情報エントロピーとは

じょうほうえんとろぴー

情報源が出す1記号あたりの情報量の平均。各記号の確率をpᵢとして H = −Σ pᵢ log₂ pᵢ(ビット)で表し、次に何が出るかの予想しにくさを表す。n種類の記号がすべて等しい確率で出るときに最大値 log₂ n になり、1つの記号が必ず出るときは0になる。可逆な符号化で1記号を表すのに必要な平均ビット数の下限を与える。1948年にシャノンが導入し、熱力学のエントロピーと式の形が似ていることから名付けられた。平均情報量、シャノンエントロピーともいう。

「情報エントロピー」は、2分野の11問の練習問題に出てきます(情報理論と符号の基礎, 機械学習の基礎など)。

この用語の分野: 情報理論と符号の基礎

計算の例

表と裏が1/2ずつのコインは1ビット、1〜6の目が等しく出るさいころは log₂ 6 ≈ 2.58 ビットです。表が0.9、裏が0.1の偏ったコインは約0.47ビットで、結果がほぼ予想できる分だけ小さくなります。確率が0の記号は、0 × log₂ 0 = 0 として扱います。

符号化の限界

記号を独立に出す情報源では、どのような可逆な符号でも、1記号あたりの平均符号長をエントロピーより小さくできません(情報源符号化定理)。ハフマン符号の平均符号長はエントロピー以上、エントロピー + 1 ビット未満になり、記号をまとめて符号化すると、1記号あたりではエントロピーにいくらでも近づけられます。

関連する量

2つの確率変数については、同時エントロピー H(X, Y)、Yを知ったあとに残るXのあいまいさを表す条件付きエントロピー H(X|Y)、その差である相互情報量 I(X;Y) = H(X) − H(X|Y) を考えます。機械学習で使う交差エントロピーは、本当の分布と予測した分布の違いを測る量で、予測が当たるほど小さくなります。

情報エントロピーの練習問題に挑戦

記号A、B、C、Dをそれぞれ確率1/2、1/4、1/8、1/8で、互いに独立に出す情報源がある。この情報源のエントロピー(1記号あたりの平均情報量)はどれか。

  1. A1.75ビット
  2. B2ビット
  3. C2.25ビット
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正解:A. 1.75ビット

エントロピーは、各記号の情報量 −log₂ p を確率で重み付けして平均したもので、H = Σ(−p log₂ p) です。各記号の情報量は1、2、3、3ビットなので、H = 1/2 × 1 + 1/4 × 2 + 1/8 × 3 + 1/8 × 3 = 0.5 + 0.5 + 0.375 + 0.375 = 1.75 ビットです。4つの記号が等しい確率で出るなら2ビットですが、確率に偏りがあると、その分だけ小さくなります。

8種類の記号を出す情報源のエントロピーの最大値と、最大になる条件の組み合わせとして、正しいものはどれか。

  1. A3ビット。どれか1つの記号の確率が1のとき
  2. B3ビット。8種類の記号の確率がすべて1/8のとき
  3. C8ビット。8種類の記号の確率がすべて1/8のとき
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正解:B. 3ビット。8種類の記号の確率がすべて1/8のとき

n種類の記号を出す情報源のエントロピーは、すべての記号が等しい確率1/nで出るときに最大になり、その値は log₂ n です。n = 8 なら log₂ 8 = 3 ビットです。どの記号が出るかを最も予想しにくいときに、1記号あたりの平均情報量が最大になります。逆に、1つの記号が確率1で出るときは、何が出るか分かっているので、エントロピーは0です。

よくある質問

エントロピーが大きいほど、良い情報源なのですか?

良し悪しではなく、予想しにくさの大きさです。エントロピーが大きいデータは圧縮しにくく、暗号の鍵や乱数のように予測されては困るものでは、大きいことが求められます。逆に、文章のように冗長度の大きいデータは、圧縮でよく縮みます。

物理のエントロピーと同じものですか?

式の形はよく似ていて、統計力学のエントロピーとは深い関係がありますが、物理のエントロピーは熱や温度と結び付いた量で、単位も異なります。情報理論では、確率分布だけから決まる量として扱います。

解説の中の「情報エントロピー」

「情報エントロピー」が出てくる問題(11問)

  1. 記号A、B、C、Dをそれぞれ確率1/2、1/4、1/8、1/8で、互いに独立に出す情報源がある。この情報源のエントロピー(1記号あたりの平均情報量)はどれか。
  2. 8種類の記号を出す情報源のエントロピーの最大値と、最大になる条件の組み合わせとして、正しいものはどれか。
  3. 0を確率0.9、1を確率0.1で、互いに独立に出す2値の情報源がある。log₂ 0.9 ≈ −0.152、log₂ 0.1 ≈ −3.32 とする。この情報源のエントロピーに最も近いものはどれか。
  4. 8種類の記号を出す情報源のエントロピーが2.4ビットであった。冗長度を 1 − (エントロピー ÷ 最大エントロピー) と定義するとき、この情報源の冗長度はどれか。
  5. 2つの確率変数X、Yについて、条件付きエントロピー H(X|Y) と相互情報量 I(X;Y) の説明として、正しいものはどれか。
  6. 記号A、B、Cを確率0.6、0.3、0.1で、互いに独立に出す情報源があり、そのエントロピーは約1.30ビットである。この情報源をハフマン符号で符号化したときの効率(エントロピー ÷ 平均符号長)に最も近いものはどれか。
  7. 可逆圧縮と、情報源のエントロピーの関係の説明として、正しいものはどれか。
  8. 0と1を送り、各ビットが互いに独立に確率0.1で反転する二元対称通信路がある。2値のエントロピー関数を H(p) = −p log₂ p − (1 − p) log₂(1 − p) とすると、H(0.1) ≈ 0.469 である。この通信路の、1回の伝送あたりの通信路容量に最も近いものはどれか。
  9. 正解のクラスに対してモデルが出力した確率をpとするとき、分類の学習で使う交差エントロピー損失 −log p の性質として、適切なものはどれか。
  10. 0を確率0.8、1を確率0.2で、互いに独立に出す2値の情報源がある。2記号ずつまとめた00、01、10、11の4種類をそれぞれ1つの記号とみなし、ハフマン符号で符号化する。元の1記号あたりの平均符号長はどれか。
  11. 決定木のあるノードに、クラスAのデータが6件、クラスBのデータが4件ある。このノードのジニ不純度はどれか。

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