構造とも呼ばれます)、それに針を当てて測るプローバと測定器、測定データ、シミュレーションの結果です。担当するデバイスは、ロジックやメモリのトランジスタのほか、パワー半導体、センサー、化合物半導体など、会社によってさまざまです。
半導体物性、PN接合、MOSFETの動作原理が土台です。移動度、空乏層、短チャネル効果などを、式と図の両方で説明できることが求められます。電気特性の測定では、測定器の使い方に加えて、寄生抵抗や寄生容量、測定の誤差を見抜く力が必要です。モデル化やデータの整理にはプログラミングが役立ち、TCADを使う場合はその結果を物理的に解釈する力が大切です。工程の知識もあると、特性の変化を構造の変化と結びつけて考えられます。回路設計者がモデルをどう使うかを知っておくと、求められる精度も判断しやすくなります。
まずは『デバイスを深く知る』コースで、『半導体物性』『PN接合・ダイオード』『MOSFET』の順に基礎を固めましょう。微細なトランジスタを扱うなら、『先端トランジスタ(FinFET・GAA)』の分野で、短チャネル効果を抑える構造の工夫を学べます。デバイスの劣化は『信頼性』、パワー用途を担当するなら『パワー半導体』の分野が役立ちます。評価の方法は『計測・分析』の分野にもまとまっています。各分野の問題を解きながら、しきい値電圧や移動度などの用語の意味を、自分の言葉で説明できるか確かめてみてください。
MOSFET 50問 先端トランジスタ(FinFET・GAA) 54問 半導体物性 50問 PN接合・ダイオード 50問 信頼性 51問 計測・分析 50問 パワー半導体 50問
学んでおきたい分野から、基本の問題を10問選びました
しきい値電圧 移動度 短チャネル効果 サブスレッショルドスイング DIBL 相互コンダクタンス High-k/メタルゲート EOT(等価酸化膜厚) FinFET SPICE PDK(プロセスデザインキット) DTCO(設計・技術協調最適化)
デバイスエンジニアは、半導体物理や電子工学の専門知識を強く求められることが多い職種です。一般に、電気電子・物理・材料などを学んだ人が採用の対象になりやすく、文系から直接目指すのは簡単ではありません。ただし、採用の条件は会社や時期によって異なります。関連する別の職種で経験を積み、そこから移る道もあり得ます。
デバイスエンジニアはトランジスタ一つひとつの構造と特性を作り込み、その特性をモデルにまとめます。回路設計者は、そのモデルを使ってトランジスタを組み合わせ、目的の機能をもつ回路をつくります。デバイスの性能は回路の性能を左右するため、両者は特性の目標やモデルの精度について話し合いながら仕事を進めます。
一般に、必須の免許や資格はありません。重視されるのは、半導体デバイスの原理の理解と、測定やシミュレーションの経験です。学生のうちは、授業や研究でデバイスの特性を測ったり、シミュレーションを動かしたりした経験が、仕事の内容に近い準備になります。