適合率と再現率とは

てきごうりつとさいげんりつ

2クラス分類のモデルの評価指標。適合率(precision)は陽性と予測したもののうち実際に陽性だった割合 TP ÷ (TP + FP)、再現率(recall)は実際に陽性のもののうち陽性と予測できた割合 TP ÷ (TP + FN) である。一般に、判定のしきい値を変えると、一方が上がれば他方が下がる関係にある。両者の調和平均 2PR ÷ (P + R) をF値(F1スコア)と呼ぶ。

「適合率と再現率」は、1分野の4問の練習問題に出てきます(機械学習の基礎など)。

この用語の分野: 機械学習の基礎

計算の例

実際に陽性のデータが100件あり、モデルが40件を陽性と判定して、そのうち30件が本当に陽性だったとします。適合率は 30 ÷ 40 = 0.75、再現率は 30 ÷ 100 = 0.3 です。F値は 2 × 0.75 × 0.3 ÷ (0.75 + 0.3) ≈ 0.43 で、算術平均の約0.53より低くなります。調和平均は小さい方の値に引っ張られるので、片方だけが高いモデルはF値では高く評価されません。

しきい値とのトレードオフ

多くの分類のモデルは陽性らしさをスコアで出力し、しきい値を超えたものを陽性と判定します。しきい値を上げると、自信のあるものだけを陽性とするので適合率は上がりやすく、見逃しが増えて再現率は下がります。しきい値を下げると逆になります。しきい値を動かしながら適合率と再現率の関係を描いたものをPR曲線と呼び、真陽性率と偽陽性率の関係を描いたROC曲線とともに、モデルの比較に使います。

どちらを重視するか

見逃しが大きな損失になる病気の検査や不良品の検出では、再現率を重視します。誤って陽性とすることの損失が大きい場合、例えば必要なメールを誤ってスパムとして隔離してしまう迷惑メールのフィルタでは、適合率を重視します。目的に応じて、両者に重みを付けたFβ値を使うこともあります。陽性がごく少ない不均衡データでは、正解率よりもこれらの指標の方が性能をよく表します。

適合率と再現率の練習問題に挑戦

2クラス分類のモデルを200件のテストデータで評価した混同行列で、真陽性(TP)が45件、偽陽性(FP)が5件、偽陰性(FN)が45件、真陰性(TN)が105件だった。適合率と再現率の組合せとして、正しいものはどれか。

  1. A適合率0.50、再現率0.90
  2. B適合率0.75、再現率0.50
  3. C適合率0.90、再現率0.50
答えと解説を見る

正解:C. 適合率0.90、再現率0.50

適合率(precision)は、陽性と予測したもののうち実際に陽性だった割合で、TP ÷ (TP + FP) = 45 ÷ 50 = 0.90です。再現率(recall)は、実際に陽性のもののうち陽性と予測できた割合で、TP ÷ (TP + FN) = 45 ÷ 90 = 0.50です。このモデルは、陽性と判定したものはほぼ正しいものの、陽性の半分を見逃しています。正解率は (45 + 105) ÷ 200 = 0.75です。

2クラス分類のモデルを200件のテストデータで評価したところ、TPが20件、FPが5件、FNが30件、TNが145件だった。F値(F1スコア)に最も近いものはどれか。

  1. A0.40
  2. B0.53
  3. C0.60
答えと解説を見る

正解:B. 0.53

まず、適合率は 20 ÷ (20 + 5) = 0.8、再現率は 20 ÷ (20 + 30) = 0.4です。F値は適合率と再現率の調和平均で、2 × 0.8 × 0.4 ÷ (0.8 + 0.4) = 0.64 ÷ 1.2 ≈ 0.53です。調和平均は小さい方の値に引っ張られるので、どちらか一方だけが高くてもF値は高くなりません。なお、正解率は (20 + 145) ÷ 200 = 0.825と高く見えますが、このモデルは陽性の6割を見逃しています。

よくある質問

正解率(accuracy)とはどう違いますか?

正解率は、全体のうち予測が当たった割合 (TP + TN) ÷ 全体 です。陽性が1%しかないデータでは、すべてを陰性と予測するだけで正解率は99%になりますが、再現率は0になるので、陽性をまったく見つけられていないことが分かります。

「精度」と「適合率」は同じ意味ですか?

日本語の「精度」は、正解率(accuracy)の意味で使われることも、適合率(precision)の意味で使われることもあるので注意が必要です。英語の precision を指すときは「適合率」、accuracy を指すときは「正解率」と呼び分けると、誤解を防げます。

解説の中の「適合率と再現率」

「適合率と再現率」が出てくる問題(4問)

  1. 2クラス分類のモデルを200件のテストデータで評価した混同行列で、真陽性(TP)が45件、偽陽性(FP)が5件、偽陰性(FN)が45件、真陰性(TN)が105件だった。適合率と再現率の組合せとして、正しいものはどれか。
  2. 2クラス分類のモデルを200件のテストデータで評価したところ、TPが20件、FPが5件、FNが30件、TNが145件だった。F値(F1スコア)に最も近いものはどれか。
  3. 2クラス分類のモデルの評価に使うROC曲線とAUCの説明として、適切なものはどれか。
  4. 1000件のうち陽性が10件しかないデータに対して、すべてを陰性と予測するモデルの正解率はどれか。

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